寝る何時間前に飲むのが理想?
まずは、入眠前に水分補給をすることで睡眠の質が高まる理由と、飲む時間のおすすめをご紹介します。深部体温を下げることがポイント
そもそも、人が入眠するときは皮膚内部の血流が増えることにより、体の表面の体温(皮膚温度)が上がり、やがて皮膚から放熱することで体の中の体温(深部体温)が下がります。 その深部体温が下がるとメラトニンホルモンの分泌が活発になるため、入眠モードに切り替わるほか、体温が下がると脳がリラックスモードになるので、良質な睡眠にとって深部体温を下げることが大切です。入眠の1時間~数時間前は、温かい飲み物
人は深部体温が低下するタイミングで眠気を感じますが、皮膚温度と深部体温の差が大きいほど強く眠気を感じるので、より睡眠の質が高くなります。そのため、入眠の1時間~数時間前に温かい飲み物を飲んで深部体温を上げておくことがおすすめ。深部体温は、上がった分だけ下がろうとするので、自然と入眠しやすくなります。入眠の直前は、常温か冷たい飲み物
質の高い睡眠を得るためには深部体温を下げる必要があるため、入眠直前は温かい飲み物ではなく、常温か冷たい飲み物を飲みましょう。ただし、冷たすぎる飲み物は胃腸に負担がかかるので、気をつけてください。また、ゆっくり飲むことで胃腸への負担を和らげることができます。 また夜間のトイレが心配な方は、直前ではなく、入眠の1時間前までには水分補給を済ませておきましょう。寝る前に飲む量の理想は?
「人は寝ている間にコップ1~2杯もの汗をかく」と言われています。寝汗をかくこと自体は、睡眠を深くする生理現象なので問題ありませんが、入眠前に水分補給をしておかないと、脱水症状を起こしたり、水分が不足して発汗による体温調節できなくなるため、睡眠の質が悪くなってしまいます。 かといって飲む量が多すぎると夜中に何度もトイレで起きてしまうので、コップ1杯(250ml)程度を目安に飲みましょう。寝る前におすすめの飲み物
一度体を温めてから深部体温を下げることでより睡眠の質が高まるので、入眠の1〜2時間前に温かい飲み物を飲むのがおすすめです。そんな入眠前に飲みたい飲み物を6つご紹介します。1:ホットミルク
ミルクには、メラトニンという睡眠ホルモンを作る原料となるトリプトファンが含まれているため、安眠効果が期待できます。また、ミルクに豊富に含まれているカルシウムには活動モードの交感神経を抑え、リラックスモードの副交感神経を優位にさせる働きも期待できます。 さらにミルクは消化吸収に優れているので、入眠前におすすめです。2:ホットココア
ココアには、テオブロミンという自律神経を整えて寝つきを良くしたり、眠りが深くなる作用のある成分が含まれているため、睡眠の質が高まります。 入眠前に砂糖をたくさん摂ると血糖値が上昇して睡眠の質が下がるので、調整ココアやミルクココアではなく、砂糖やミルクが含まれていないピュアココアを選びましょう。
初めからミルクが含まれているココアには、砂糖が多く含まれていることが多いので避けた方が良いですが、ピュアココアにミルクを足すことはおすすめ。ミルクに含まれるトリプトファンというアミノ酸とカルシウムの作用によって、リラックス効果と質の高い睡眠を得ることができます。 ミルクを混ぜたココアは、睡眠ホルモンと言われるメラトニンを生成することで、安眠効果をもたらしますが、メラトニンはココアを飲んでから1〜2時間後に生成されるので、入眠直前ではなく、入眠の1〜2時間前に飲みましょう。
※非常に微量ですが、ピュアココアにもカフェインは含まれているので、飲みすぎにはご注意ください。
3:ハーブティー
ハーブの中には、リラックス効果や自律神経を整える効果など、睡眠の質を高めてくれるハーブがあります。ハーブのほとんどは、覚醒作用や利尿作用を持つカフェインが含まれていないので、入眠直前でも安心して飲むことができます。
ただし、生理促進作用や子宮を収縮する作用など、妊娠中の方は飲用を避けた方がいいハーブもあるので主治医に相談してください。 良質な睡眠に効果的なハーブの代表として、不眠や不安、ストレスに効果がある「カモミール」や「オレンジフラワー(オレンジブロッサム)」、鎮静効果や抗うつ効果があると言われている「ラベンダー」、感情や気分を落ち着かせてくれる「ローズ」などがあります。
4:ホットジンジャー
お湯に生姜を入れたホットジンジャーは、生の生姜をスライスして自分で作ったり、パウダータイプや生姜やチューブタイプを購入することができます。 生姜には、血行をよくして体を温める効果が期待できるため、入眠の1〜2時間前に飲むのがおすすめです。ただし、あまりにも多くの生姜を入れてしまうと胃腸に負担がかかるので気をつけましょう。5:白湯
白湯を飲むと内臓から体が温まるため、睡眠モードの副交感神経が優勢になり、リラックス効果があると言われています。さらに、ゆっくりと時間をかけて飲むことで、よりリラックスできます。6:甘酒
甘酒には、ストレスを緩和することで知られているGABAが含まれているため、精神的に落ち着き、安眠効果が期待できます。甘酒を温めて飲むことで、よりリラックスすることができますが、甘酒に含まれる酵素やビタミンB群は熱に弱いので、60度以下を目安に、温めすぎないように気をつけましょう。 また、米麹甘酒は糖質が多く含まれていることが多いので、飲みすぎないようにしましょう。多くても1日200ccまでが良いとされているので、朝も飲む方は1回あたりの量を分散して飲むのがおすすめです。寝る前に控えた方がよいNGな飲み物
入眠前に飲むことで、睡眠の質を悪くさせてしまう飲み物があるので注意しましょう。カフェインの入った飲み物
コーヒー・紅茶・お茶に多く含まれているカフェインには、眠気を誘うアデノシンの働きを阻害する作用があるため、眠気がブロックされてしまいます。適量であれば問題ありませんが、過剰摂取すると不眠症といった睡眠障害を引き起こす可能性があります。
また、カフェインには利尿作用があり、夜中にトイレで起きてしまうかもしれません。 カフェインは摂ってから30分~1時間後に血中濃度がピークとなり、4~6時間後に血中濃度が半減するので、遅くとも入眠の6時間前からはカフェインを摂らないようにすることで、睡眠の質を下げなくて済みます。 ちなみに、お茶の中でも玉露は、コーヒーよりもカフェインが多く含まれるので注意が必要です。
玉露のカフェイン:100ml中に約160mg
煎茶のカフェイン:100ml中に約20mg
コーヒーのカフェイン:100ml中に約60mg
紅茶のカフェイン:100ml中に約30mg
ウーロン茶のカフェイン:100ml中に約20mg
アルコール
お酒は少量であれば寝つきがよくなるという研究結果は多くありますが、大量のアルコールは睡眠の大敵です。寝つきはよくなっても、夜中に目が覚める回数が増えたり、睡眠時間も短くなったりする傾向にあるため、睡眠の質が低下します。 また、お酒を飲んで寝ると、上気道を広げる筋肉が緩んだり、鼻や咽頭の通気が悪化するので、睡眠中に呼吸が止まりやすくなります。
無呼吸の時間が長くなってしまうので、睡眠時無呼吸症候群への影響も懸念されます。 今まで寝酒をしていた方が飲むのをやめると寝つきが悪いと感じてしまう場合があり、この不眠は長期化しやすいので、一度、医療機関に相談することがおすすめです。