「睡眠」から可視化する 新・健康経営サービス
「睡眠」から可視化する 新・健康経営サービス
日本の平均睡眠時間と睡眠負債の変化
ブレインスリープは2019年の設立以来、3年間継続して日本の平均睡眠時間の変化を追っています。その期間で日本の睡眠時間が増え続けているだけでなく、睡眠負債も改善傾向であることが分かりました。しかしながら、OECD加盟国の平均睡眠時間は8時間25分であり、依然として日本の睡眠は世界でも最低レベルにあり、改善できる余地があります。ブレインスリープとしては、今後も日本の睡眠を良くするために活動を継続していきたいと考えています。
《調査結果》
平均睡眠時間は
2年連続上昇、睡眠負債も改善傾向に
* 睡眠時間の比較についてはt検定を実施。2020年と2021年及び2021年と2022年の比較でいずれもp<0.01となり有意差ありと確認。睡眠負債ありの出現頻度の比率の比較についてはカイ二乗検定を行い、p<0.01で有意差ありと確認
ブレインスリープの2020年の調査では、日本の平均睡眠時間は6時間27分、2021年の調査では6時間43分でした。今年の調査では、日本の平均睡眠時間は6時間48分となり、2年連続で睡眠時間が増加する結果となりました。
さらに注目すべき点として、平日と休日の睡眠時間が変わらないと答えた人が年々増加しています。また睡眠時間に差があると答えた人においても、昨年の調査では休日の睡眠時間が平日の睡眠時間の+1時間14分だったのが、今年の調査では+1時間9分と、5分短くなりました。このことから平日に溜まった睡眠負債を休日に寝だめすることで解消しようとする傾向が減っており、日本の睡眠負債が減少していると言えます。
新型コロナウイルス感染拡大による睡眠の意識変化
昨年から引き続き、新型コロナウイルスの感染拡大が人々の生活を大きく変化させています。特に今年は新しい生活様式も定着し始め、病気の予防や健康への意識が高まったのではないでしょうか。睡眠も健康の維持においてとても重要な役割を担っています。そのような中で人々の睡眠への意識にも変化がありました。
《調査結果》
新型コロナウイルスの感染拡大により睡眠意識は高まる傾向に。
意識による睡眠傾向の差異も。
* 睡眠に対する意識が上がった人と下がった人の二つの群の睡眠時間と睡眠偏差値についてt検定を実施。睡眠時間についてはp=0.48であり有意差が確認できなかったが、睡眠偏差値はp<0.01と有意差を確認
今年の調査では、コロナウイルス感染拡大により睡眠の意識が上がったと回答した人は日本人全体の19.0%、下がった人は日本人全体の2.8%という結果となりました。 睡眠意識が上がった人は、下がった人よりも睡眠時間が7分短かったのですが、睡眠偏差値は上がった人のほうが3.8ポイント高くなりました。睡眠意識が上がった人は、寝室の環境の改善や睡眠に悪影響を与える行動を見直すことで、睡眠の質が向上している可能性が考えられます。
スリープテックの利用率と支払い額
一般的に、「スリープテック」とは、技術を活用して睡眠をモニター・分析・改善するための製品やサービスを指しています。世界のスリープテック市場は昨今急成長しており、日本でもヘルスケア産業に対する注目度は高まっています。今回の調査からは日本のスリープテック市場の現状が数字として表れました。
《調査結果》
盛り上がる市場に対して利用率はアプリ4.3%ガジェット5.6%に留まる
今回の調査では睡眠の質を上げるためにアプリを利用している人は全体1万人のうち5.6%、ガジェットを使用している人は4.3%に留まっており、スリープテックの一般の人への普及はそこまで広がっていません。
年代ごとに見てみると、アプリの利用率が一番高かった年代は男女ともに20代でしたが、ガジェットにおいては、利用率が一番高かった年代は男女ともに60歳以上という結果になりました。
また利用者がそれぞれに費やしている平均金額は、アプリでは1カ月で601円、ガジェットでは1カ月で1134円でした。今後睡眠の質を高める方法としてアプリやガジェットを取り入れてみたいと回答した人に関しては全体の15.4%となり、日本におけるスリープテック市場は、今後さらなる成長の余地があることがわかりました。
ショートスリーパー誤認識
ショートスリーパーとは、睡眠時間が4時間程度以下でも、日中の眠気を感じることがなく、長期的に見ても心身ともに何ら支障をきたさない人のことを言います。
ショートスリーパーの多くは、短眠の遺伝子を持った非常にまれな存在であり、トレーニングによってショートスリーパーになることはできません。日本の統計では、平均睡眠時間が4時間未満の人は全体の約1%と言われている一方、調査からは意外な事実が浮かび上がってきました。
《調査結果》
本来1%にも満たないはずのショートスリーパーが23%も出現?!
