いびきと睡眠時無呼吸症候群の関係とは?原因と対処

いびきと睡眠時無呼吸症候群の関係とは?原因と対処

睡眠コラム

いびきと睡眠時無呼吸症候群の関係とは?原因と対処

いびき
睡眠時無呼吸症候群というキーワードを、みなさん一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。睡眠時無呼吸症候群とは、眠っている間に呼吸が頻回に停止してしまう疾患で、英語名称の「Sleep Apnea Syndrome」の頭文字をとって「SAS」と呼ばれることもあります。 以前は睡眠時の無呼吸は「うるさいいびき」程度にしか考えられていませんでしたが、循環器系疾患をはじめとしたさまざまな疾患との関係が明らかになるにつれ、非常に重要な病態と認知されるようになりました。

睡眠時に無呼吸が起こるさまざまな理由

私たちは睡眠中に、さまざまなことが原因で鼻やのどの空気の通り道が狭くなってしまうことがあります。 例えば ・睡眠中に筋肉が弛緩することで口腔内の舌が垂れ下がる ・鼻腔(鼻の穴の内側)が先天的に湾曲している ・花粉症やアレルギーで鼻腔内が腫れて鼻閉(鼻づまり)が起こっている などの原因があげられます。 こうして鼻やのどの空気の通り道が狭くなることで、笛のように音が出る状況が「いびき」です。そしてこの空気の通り道がさらに狭くなり、ついに閉鎖されてしまうと、呼吸ができない状態、すなわち無呼吸を引き起こしてしまうのです。

無呼吸が1時間に5回以上発生したら睡眠時無呼吸症候群の可能性あり

睡眠時に10秒間以上の無呼吸が1時間に5回未満の場合は正常範囲、5回から15回では要注意、15回以上では治療が必要な睡眠時無呼吸症候群と診断されます。 中でも1時間に30回以上も発生する患者さんは、大変重症な睡眠時無呼吸症候群だと判断されます。 重症患者の血液酸素飽和度を検査すると、睡眠時には酸素吸入が必要なレベルまで低酸素状態に陥っていることが分かっています。

いびきと同時に無呼吸が起こる原因は?

「なぜいびきと同時に無呼吸が起こるのだろう?」と疑問に思っている人も多いかもしれません。しかし、実はいびきによって無呼吸が起こっているのではなく、無呼吸の状態になったことでいびきが発生しているのです。 体が無呼吸状態になると、この窒息状況を改善するためになんとか空気を吸い込もうとするのです。反射的に口腔内の舌が垂れ下がった状態を解消し、気管を開いて呼吸をしようと試みます。このときに、大きないびきが出るのです。ただし、無呼吸を伴わないいびきもあります。いびきも気道の狭窄によることが多く、いびきはいわば睡眠時無呼吸の予備軍ですので注意が必要です。

大人と子どもの無呼吸は原因が異なる

小児に睡眠中の無呼吸が起こる場合、その危険度は大人と同じですが、発生する原因に違いがあります。 小児のいびきや無呼吸は鼻・咽頭のリンパ節の先天的肥厚などの異常、まれに極度の肥満や先天的な小顎症によって発生することがあります。これらの症状はいびきや無呼吸につながるだけでなく、小児の発達に悪影響を及ぼす可能性もあるため速やかに治療することをおすすめします。

いびきと同時に無呼吸が起こる場合の対策は?

無呼吸が発生する原因は、基本的には睡眠時に気管が閉塞してしまうことが原因です。睡眠時の筋肉弛緩による舌根沈下、肥満を伴うのどや首周囲の脂肪の沈着、また「顎が小さい」というような特有の骨格も睡眠時無呼吸症候群やいびきを引き起こします。 特に、日本人を含めたアジア人では、解剖学的に下顎が小さく奥まっているので、元来気道が狭いという特徴があります。睡眠時無呼吸症候群は、決して中高年の太った男性だけの病気ではなく、肥満傾向のない子供、女性にもおこります。 睡眠時の無呼吸を軽減するには、睡眠時の体位が非常に重要です。仰向けで寝るよりは横向けやうつ伏せの方が、のどを塞ぐことがない体勢で眠るのでおすすめです。横向きの体勢を維持するために、抱き枕を使用しても良いでしょう。

無呼吸を医療機関で治療するには?

