「朝かけたはずの目覚まし音が聞こえず、朝起きられなかった」そんな経験をしたことがある方は多いかもしれません。このような目覚めの悩みには、睡眠障害や生活習慣の乱れ、体調の問題など、様々な要因が隠れている可能性があります。
この記事では、目覚ましが聞こえない原因と、睡眠環境の改善方法、最新のスリープテクノロジーを活用した解決策まで、健やかな朝を迎えるためのポイントを詳しく解説します。
目覚ましが聞こえない原因
目覚ましが聞こえない原因は複数挙げられます。
睡眠不足
人は頭で十分な睡眠を取れていると感じていても、身体は睡眠(休息)が不足している状態に陥っていることがあります。その場合、睡眠時間は十分に確保できていても、睡眠が浅いことで休息がしっかり取れていないのです。
一般的に健康的な睡眠時間は6〜8時間といわれていますが、これは目安であり、年齢や生活習慣、体質などによって個人差があるため、自分に合った適切な睡眠時間を見つけることが大切です。
また、理想の睡眠時間を詳しく知りたい方は下記の記事を参考にしてください。
理想の睡眠時間はどのくらい?最適な時間の見つけ方と確保の仕方
低血圧
低血圧とは、動脈内を流れる血液が血管壁を押す圧力が低い状態を指し、血圧低下により各臓器への血液供給量が減少することです。
WHO(World Health Organization:世界保健機関)の世界共通基準では、最高血圧が100mmHg以下、最低血圧が60mmHg以下の状態を低血圧と定義しています。
低血圧になった結果、寝起きが悪くなったり、目覚ましが鳴っても即座に身体を動かせなくなったりする症状が現れます。
この症状は、特に女性に多く見られ、朝の準備に時間がかかることが多いようです。低血圧で朝に弱いと自覚している方は、規則正しい睡眠習慣の確立や適度な運動を心がけ、早めにアラームをセットして起床時にゆっくりと身体を起こすなどの対策が必要となります。
うつ病
うつ病は不眠を引き起こすことが一般的に知られていますが、反対に過度の眠気や長時間の睡眠が続く過眠が症状として現れることもあります。
これはうつ病による意欲の低下や疲労感の増大、体内リズムの乱れなどが要因です。通常より長時間の睡眠にも関わらず、疲労感が改善されない状態が続く場合も少なくありません。
ロングスリーパーなどの体質
体質的に必要な睡眠時間が長いロングスリーパーの方は、一般的な睡眠時間より多くの睡眠を必要とします。
このため、前日の夜に早めの就寝をしなかった場合、十分な睡眠時間を確保できず、翌朝になっても目覚めることが難しくなり、日中の活動に支障をきたすことがあります。
ロングスリーパーに関して詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。
実は自分もロングスリーパー?特徴や原因、診断方法と治し方について
薬の副作用
長時間作用型の睡眠薬は効果が翌朝まで持続するため、作用が朝になっても残存している場合があります。
そのため、目覚まし時計が鳴ってもすっきり目覚められず、起床が困難になったり、朝の活動に支障をきたしたりします。
目覚ましが聞こえない場合に考えられる病気
目覚ましの大きな音にさえ気付かずに眠り続けてしまう場合、単なる寝坊や睡眠不足ではなく、睡眠相後退症候群や概日リズム睡眠障害などの潜在的な病気が隠れている可能性があります。
睡眠相後退症候群
睡眠相後退症候群は、夜間の光刺激により体内時計が乱れ、就寝時刻と起床時刻が通常より遅くなってしまう睡眠リズムの障害です。
大切な試験や仕事の予定があっても起きられず、学業や職務に支障をきたすなど、日常生活に深刻な影響を及ぼしてしまいます。
この症候群は特に思春期から青年期に多く発症することが知られており、若い世代の生活に大きな支障を与える可能性がある疾患です。
参考:e-ヘルスネット|睡眠相後退(前進)症候群(すいみんそうこうたい(ぜんしん)しょうこうぐん)
概日リズム睡眠障害
概日リズム睡眠障害は、体内時計による睡眠・覚醒リズムの調節機能に問題が生じる疾患です。
人間の体内時計は、体温変動や自律神経系、内分泌ホルモン系、免疫・代謝系などと同様に約1日の周期で働く概日リズムによって制御されています。
通常、人の体内時計は約25時間周期で動いていますが、外界の24時間周期に適切に同調できないことで、睡眠と覚醒のリズムが乱れ、様々な睡眠に関する問題が起きます。
参考:e-ヘルスネット|概日リズム睡眠障害(がいじつりずむすいみんしょうがい)
起立性調節障害
自律神経の機能低下によって引き起こされ、起立時に全身や脳への血液供給が適切におこなわれなくなる疾患です。
健康な状態では、立ち上がる際に交感神経が働くことで心臓への血液還流量が増加し、血圧が維持されますが、この機能が低下すると朝の起床が著しく困難になります。
症状が重い場合、目覚ましの音すら認識できないほど重度の起床困難に陥ることもあります。午後になると徐々に改善されやすくなるのが特徴です。
閉塞型睡眠時無呼吸
睡眠時無呼吸症候群のなかでも多い「閉塞性睡眠時無呼吸症」は、国内の推定患者数は900万人を超えるといわれています。
しかし、症状に対する自覚があまりないことから、実際に治療を受けている患者は50万人に満たない状況です。
閉塞性睡眠時無呼吸症は、主に肥満や扁桃肥大などが原因です。上気道が塞がれることにより、睡眠中に呼吸が一時的に停止し、たびたび夜中に目が覚めてしまうことによって睡眠が浅くなります。
その結果、十分な休息が得られず、朝起きるのが難しくなるという症状が現れます。
