慢性的な睡眠不足に悩まされている日本人。電車の通勤電車で眠るサラリーマンの姿は日本では当たり前の光景ですが、海外では驚きとともに報道されることもよくあるようです。
そんな寝不足状態を少しでも改善するために、注目されているのが「仮眠」。最近では「昼寝」や「仮眠」に関連した話題がメディアでも頻繁に取り上げられるようになり、世の中の注目が集まっていることが分かります。この記事では仮眠の重要性、また正しい仮眠の取り方(時間)について紹介していきます。
仮眠は取った方が良いのか?

眠気があり、そのまま眠れる環境があるということであれば、我慢せずにそのまま仮眠を取ること自体は良いことです。ただし、通勤時に寝たので、家で寝る時間が少なくて良いということにはなりません。細切れの睡眠では、まとめて睡眠を取ったほどの効果を得られることができないからです。

企業での仮眠導入事例も
海外企業では社員のパフォーマンスの向上、またメンタルバランスの安定を目的とした社員の仮眠の導入が進められているようです。最近では日本でも企業での仮眠が注目され始め、特に昼食後の昼寝を社員に対して奨める企業が増えてきました。
慢性的な睡眠不足の従業員にとって、昼寝を取ることは仕事のパフォーマンスを向上させることができるため、良いことだと言えます。特に運転、工事、工場での作業など、寝不足やそれに起因する集中力不足などが原因で重大な事故に直結してしまう現場で働いている従業員にとっては特に昼寝は取った方が良いと言えるでしょう。
仮眠の適切な取り方
時間は20~30分程度が良い
一般的に仮眠時間は20分程度が良いとされています。それ以上眠ってしまうと目覚めた後にかえって眠気が増してしまう可能性もあります。
また、日本の研究機関で行われた昼寝と認知症の発症の関係を調査した実験では、昼寝を1時間以上する人は昼寝をしない人に比べて、認知症の発症率が2倍に増えるという結果が出ています。逆に、昼寝を30分以内で取る人の発症率は、昼寝をしない人に比べて約6分の1に減ったという結果も出ています。
30分未満の適切な昼寝を取ることは病気のリスクを減らすことにも繋がることから、寝不足で昼寝を取った方が良い方は昼寝時間も気にすると良いでしょう。

ベッドには入らない
ベッドに入ってしまうと、起きた後も眠る前よりも眠気が増したり、ついつい30分以上眠ってしまう可能性もあるため、仮眠を取る際は机に伏せたり、ソファや椅子に座って取ることをおすすめします。その際はネックピローがあると、より快適な仮眠を取ることができます。
ライトは消す
太陽光やライトなどで周囲が明るいと、眠りのホルモンであるメラトニンの分泌が減るといわれているため、仮眠の質も低下します。逆に目覚める時は、周囲を明るくし、メラトニンの分泌を抑えることですっきりと目覚めることができます。オフィス等、ライトを消すことができない時はアイマスク等でライトをシャットアウトする方法もおすすめです。
スマートフォンは見ない
ライト同様に、スマートフォンやパソコンの画面から発生するブルーライトも、睡眠を促すメラトニンの生成を抑制する働きがあるため、仮眠時はスマートフォンは見ないようにしましょう。
音楽は1/fゆらぎを含んでいるものがおすすめ
「1/fゆらぎ※1」というものを聞かれたことがあるかもしれません。「1/fゆらぎ」は大自然のリズムと言われ、ビーチに打ち寄せる波、山にいって聞こえてくる風の音、川を流れる水の音も「1/fゆらぎ」を含んでいるとされているのです。実はクラシック音楽も「1/f」を含んでいると言われています。
「1/fゆらぎ」は人が心地よいと感じる音とされているため、リラックスして仮眠時に取ることができます。
終わりに
繰り返しになりますが、家で夜間に十分な睡眠が取れない人にとって、総睡眠時間を増やすことができることから昼寝や仮眠は取った方が良いことは間違いありません。逆に言えば、家で十分な睡眠を取っている人にとっては、昼寝や仮眠はメリットがないとも言えますが、現在社会では、充分な睡眠時間を確保できている人はむしろまれでしょう。
今後、仮眠室や仮眠を取る仕組みを導入する企業が増えていくと思いますが、正しい昼寝・仮眠の知識に基いて運用してもらいたいと思います。
【参考】
※1 情報産業労働組合連合会