あくびをするビジネスマン

あくびが止まらないのはなぜ?原因と予防方法、生あくびとの病気の関連性について

あくびが止まらないのはなぜ?原因と予防方法、生あくびとの病気の関連性について

快眠・安眠 睡眠

眠いときや退屈なときに出るイメージのある「あくび」ですが、眠気はないのに、「あくびが止まらない」「頻繁にあくびが出てしまう」という方も多いかと思います。

なかには、「もしかして病気なのでは?」と不安に感じている方もいるのではないでしょうか。

この記事では、あくびが止まらない原因と予防方法を、生理現象だけでなく、病気の視点からも解説しています。

あくびの役割

あくびをする男性

あくびとは、口を大きく開けながら数秒かけて深い呼吸をする運動のことを指し、人は1日に7〜8回程度、あくびをするとされています。

このあくびには、目を覚ます覚醒効果や、血流を増やして新鮮な血液を脳へ送る役割などがあるというのが通説です。

反対に、覚醒から睡眠へ変化させるときにもあくびが出たり、緊張状態から解放されてリラックスする効果があるとも言われています。

つまり、あくびの役割はまだ解明されていないことが多いのですが、覚醒や睡眠、緊張、リラックスなど、脳の状態を変化させるスイッチの役割をしていると考えられているのです。

あくびが出る原因

頭を抱えて困っている男性

実は、あくびの原因は明確に解明されていないというのが現状。

そのなかでも考えられる説として濃厚とされているのが、脳の視床下部(ししょうかぶ)という、自律神経の調整などをする部位のなかにある室傍核(しつぼうかく)という場所が指令を出すことによって起こるという説です。

では一体、どのようなタイミングであくびが出るのでしょうか。

睡眠不足

あくびは、脳を睡眠状態から覚醒状態に切り替えるときに出ると考えられています。あくびをすることで覚醒の脳波であるβ波が出るため、睡眠不足のときにあくびをすることで眠気を覚ますというわけです。

車の運転中や会議中など、絶対に寝てはいけないタイミングでも出やすくなります。それは、脳が眠い状態から覚醒状態に近づけるためと考えられています。

また人は退屈を感じると眠気が誘発されるので、退屈なシーンであくびが出る場合も多いです。

酸素不足

眠くなくてもあくびが出る場合は、脳が酸欠状態になっているからかもしれません。脳の酸欠状態とは、呼吸によって十分な酸素を取り込めず、脳への酸素が不足している状態です。

外気の酸素濃度は通常、約21%といわれています(※)。これが、満員電車や締め切った部屋などに多くの人が密集する状態になると、酸素濃度が薄くなり、呼吸が浅くなりやすいのです。短時間であれば問題ありませんが、長時間になると酸欠状態になり、あくびが出る原因につながると考えられています。

酸素不足は決して珍しいことではなく、誰にでも起こり得ます。 また、貧血や車酔いなどの体調不良によって、あくびの量が増えることもあります。

あくびは、より多くの酸素を取り込むことができるので、酸素不足を補おうとする一種の生理現象とも考えられます。

※参考:酸素欠乏・一酸化炭素中毒の防止|厚生労働省

脳の温度調整

さらに、あくびによって口や鼻から吸い込んだ息で脳を冷やし、温度調整をしているという説もあります。

脳の最適温度は約37度ですが、ストレスや不安、体調不良などによって脳の温度が上がると機能障害を起こしてしまいます。これを防ぐため、あくびが出やすくなるといわれているのです。

生あくびとは?

脳の温度を下げたり、脳の覚醒を促す効果などがあるといわれており、眠いときに出るあくびとは別に、眠気がないにも関わらず出る「生あくび」というものもあります。

生あくびは、緊張しているときや集中できていないときなどに出ることが多いようです。

あくびの原因が解明されていない以上、生あくびの原因も不明ですが、一説には、眠気を覚ますあくびとは異なり、病気のサインの可能性があるといわれています。

生あくびは病気のサイン?

医師

眠くないのに、頻繁に生あくびが出る場合は、病気の可能性があります。それぞれに該当する自覚症状があり、急に生あくびが増えたと感じる場合は、病気の予備軍またはすでに発症しているかもしれないので、すぐに医療機関を受診しましょう。

脳梗塞(のうこうそく)

脳梗塞は、脳に酸素や栄養を送る脳血管が詰まり、脳に障害が起こる病気です。

脳は場所によってそれぞれ役割があるため、障害の起きた部位によって症状が異なりますが、一般的に、手足の運動や感覚まひ、話しにくさ、注意機能の低下、フラフラするなどの症状が起こります。

脳腫瘍(のうしゅよう)

