第1条 起床時間を固定し、アラームは2段階で設定する

第1条 起床時間を固定し、アラームは2段階で設定する

睡眠コラム

第1条 起床時間を固定し、アラームは2段階で設定する

目覚め
皆さんは朝どのように起きますか? 毎日同じ時間にスッキリ、シャキッと起きられますか? 十分寝たはずなのに寝た気がしない、目覚めが悪い、起きてもぼーっとして頭がスッキリしないという人も多いのではないでしょうか。目覚ましに気付かず寝過ごしてしまった経験もあるかと思います。多くの人にとって、毎朝決まった時間にスッキリ起きるのは大変なことだと思います。 そこで、今話題の“スタンフォード式 最高の睡眠”の著者、西野精治がお勧めする、「最高の睡眠メソッド10ケ条」を紹介します。 今回はその第一弾として、起床時のアラーム設定についてです。

アラームの設定は2段階

アラームをどのように設定していますか? 目覚ましを使ったことがない方もいらっしゃるかもしれませんが、通常は一回、なかなか起きられない人は複数回鳴るように設定しているかと思います。一回の設定でもスヌーズ機能を使って少し時間を空けて鳴るようにしている方も多いのではないでしょうか。 今回の記事では、西野先生のお勧めするアラーム設定をご紹介します。実践していただくことで、普段より朝の目覚めが良くなるでしょう。 オススメのアラーム設定は、「2段階で設定」です。「2段階」というのは、1回目と2回目を20分程空けて設定するということです。1回目の設定は、「ごく微音で短く」で設定しましょう。例えば、6時半に起きようとした場合、6:10と6:30に設定します。いずれかのタイミングでスムーズに起床出来るでしょう。

2段階に設定する理由

私たちの体は、サーカディアンリズム(概日リズム)や光などの外的刺激により、様々なホルモンを分泌したり抑制したりしますが、そのうちの一つに、血糖値の調整機能がある「コルチゾール」というホルモンがあります。このホルモンは、明け方に最大分泌され、その後次第に減っていき、睡眠時の前半では殆ど分泌されません。明け方に最大分泌されることは、日中の活動(覚醒)への準備を意味しています。 また、睡眠は、ノンレム睡眠とレム睡眠から構成されます。ノンレム睡眠は体と脳が休む睡眠であるのに対して、レム睡眠とは体は休んでいるが脳が起きている状態です。ノンレム睡眠とレム睡眠は交互に現れ、これらのセットは個人差はありますが大体90~120分の周期性があります。睡眠初期は深いノンレム睡眠が多く出現しますが、周期を経るにつれ、朝型には浅いノンレム睡眠が増えます。また、レム睡眠の割合も多くなります。そのため、朝方には、レム睡眠の割合が多くなります。言い換えれば、健康な睡眠では、明け方から起きる準備が整ってくるのです。さらにスッキリ目覚めるためには、覚醒への準備時間帯のうち、浅いレム睡眠時もしくは応答性の高まったレム睡眠で起きるのが望ましいです。 ウェアラブルデバイスを用いて、朝方に出現する浅いノンレム睡眠やレム睡眠を感知すれば良いのではと考える人もいるかもしれません。ウェアラブルデバイスでの睡眠の感知は、加速度センサやジャイロセンサ、心拍センサなどを用いてバイタルデータを取得・活用していますが(※1)、ノンレム睡眠の深さを感知することは出来つつあるものの、現時点ではレム睡眠の感知は正確ではありません。最近では、手軽な睡眠のトラッキングアプリなども出てきていますが、睡眠ステージの判定の精度はウェアラブルデバイスより劣り、レム睡眠は正しく判定出来ません。また、スマホのトラッキングアプリを使用して、不安を増長させるなどのデメリットを指摘する意見もあります(※2)。そのため、日常、家庭で厳密にレム睡眠を感知しようとするのは現実的ではありません。 そこで、覚醒への準備時間帯のうち、ノンレム睡眠が浅くなったタイミングや、レム睡眠時に手軽に刺激を与える方法として、2段階でアラームを設定することをオススメします。朝方は自然にノンレム睡眠が浅く、短くなり、レム睡眠が長くなるため、2段階のアラームのどちらかが覚醒しやすいタイミングに当たる可能性が高くなります。 仮に最初のアラーム時に深いノンレム睡眠だったとすると、大音量のアラームで深い睡眠から無理やり起こすと、目覚めが悪くなります。この目覚めてもぼーっとして頭が働かない状態は、睡眠慣性とよび、深い睡眠から無理に起きる/起こされると生じます。深いノンレム睡眠状態の場合に起こさないようにするため、「ごく微音で短く」設定することが重要です。朝方には、レム睡眠の出現頻度が確率的に高いので、1度目のアラームで起きられなくても、2度目のアラームで目覚めることが出来ます。

