「春眠暁を覚えず」春の夜は短くて、気候もいいから、ついつい朝になっても寝過ごしてしまうものだ、という意味の漢詩の一節です。この言葉通り、春になると、朝寝坊しがちになったり、起きても眠気がいつまでも取れないのはなぜなのでしょうか。
睡眠が足りない、いつまでも眠たいと感じるのはなぜ?

睡眠や体温に影響を与える自律神経の変化と春先の環境の変化が関係していると考えられています。
まだまだ寒い日が続きますが、気温は徐々に上昇しています。それに合わせて、体にも変化があらわれます。寒い季節では、交感神経が活発に働きますが、気温の上昇に合わせて、副交感神経が優位になります。交感神経は、体を目覚めさ、活動させる神経ですが、副交感神経は逆に休息に働きかける神経です。
冬から春にかけてのこの時期は、体がまだ気温の変化に対応しきれていないために、自律神経のバランスが崩れがちになり眠気が残ってしまうことがあります。
また、この時期は、年度末、卒業、異動、引越しなど、ご自身を取り巻く環境の変化も激しく、忙しい時期でもあります。環境の変化や忙しさから、思った以上にきちんと睡眠が取れていない人も多いようです。「春は眠たいもの」と決めつけずに、自分の睡眠状態を再度確認することも必要なのです。
放っておくと?たかが眠いも度を越すと、病気の可能性も……!
春先でなんとなく眠い、という程度なら徐々に改善してくるはずです。ですが、慢性的に眠い人、眠くて日中の仕事や勉強に影響するという人、寝たのに休んだ感じがしなくて疲労感が取れないという人は、慢性の睡眠不足、すなわち睡眠負債が貯まっている可能性があります。
睡眠時無呼吸症候群など睡眠障害がある場合、またうつ病や抑うつ状態でも、朝起きづらくなります。睡眠負債や、睡眠障害があると、明け方にも深い睡眠が出現し、朝起きづらいだけでなく、無理に起きても頭がすっきりしません。
自己対策で改善できない場合は、睡眠の専門医などに相談してみるといいでしょう。
最後に
春先などの季節の変わり目に眠いことはよく知られていますが、秋の季節の変わり目にはそういった変化を感じることはありません。春先の眠気は、寒い時期から徐々に暖かくなることで、交感神経活動が低位することが一因だと考えられます。
ただ現在社会では、3月4月の年度末・年始の卒業、入学、異動、引越しなどによる環境の変化で、十分な睡眠が確保できないことも大きな要因だと思われます。