脳腫瘍は、頭蓋骨内に腫瘍が発生する病気です。

腫瘍によって脳が圧迫されることで、様々な機能障害を引き起こすため、脳梗塞と同様の症状が起きます。また脳腫瘍によって血管が詰まりやすくなるため、脳梗塞を併発する可能性もあります。

貧血・低血圧・狭心症

脳は、血液によって運ばれる酸素や栄養によって正常な機能を維持することができています。

そのため、貧血(血液に赤血球が不足している状態)や、低血圧(血圧低下によって血液が十分に行き届かない状態)、狭心症(心臓を取り巻く血管・冠動脈が細くなって血液が流れにくくなった状態)などでは、脳に異常をきたすことがあり、一般的に、目の粘膜や爪が白い、立ちくらみ、疲れやすいなどの症状が起こります。

貧血や低血圧は我慢できてしまうケースもありますが、放置したままにはせず、改善を図りましょう。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、眠っているあいだに一時的に呼吸が止まったり低呼吸になる病気です。

睡眠時に無呼吸や低呼吸になることで酸素濃度が低下し、脳も身体も酸欠状態に陥るため、睡眠の質が悪くなります。そのため、睡眠時間が確保できていて自分ではしっかり眠っているつもりでも、脳が休まらないので、いつの間にか寝不足の状態となってしまいます。

頻繁なあくびや日中に耐えられないほどの眠気がある場合は、一度、寝具や睡眠環境を見直してみましょう。睡眠の質を高めることで、睡眠時無呼吸症候群を改善することができたり、満足のいく睡眠を得られる可能性があります。

その他

上記でご紹介した4つの病気の他にも、偏頭痛や熱中症、車酔い、更年期障害などの体調不良でも、生あくびが増える可能性があります。

ただの生あくびと思わず、症状に心当たりのある方は、医療機関を受診してください。

生あくびの予防方法

何かを思いついた男性

生あくびが頻繁に生じることで、日常生活に影響が出ている方もいることと思います。その際、生あくびを予防する方法は主に5つあります。
  • 睡眠
  • 適度な運動
  • 深呼吸
  • 鉄分の摂取
  • 医療機関の受診

睡眠

頻繁にあくびをする原因のなかで最も多いのが睡眠不足です。自分では眠気を感じていなくても、実際には睡眠不足に陥っている場合もあります。

睡眠時間が足りず日中に眠気を感じる場合は、睡眠時間を長くするか昼寝をしましょう。「6時間睡眠が2週間続くと、脳のパフォーマンスは、ひと晩徹夜したときと同程度になる」といわれているほど、睡眠不足と日中のパフォーマンスには密接な関係があるからです。

しかし、しっかり睡眠時間を確保していても、睡眠の質が悪いために寝不足に陥っているケースもあります。反対に、睡眠の質が高ければ、少ない睡眠時間内でも効率的に身体や脳を休めることができ、翌朝、頭がクリアな状態を維持することができるので、集中力アップ、イライラしない安定したメンタルなど、仕事のパフォーマンスにつながる効果が期待できます。

身体に合わない寝具や、快適でない睡眠環境では睡眠の質が低下してしまうので、深い睡眠を得られる枕やマットレス、寝室の環境などを意識してみましょう。

枕やマットレスの選び方については、以下の記事をご覧ください。
睡眠の質を上げる枕の上手な選び方。後悔しない選定基準とは?
朝の目覚めが変わる!?QOLが上がるマットレスの上手な選び方

適度な運動

デスクワークやゲームなどで長い時間同じ姿勢を続けていると、血行不良になって酸素が全身に行き渡らなくなるため、あくびが出ます。血流を促すために、小まめに立ち上がったり、ストレッチや軽い運動を取り入れましょう。

日々の生活に適度な運動を取り入れて筋肉をほぐすことで、寝つきがよくなるので、睡眠不足解消にもつながります。

深呼吸

深呼吸は体内に多くの酸素を取り入れることができるので、酸素不足によるあくびの予防に効果的です。

お腹を膨らませるようにゆっくりと鼻から息を吸って、お腹を凹ませるようにゆっくりと口から息を吐き出しましょう。10回程度、腹式呼吸を繰り返すことで、全身に酸素が行き渡り、酸欠状態が改善します。

なにかに集中しているときは呼吸が浅くなりやすいので、仕事の合間などに取り入れましょう。

鉄分の摂取

鉄分が不足すると、体内に酸素を運搬する役目を担っている「ヘモグロビン」が少なくなり、貧血状態に陥りやすくなります。貧血になると、全身の細胞に酸素が行き渡りにくくなるので、頭痛やだるさ、肩凝り、息切れやめまいなどの症状が起きます。貧血を防ぐために、鉄分を豊富に含む食材を意識的に摂取しましょう。