「週末だし早く起きる必要ないからもう少し寝よう」はダメ

いつも通りの時間に早く起きなくてもいい日には、起床時間を遅らせたり、目覚ましを止めて二度寝・三度寝したりすることもあるかと思います。「週末だから大丈夫」と思ってしまいますが、これは睡眠リズムを乱し、覚醒が不十分になり、夜中に目が覚めて寝にくくなったり、入眠直後の深いノンレムが形成されにくくなったりと、デメリットが多いです。 しかしながら、寝たいという本能的欲求は、睡眠負債が溜まっている証拠なので、寝れる時に欲求に従って寝ることは大切です。しかし、週末の二度寝・三度寝は、睡眠負債の根本解決にはなりません。週末、二度寝・三度寝の傾向のあるひとは、毎日30分でも良いので平日の睡眠時間を増やしてみましょう。もし、休みの日に「もう少し寝たい」と思ったら、一度普段通りに起床し、日光を浴びご飯を食べ、お昼すぎの眠気が高まるタイミングで20~30分程度の仮眠をとるようにしましょう。この程度の仮眠であれば夜の睡眠への影響が少ないので、睡眠リズムも崩れにくくなります。睡眠リズムが一定だと月曜日の朝に起きるのが憂鬱になるということも少なくなります。しかし、この方法は睡眠負債の根本解決にはなりません。睡眠リズムを一定に保ちつつ毎日の睡眠時間を確保することが大切です。
【参考】 ※1:ウェアラブルデバイスを活用したシステムについての 現状と問題点,今後の展望について ※2: Sleep Tracking: Could It Be Making Your Sleep Worse?
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「いくら寝ても頭がスッキリしない」「日中に眠くなるので仕事に影響が出てしまう」などの症状を誰しも一度は経験したことがあるかもしれません。十分な睡眠時間をとっているにも関わらず、日中眠くなるのにはいくつかの原因があります。 この記事では寝ても寝ても眠いと感じる方のために、原因や対処方法を紹介します。病気や疾患が隠されている可能性があるので、早めに対策を取りましょう。 寝ても寝ても眠い原因とは? 寝ても寝ても眠気が取れない原因は、睡眠時間や質の低下、精神的・身体的ストレス、アルコールの影響、潜在的な疾患など様々な要因が関係していますが、大きく以下の4つに分類できます。 日常生活の問題 病気・疾患の問題 女性ホルモンによる影響 季節の変化 いくら寝ても日中に眠くなる症状は単なる睡眠不足だけでなく、うつ病や甲状腺機能低下症など、基礎疾患が隠れている可能性もあるため注意が必要です。 ここからは、それぞれの分類について詳しくご紹介していきます。 日常生活の問題による影響 睡眠不足や環境による睡眠の質の低下により、日中に強い眠気を感じることがあり、仕事や日常生活に支障をきたしてしまいます。さらに精神的・身体的ストレスによって自律神経が乱れ、睡眠障害を引き起こすこともあるかもしれません。 具体的な要因についていくつか見ていきましょう。 日常的な睡眠不足 日本人の平均睡眠時間は世界的に見ても短い水準にあり、男女ともに「6時間以上7時間未満」が最も多い傾向で約53.7%、次いで「6時間未満」が約37.9%となります。 しかし、個人差はありますが一般的に適切な睡眠時間は、成人で6〜9時間が推奨されており、睡眠不足とされる方が多くいるのが現状です。さらに睡眠不足が続くと、「睡眠負債(睡眠の借金)」と呼ばれる状態となり、目覚めが悪い、日中の眠気が強い、体調不良、イライラするなどの症状が現れます。 参考:良い目覚めは良い眠りから 知っているようで知らない 睡眠のこと - e-健康づくりネット(厚生労働省) 睡眠不足による睡眠負債が続いた場合、日中に眠くなるのが当たり前のようになることも懸念点として挙げられます。 睡眠負債はまとめて一日たっぷり眠っただけでは解消できず、長期的な取り組みが必要です。睡眠負債は心身に悪影響を及ぼすため、早期に対策を立てるようにしましょう。 睡眠の質の低下 寝室の温度や湿度、照明、生活音などが適切でないと、質のよい睡眠を取れなくなります。例えば、寝室が暑すぎたり寒すぎたりすると、睡眠リズムが作れず眠りにくくなります。また、明るい照明や外部からの騒音も、脳が刺激されて安定した睡眠を妨げる要因になるため要注意です。 さらに、寝具の状態が悪いと、体が十分に休めず朝起きても疲れが取れないため、日中に眠くなってしまう可能性があります。このように、睡眠環境は質のよい睡眠を得るために重要な要素となります。 心理的なストレス 心理的なストレスとは、生活上の出来事や環境の変化などによって引き起こされる心理的な緊張、不安、焦りなどの心の状態のことです。 心理的ストレスは自律神経系に大きな影響を及ぼし、睡眠不足の原因となることがあります。通常、夜間は副交感神経が優位になり、リラックスした状態で入眠しやすくなりますが、ストレスが続くと交感神経が優位になります。 交感神経系が優位になると、脳の疲労回復に重要なノンレム睡眠(深い眠り)の時間が減少するため、十分な休息が得られず翌日の眠気や集中力の低下につながってしまうのです。...