睡眠時無呼吸症候群であるかどうかは、睡眠専門外来や、いびき外来や睡眠時無呼吸外来などの特殊診療科や耳鼻咽喉科で診断することができます。 まずは簡易モニターを装着して自宅で検査を行います。その検査結果だけでは不明確な場合は、睡眠ポリグラフという装置を用いて病院で通常1泊2日の検査を行い、総合的に判定します。 無呼吸の原因が明らかになれば、その原因に沿った治療を行いますが、治療法は ・装具の装着(マウスピースや、CPAPというマスク装着を行い呼吸補助の圧を加えます) ・生活習慣の改善 ・睡眠時の体位の指導 ・減酒 ・減量 など実にさまざまです。 高齢者は心不全や脳梗塞などが原因で、中枢性睡眠時無呼吸症候群というより重症な無呼吸症候群に陥る可能性もありますので要注意です。

睡眠時の無呼吸は放置しておくと危険

睡眠時の無呼吸は重篤な疾患につながっている可能性もありますので、放置しておくと危険です。睡眠時の無呼吸にはさまざまな原因があり、その原因によって対策も異なりますので、まずは専門医のもとで検査を受けてみてはいかがでしょうか

最後に

中程度以上の睡眠時無呼吸症候群を治療せずに放置すると、8-9年でその4割が死亡するという信じがたいデータがあります。その理由は、睡眠時無呼吸症候群では、心筋梗塞、脳出血、脳梗塞、高血圧、糖尿病等の死亡率にも直接影響を与える重篤な疾患のリスクが、無呼吸のない人にくらべ2-4倍にも高くなるからです。 こういった無呼吸の患者さんでも適切な治療(CPAP: 睡眠中にマスクをつけ加圧する)を行えば、死亡率は無呼吸のない人と同等になります。睡眠障害の治療においても医療費の増大を抑えることは大切ですが、睡眠時無呼吸症候群においては、診断がつき適切な治療を開始すれば、その個人にかかる医療費の総額が半分ですむというカナダのデータもあります。睡眠時無呼吸症候群の診断・治療は、健康寿命を伸ばすだけでなく医療費の削減にも繋がると思われます。 違和感を感じているのであれば、すぐに医療機関で医師に相談することをオススメします。ただ自分一人ではなかなか気づけないことが多いです。そういう方は以下のサイトで、睡眠時無呼吸症候群のチェックをしてみましょう!
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「いくら寝ても頭がスッキリしない」「日中に眠くなるので仕事に影響が出てしまう」などの症状を誰しも一度は経験したことがあるかもしれません。十分な睡眠時間をとっているにも関わらず、日中眠くなるのにはいくつかの原因があります。 この記事では寝ても寝ても眠いと感じる方のために、原因や対処方法を紹介します。病気や疾患が隠されている可能性があるので、早めに対策を取りましょう。 寝ても寝ても眠い原因とは? 寝ても寝ても眠気が取れない原因は、睡眠時間や質の低下、精神的・身体的ストレス、アルコールの影響、潜在的な疾患など様々な要因が関係していますが、大きく以下の4つに分類できます。 日常生活の問題 病気・疾患の問題 女性ホルモンによる影響 季節の変化 いくら寝ても日中に眠くなる症状は単なる睡眠不足だけでなく、うつ病や甲状腺機能低下症など、基礎疾患が隠れている可能性もあるため注意が必要です。 ここからは、それぞれの分類について詳しくご紹介していきます。 日常生活の問題による影響 睡眠不足や環境による睡眠の質の低下により、日中に強い眠気を感じることがあり、仕事や日常生活に支障をきたしてしまいます。さらに精神的・身体的ストレスによって自律神経が乱れ、睡眠障害を引き起こすこともあるかもしれません。 具体的な要因についていくつか見ていきましょう。 日常的な睡眠不足 日本人の平均睡眠時間は世界的に見ても短い水準にあり、男女ともに「6時間以上7時間未満」が最も多い傾向で約53.7%、次いで「6時間未満」が約37.9%となります。 しかし、個人差はありますが一般的に適切な睡眠時間は、成人で6〜9時間が推奨されており、睡眠不足とされる方が多くいるのが現状です。さらに睡眠不足が続くと、「睡眠負債(睡眠の借金)」と呼ばれる状態となり、目覚めが悪い、日中の眠気が強い、体調不良、イライラするなどの症状が現れます。 参考:良い目覚めは良い眠りから 知っているようで知らない 睡眠のこと - e-健康づくりネット(厚生労働省) 睡眠不足による睡眠負債が続いた場合、日中に眠くなるのが当たり前のようになることも懸念点として挙げられます。 睡眠負債はまとめて一日たっぷり眠っただけでは解消できず、長期的な取り組みが必要です。睡眠負債は心身に悪影響を及ぼすため、早期に対策を立てるようにしましょう。 睡眠の質の低下 寝室の温度や湿度、照明、生活音などが適切でないと、質のよい睡眠を取れなくなります。例えば、寝室が暑すぎたり寒すぎたりすると、睡眠リズムが作れず眠りにくくなります。また、明るい照明や外部からの騒音も、脳が刺激されて安定した睡眠を妨げる要因になるため要注意です。 さらに、寝具の状態が悪いと、体が十分に休めず朝起きても疲れが取れないため、日中に眠くなってしまう可能性があります。このように、睡眠環境は質のよい睡眠を得るために重要な要素となります。 心理的なストレス 心理的なストレスとは、生活上の出来事や環境の変化などによって引き起こされる心理的な緊張、不安、焦りなどの心の状態のことです。 心理的ストレスは自律神経系に大きな影響を及ぼし、睡眠不足の原因となることがあります。通常、夜間は副交感神経が優位になり、リラックスした状態で入眠しやすくなりますが、ストレスが続くと交感神経が優位になります。 交感神経系が優位になると、脳の疲労回復に重要なノンレム睡眠(深い眠り)の時間が減少するため、十分な休息が得られず翌日の眠気や集中力の低下につながってしまうのです。...