参考:一般社団法人 日本内科学会|II.睡眠時無呼吸症候群(SAS)の疫学
周期性四肢運動障害
周期性四肢運動障害は、むずむず脚症候群との合併が多く見られる睡眠関連運動障害の一つです。夜眠っている間に足が周期的にピクつき、途中で起きてしまったり眠りが浅くなったりします。
その結果、熟睡感が得られず、日中の眠気や疲労感が増加して日常生活に影響を及ぼします。
また、加齢とともに発症リスクが高まるのもこの病気の特徴です。ほとんどの方は、睡眠中の脚の動きを自覚していないため、家族やパートナーからの指摘で初めて気付くことが多いようです。
周期性四肢運動障害は、貧血による鉄不足や腎不全などの基礎疾患にともなって発症することが多く、特に鉄欠乏によるドパミン産生障害が原因の一つとして知られています。
参考:国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所睡眠・覚醒障害研究部|睡眠関連運動障害
レム睡眠行動障害
レム睡眠とは、夢を見る浅い睡眠状態のことです。通常レム睡眠では身体の筋肉が弛緩して動きが抑制されます。
しかし、レム睡眠行動障害になると、この筋肉の抑制機構が正常に機能せず、夢の内容がそのまま実際の身体動作として現れてしまいます。
症状が顕著に現れると夢に反応して大声で寝言を言ったり、腕を振り上げてなにかを探すような動作をしたり、殴る、蹴るなどの激しい行動を取ったりすることがあります。 重症化してしまうと、本人や一緒に寝ている人が怪我をする危険性もあるため、早めの対策が必要です。
参考:e-ヘルスネット|レム睡眠行動障害(れむすいみんこうどうしょうがい)
目覚ましが聞こえない場合の改善方法
目覚ましの音が聞こえないときの対処法を6つご紹介します。- 就寝前はスマートフォンの使用を控える
- 朝起きたら日光を浴びる
- 食生活を見直す
- 適度な運動を取り入れる
- アラームを2段階に設定する
- 寝具などで睡眠環境を整える
就寝前はスマートフォンの使用を控える
夜間にスマートフォンやパソコンなどの画面から発せられる光の刺激(ブルーライト)を浴びると、体内時計が乱れ、健康的な睡眠サイクルが妨げられます。
そのため、快適な目覚めを促すには、就寝前は光を発するデバイスの使用を避け、体内時計の正常な働きを維持することが大切です。
朝起きたら日光を浴びる
朝の太陽光には体内時計を調整し、脳を覚醒させる働きがあります。朝になると自然に朝日が入る環境を整えることで、スムーズに目覚められます。
朝の光を浴びることは体内時計をリセットする働きもあるため、健全な睡眠リズムを確立するうえでもおすすめの方法です。
ただし、就寝時にカーテンを開けたままにする際は、防犯上のリスクも考えられるため、窓の施錠や防犯対策には注意を払う必要があります。
食生活を見直す
朝食を摂取することは内臓機能を活性化させ、身体と脳を目覚めさせます。
また、夕食と就寝の時間を3時間以上空けることで、消化活動が睡眠の質に影響を与えることを防ぎ、より良質な睡眠が得られ、結果として翌朝の目覚めも改善されます。
適度な運動を取り入れる
無理のない程度に週3回程度から開始し、1回あたり30分から1時間を目安に運動することをおすすめします。
ただし、最初から激しい運動をおこなうと交感神経が興奮して逆効果になるため、適度な運動強度でおこなうことが重要です。
また、就寝直前1時間以内の激しい運動は、睡眠の質や量に悪影響を及ぼすため避けましょう。
忙しくて運動する時間が取れない方は、エレベーターではなく階段を利用したり、近距離の移動には歩いたりするなど、日常生活のなかで運動を取り入れましょう。
その他の睡眠の質を上げる方法は下記の記事でご紹介しています。ぜひ参考にしてください。
睡眠の質を上げる方法とは?質の決まり方や質を下げてしまう原因も解説
アラームを2段階に設定する
アラームを2段階に分けて設定し、1回目と2回目の間隔を20分程度空けることで、浅い睡眠状態であるレム睡眠の時間帯に起床できる可能性が高まります。
レム睡眠時に目覚めると、比較的スムーズに起きられるため、この方法は効果的な起床方法の一つです。
寝具などで睡眠環境を整える
快適な睡眠を確保するためには、寝室の環境を整えることが大切です。適切な温度や湿度を維持することで、睡眠の質が向上します。
また、自分の体型や寝姿勢に合った寝具を選ぶと、心地よい睡眠環境を作れ、結果として朝の目覚めも改善されます。
睡眠アプリや睡眠用の時計を活用してみる
目覚ましが聞こえにくい方のために、様々な睡眠アプリや専用の睡眠アラームが開発されています。
近年のIoTデバイスの発達により、睡眠サイクルを分析し、最適なタイミングで起床を促す機能や、睡眠の質を可視化して睡眠環境を改善するためのツールが普及しています。
これらを活用することで、より効果的な目覚めが期待できます。
下記の記事で最新の睡眠アプリをご紹介しているので、ぜひ活用してみてください。
【2024年最新】本当に使える睡眠アプリの選び方
生活習慣や睡眠環境の改善で目覚ましが聞こえない悩みを解消しよう
目覚ましが聞こえないという問題は、日々の生活習慣の見直しと適切な睡眠環境の整備によって改善できることがあります。
就寝前のスマートフォン使用を控え、朝の太陽光を活用し、適度な運動習慣を取り入れましょう。さらに快適な寝室環境を整えることで、自然な目覚めを促します。
日々のなかで生活改善に取り組めば、健やかな目覚めと充実した朝を迎えられます。
ブレインスリープでは睡眠の質を上げるおすすめのアイテムを提供しているので、ぜひご利用ください。