寝ても寝ても眠いのはなぜ?一日中眠くなってしまう原因と対策を解説

睡眠コラム

「いくら寝ても頭がスッキリしない」「日中に眠くなるので仕事に影響が出てしまう」などの症状を誰しも一度は経験したことがあるかもしれません。十分な睡眠時間をとっているにも関わらず、日中眠くなるのにはいくつかの原因があります。 この記事では寝ても寝ても眠いと感じる方のために、原因や対処方法を紹介します。病気や疾患が隠されている可能性があるので、早めに対策を取りましょう。 寝ても寝ても眠い原因とは? 寝ても寝ても眠気が取れない原因は、睡眠時間や質の低下、精神的・身体的ストレス、アルコールの影響、潜在的な疾患など様々な要因が関係していますが、大きく以下の4つに分類できます。 日常生活の問題 病気・疾患の問題 女性ホルモンによる影響 季節の変化 いくら寝ても日中に眠くなる症状は単なる睡眠不足だけでなく、うつ病や甲状腺機能低下症など、基礎疾患が隠れている可能性もあるため注意が必要です。 ここからは、それぞれの分類について詳しくご紹介していきます。 日常生活の問題による影響 睡眠不足や環境による睡眠の質の低下により、日中に強い眠気を感じることがあり、仕事や日常生活に支障をきたしてしまいます。さらに精神的・身体的ストレスによって自律神経が乱れ、睡眠障害を引き起こすこともあるかもしれません。 具体的な要因についていくつか見ていきましょう。 日常的な睡眠不足 日本人の平均睡眠時間は世界的に見ても短い水準にあり、男女ともに「6時間以上7時間未満」が最も多い傾向で約53.7%、次いで「6時間未満」が約37.9%となります。 しかし、個人差はありますが一般的に適切な睡眠時間は、成人で6〜9時間が推奨されており、睡眠不足とされる方が多くいるのが現状です。さらに睡眠不足が続くと、「睡眠負債(睡眠の借金)」と呼ばれる状態となり、目覚めが悪い、日中の眠気が強い、体調不良、イライラするなどの症状が現れます。 参考:良い目覚めは良い眠りから 知っているようで知らない 睡眠のこと - e-健康づくりネット(厚生労働省) 睡眠不足による睡眠負債が続いた場合、日中に眠くなるのが当たり前のようになることも懸念点として挙げられます。 睡眠負債はまとめて一日たっぷり眠っただけでは解消できず、長期的な取り組みが必要です。睡眠負債は心身に悪影響を及ぼすため、早期に対策を立てるようにしましょう。 睡眠の質の低下 寝室の温度や湿度、照明、生活音などが適切でないと、質のよい睡眠を取れなくなります。例えば、寝室が暑すぎたり寒すぎたりすると、睡眠リズムが作れず眠りにくくなります。また、明るい照明や外部からの騒音も、脳が刺激されて安定した睡眠を妨げる要因になるため要注意です。 さらに、寝具の状態が悪いと、体が十分に休めず朝起きても疲れが取れないため、日中に眠くなってしまう可能性があります。このように、睡眠環境は質のよい睡眠を得るために重要な要素となります。 心理的なストレス 心理的なストレスとは、生活上の出来事や環境の変化などによって引き起こされる心理的な緊張、不安、焦りなどの心の状態のことです。 心理的ストレスは自律神経系に大きな影響を及ぼし、睡眠不足の原因となることがあります。通常、夜間は副交感神経が優位になり、リラックスした状態で入眠しやすくなりますが、ストレスが続くと交感神経が優位になります。 交感神経系が優位になると、脳の疲労回復に重要なノンレム睡眠(深い眠り)の時間が減少するため、十分な休息が得られず翌日の眠気や集中力の低下につながってしまうのです。...