* ショートスリーパーと自認している人とそうでない人の2群間で睡眠偏差値と睡眠時間についてt検定を実施。いずれもp<0.01と有意差を確認
今回の調査で自身がショートスリーパーであると回答した人は23%。
ショートスリーパーであると回答した人の平均睡眠時間は6時間15分と日本全体の平均睡眠時間より30分以上少なく、睡眠偏差値スコアも低い結果となりました。一方、一般的にショートスリーパーと言われている方々の平均的な睡眠時間よりは2時間程長く、ショートスリーパーを自認していても、実は無理をしているだけというケースも考えられ、注意が必要であることがわかりました。
睡眠薬服用率と専門クリニックへの通院率
睡眠コンディションは、生活習慣や睡眠環境の改善により整えていくのが理想的です。一方、症状によっては、睡眠薬の力を借りる必要がある方もいらっしゃいます。ブレインスリープでは昨年のデータと比較し、睡眠薬の利用実態に迫りました。
《調査結果》
男性は20代の服用率が最も高く11.6%
* 2021年と2022年の睡眠薬服用有無の分布についてカイ二乗検定を行いp=0.02と有意差を確認。2022年の男性20代とそれ以外で睡眠薬服用有無の分布についてカイ二乗検定を行いp<0.01と有意差を確認
今年の調査では睡眠薬の服用率が全体で10.7%。昨年の結果よりも1%ですが、上昇が見られました。女性では50~60代の服用率が高くなりましたが、全体の中では20代男性が最も服用率が高く、20代男性のうち15.7%も睡眠薬を利用しているということが分かりました。
睡眠薬の服用者のうち、クリニックに通院していると回答した人は34.1%。残りの65.9%は、市販薬などを自己判断で服用している可能性があることが今回の調査で判明しました。
【調査概要】
調査手法:web調査
対象地域:全国
対象者条件:男女
サンプル数:n=10,000ss
調査実施期間:2022年1月
※集団間の睡眠偏差値、スコアの比較においてはt-検定を、パーセントで比較した数値においてはその出現頻度にχ2(カイ二乗)検定を、それぞれ行い、有意水準5%以下を統計的に有意な差と判定し記載しました。
※昨年と一部対象者、調査項目を変えて調査を行っております。
【会社概要】
企業名:株式会社ブレインスリープ
長引く新型コロナウイルス感染症の影響もあるのか、本年度の調査結果では、睡眠時間は延び、睡眠負債も多少改善傾向にあるようです。睡眠に対する意識が高まった人達の睡眠偏差値は高い傾向にありましたが、その人達の睡眠時間はむしろ短い傾向がありました。睡眠に対する意識の高い人達は、自身の睡眠の質の向上に気を配っているのかもしれません。睡眠アプリの使用が若い世代、ガジェットがむしろ高齢者というのは興味深い傾向ですが、それらの存在を知らない人も半数近く存在します。
ショートスリーパーの定義にもよりますが、23.4%とかなり多くの人がショートスリーパーであると自認しているのは、願望もあるのではないでしょうか?さらに調査で気になった点は若い人の睡眠薬の使用率が高い点です。市販のものも含まれているようですが、睡眠薬はあくまで対症療法ですので、睡眠薬を使用する前に、睡眠に良い生活習慣を身につけることを推奨します。