成人男性の鉄分の摂取目標は、1日あたり7.5mg~1mgとされています。食品にすると、鶏レバー100g、あさり200g程度になりますが、食事で摂取するのが難しい場合は、鉄剤やサプリメントを服用しましょう。

ただし、鉄は過剰摂取の弊害もあるので、適正量を心がけてください。

鉄分には、身体に吸収されやすい「ヘム鉄」と、吸収されにくい「非ヘム鉄」の2種類があり、十分な量の鉄分を摂取するには、両方をバランスよく摂取することが大切です。

また、たんぱく質やビタミンCが含まれる食材と一緒に摂ることで吸収率が上がるとされています。

ヘム鉄が豊富な食材は煮干し、レバー、しじみ、あさり、ほたて、牡蠣などで、非ヘム鉄が豊富な食材は小松菜、枝豆、水菜、ほうれん草、サニーレタス、ブロッコリーだといわれています。

医療機関の受診

ここまでで述べた方法を取り入れてもあくびが改善されない場合は、脳神経外科や神経内科を受診するという選択肢もあります。

あくび以外に、めまい、手足のしびれ、ふらつき、ろれつが回らないなどの症状が気になる場合は、脳の病気が隠れている可能性があります。

もしかしたら熟睡できていないのかも?

寝不足の女性

あくびには様々な役割があり、病気が隠れている可能性もありますが、まずは睡眠不足解消を意識しましょう。

最近では、睡眠時間よりも睡眠の質を重視する方が増えています。睡眠の質が悪いと、自分ではしっかり眠っているつもりでも、いつの間にか睡眠不足に陥っているかもしれません。

そのため、睡眠環境を整えて熟睡できるようにすることが必要です。寝室の温度や湿度を調整したり、深い眠りをもたらしてくれる寝具を活用したりしましょう。

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寝ても寝ても眠いのはなぜ?一日中眠くなってしまう原因と対策を解説

睡眠コラム

「いくら寝ても頭がスッキリしない」「日中に眠くなるので仕事に影響が出てしまう」などの症状を誰しも一度は経験したことがあるかもしれません。十分な睡眠時間をとっているにも関わらず、日中眠くなるのにはいくつかの原因があります。 この記事では寝ても寝ても眠いと感じる方のために、原因や対処方法を紹介します。病気や疾患が隠されている可能性があるので、早めに対策を取りましょう。 寝ても寝ても眠い原因とは? 寝ても寝ても眠気が取れない原因は、睡眠時間や質の低下、精神的・身体的ストレス、アルコールの影響、潜在的な疾患など様々な要因が関係していますが、大きく以下の4つに分類できます。 日常生活の問題 病気・疾患の問題 女性ホルモンによる影響 季節の変化 いくら寝ても日中に眠くなる症状は単なる睡眠不足だけでなく、うつ病や甲状腺機能低下症など、基礎疾患が隠れている可能性もあるため注意が必要です。 ここからは、それぞれの分類について詳しくご紹介していきます。 日常生活の問題による影響 睡眠不足や環境による睡眠の質の低下により、日中に強い眠気を感じることがあり、仕事や日常生活に支障をきたしてしまいます。さらに精神的・身体的ストレスによって自律神経が乱れ、睡眠障害を引き起こすこともあるかもしれません。 具体的な要因についていくつか見ていきましょう。 日常的な睡眠不足 日本人の平均睡眠時間は世界的に見ても短い水準にあり、男女ともに「6時間以上7時間未満」が最も多い傾向で約53.7%、次いで「6時間未満」が約37.9%となります。 しかし、個人差はありますが一般的に適切な睡眠時間は、成人で6〜9時間が推奨されており、睡眠不足とされる方が多くいるのが現状です。さらに睡眠不足が続くと、「睡眠負債(睡眠の借金)」と呼ばれる状態となり、目覚めが悪い、日中の眠気が強い、体調不良、イライラするなどの症状が現れます。 参考:良い目覚めは良い眠りから 知っているようで知らない 睡眠のこと - e-健康づくりネット(厚生労働省) 睡眠不足による睡眠負債が続いた場合、日中に眠くなるのが当たり前のようになることも懸念点として挙げられます。 睡眠負債はまとめて一日たっぷり眠っただけでは解消できず、長期的な取り組みが必要です。睡眠負債は心身に悪影響を及ぼすため、早期に対策を立てるようにしましょう。 睡眠の質の低下 寝室の温度や湿度、照明、生活音などが適切でないと、質のよい睡眠を取れなくなります。例えば、寝室が暑すぎたり寒すぎたりすると、睡眠リズムが作れず眠りにくくなります。また、明るい照明や外部からの騒音も、脳が刺激されて安定した睡眠を妨げる要因になるため要注意です。 さらに、寝具の状態が悪いと、体が十分に休めず朝起きても疲れが取れないため、日中に眠くなってしまう可能性があります。このように、睡眠環境は質のよい睡眠を得るために重要な要素となります。 心理的なストレス 心理的なストレスとは、生活上の出来事や環境の変化などによって引き起こされる心理的な緊張、不安、焦りなどの心の状態のことです。 心理的ストレスは自律神経系に大きな影響を及ぼし、睡眠不足の原因となることがあります。通常、夜間は副交感神経が優位になり、リラックスした状態で入眠しやすくなりますが、ストレスが続くと交感神経が優位になります。 交感神経系が優位になると、脳の疲労回復に重要なノンレム睡眠(深い眠り)の時間が減少するため、十分な休息が得られず翌日の眠気や集中力の低下につながってしまうのです。...