寝ても寝ても眠いのはなぜ?一日中眠くなってしまう原因と対策を解説

睡眠コラム

「いくら寝ても頭がスッキリしない」「日中に眠くなるので仕事に影響が出てしまう」などの症状を誰しも一度は経験したことがあるかもしれません。十分な睡眠時間をとっているにも関わらず、日中眠くなるのにはいくつかの原因があります。 この記事では寝ても寝ても眠いと感じる方のために、原因や対処方法を紹介します。病気や疾患が隠されている可能性があるので、早めに対策を取りましょう。 寝ても寝ても眠い原因とは? 寝ても寝ても眠気が取れない原因は、睡眠時間や質の低下、精神的・身体的ストレス、アルコールの影響、潜在的な疾患など様々な要因が関係していますが、大きく以下の4つに分類できます。 日常生活の問題 病気・疾患の問題 女性ホルモンによる影響 季節の変化 いくら寝ても日中に眠くなる症状は単なる睡眠不足だけでなく、うつ病や甲状腺機能低下症など、基礎疾患が隠れている可能性もあるため注意が必要です。 ここからは、それぞれの分類について詳しくご紹介していきます。 日常生活の問題による影響 睡眠不足や環境による睡眠の質の低下により、日中に強い眠気を感じることがあり、仕事や日常生活に支障をきたしてしまいます。さらに精神的・身体的ストレスによって自律神経が乱れ、睡眠障害を引き起こすこともあるかもしれません。 具体的な要因についていくつか見ていきましょう。 日常的な睡眠不足 日本人の平均睡眠時間は世界的に見ても短い水準にあり、男女ともに「6時間以上7時間未満」が最も多い傾向で約53.7%、次いで「6時間未満」が約37.9%となります。 しかし、個人差はありますが一般的に適切な睡眠時間は、成人で6〜9時間が推奨されており、睡眠不足とされる方が多くいるのが現状です。さらに睡眠不足が続くと、「睡眠負債(睡眠の借金)」と呼ばれる状態となり、目覚めが悪い、日中の眠気が強い、体調不良、イライラするなどの症状が現れます。 参考:良い目覚めは良い眠りから 知っているようで知らない 睡眠のこと - e-健康づくりネット(厚生労働省) 睡眠不足による睡眠負債が続いた場合、日中に眠くなるのが当たり前のようになることも懸念点として挙げられます。 睡眠負債はまとめて一日たっぷり眠っただけでは解消できず、長期的な取り組みが必要です。睡眠負債は心身に悪影響を及ぼすため、早期に対策を立てるようにしましょう。 睡眠の質の低下 寝室の温度や湿度、照明、生活音などが適切でないと、質のよい睡眠を取れなくなります。例えば、寝室が暑すぎたり寒すぎたりすると、睡眠リズムが作れず眠りにくくなります。また、明るい照明や外部からの騒音も、脳が刺激されて安定した睡眠を妨げる要因になるため要注意です。 さらに、寝具の状態が悪いと、体が十分に休めず朝起きても疲れが取れないため、日中に眠くなってしまう可能性があります。このように、睡眠環境は質のよい睡眠を得るために重要な要素となります。 心理的なストレス 心理的なストレスとは、生活上の出来事や環境の変化などによって引き起こされる心理的な緊張、不安、焦りなどの心の状態のことです。 心理的ストレスは自律神経系に大きな影響を及ぼし、睡眠不足の原因となることがあります。通常、夜間は副交感神経が優位になり、リラックスした状態で入眠しやすくなりますが、ストレスが続くと交感神経が優位になります。 交感神経系が優位になると、脳の疲労回復に重要なノンレム睡眠(深い眠り)の時間が減少するため、十分な休息が得られず翌日の眠気や集中力の低下につながってしまうのです。...