寝ても寝ても眠いのはなぜ?一日中眠くなってしまう原因と対策を解説

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「いくら寝ても頭がスッキリしない」「日中に眠くなるので仕事に影響が出てしまう」などの症状を誰しも一度は経験したことがあるかもしれません。十分な睡眠時間をとっているにも関わらず、日中眠くなるのにはいくつかの原因があります。 この記事では寝ても寝ても眠いと感じる方のために、原因や対処方法を紹介します。病気や疾患が隠されている可能性があるので、早めに対策を取りましょう。 寝ても寝ても眠い原因とは? 寝ても寝ても眠気が取れない原因は、睡眠時間や質の低下、精神的・身体的ストレス、アルコールの影響、潜在的な疾患など様々な要因が関係していますが、大きく以下の4つに分類できます。 日常生活の問題 病気・疾患の問題 女性ホルモンによる影響 季節の変化 いくら寝ても日中に眠くなる症状は単なる睡眠不足だけでなく、うつ病や甲状腺機能低下症など、基礎疾患が隠れている可能性もあるため注意が必要です。 ここからは、それぞれの分類について詳しくご紹介していきます。 日常生活の問題による影響 睡眠不足や環境による睡眠の質の低下により、日中に強い眠気を感じることがあり、仕事や日常生活に支障をきたしてしまいます。さらに精神的・身体的ストレスによって自律神経が乱れ、睡眠障害を引き起こすこともあるかもしれません。 具体的な要因についていくつか見ていきましょう。 日常的な睡眠不足 日本人の平均睡眠時間は世界的に見ても短い水準にあり、男女ともに「6時間以上7時間未満」が最も多い傾向で約53.7%、次いで「6時間未満」が約37.9%となります。 しかし、個人差はありますが一般的に適切な睡眠時間は、成人で6〜9時間が推奨されており、睡眠不足とされる方が多くいるのが現状です。さらに睡眠不足が続くと、「睡眠負債(睡眠の借金)」と呼ばれる状態となり、目覚めが悪い、日中の眠気が強い、体調不良、イライラするなどの症状が現れます。 参考:良い目覚めは良い眠りから 知っているようで知らない 睡眠のこと - e-健康づくりネット(厚生労働省) 睡眠不足による睡眠負債が続いた場合、日中に眠くなるのが当たり前のようになることも懸念点として挙げられます。 睡眠負債はまとめて一日たっぷり眠っただけでは解消できず、長期的な取り組みが必要です。睡眠負債は心身に悪影響を及ぼすため、早期に対策を立てるようにしましょう。 睡眠の質の低下 寝室の温度や湿度、照明、生活音などが適切でないと、質のよい睡眠を取れなくなります。例えば、寝室が暑すぎたり寒すぎたりすると、睡眠リズムが作れず眠りにくくなります。また、明るい照明や外部からの騒音も、脳が刺激されて安定した睡眠を妨げる要因になるため要注意です。 さらに、寝具の状態が悪いと、体が十分に休めず朝起きても疲れが取れないため、日中に眠くなってしまう可能性があります。このように、睡眠環境は質のよい睡眠を得るために重要な要素となります。 心理的なストレス 心理的なストレスとは、生活上の出来事や環境の変化などによって引き起こされる心理的な緊張、不安、焦りなどの心の状態のことです。 心理的ストレスは自律神経系に大きな影響を及ぼし、睡眠不足の原因となることがあります。通常、夜間は副交感神経が優位になり、リラックスした状態で入眠しやすくなりますが、ストレスが続くと交感神経が優位になります。 交感神経系が優位になると、脳の疲労回復に重要なノンレム睡眠(深い眠り)の時間が減少するため、十分な休息が得られず翌日の眠気や集中力の低下につながってしまうのです。...