日中忙しく活動して疲れているにも関わらず、なかなか眠りにつけなかったり、眠ってもすぐに目が覚めてしまったり、「もしかしたら不眠症かも?」と感じたことのある方が多いかと思います。寝不足が続き、今日こそは早く寝ようと横になっても、脳のスイッチをオフにすることができない……そんな、疲労がたまっているのに眠れない原因や、改善方法をご紹介します。
そもそも睡眠や不眠とは?
そもそも睡眠はなぜ必要なのでしょうか?そして、不眠とはどのような状態を指すのでしょうか?
最近よく眠れない=不眠症と断定する前に、睡眠や不眠の定義とそれらが心と体に与える影響を知っておきましょう。
睡眠の種類と効果
睡眠は、浅い眠りのレム睡眠と深い眠りのノンレム睡眠を90分周期で繰り返しており、体の回復以外にも様々な効果があります。
例えば、1回目のノンレム睡眠(深い眠り)には、骨・筋肉の発達や組織の修復に関わる成長ホルモンが分泌されます。また、ダイエット効果や、肌や髪がきれいになるなどの美容効果もあるといわれています。
一方、レム睡眠(浅い眠り)の最中におこなわれるのは、記憶の固定や感情の整理です。これらは、学習やストレス発散によい影響があるといわれています。
このように睡眠には身体を休めるだけでなく、成長や怪我の回復、ストレス発散など美容など多くの役割があるため、睡眠不足になると心身に様々な不調があらわれます。
不眠が身体に及ぼす影響
“不眠症”とは、睡眠不足により日中に倦怠感や疲労感、集中力の低下などが起こり、日常生活に悪影響を及ぼしている状態のことを指します。
寝付きが悪い、寝たのに疲れがとれない、夜中に何度も目が覚める、起床予定より早く目覚めてそれ以降眠れないなど、その理由は様々です。
不眠症が続くと集中力や注意力の低下だけでなく、食欲不振や抑うつ、頭痛など様々な症状を引き起こすリスクがあるため、原因に応じて適切な対処法をとる必要があります。
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眠れないまま 朝になった…もしかして不眠症?
眠いのに寝れない原因は不眠症?
必要な睡眠時間は人によって異なるため、睡眠時間が短くても、日中に問題なく活動できている場合は、不眠症ではありません。
“不眠症”になる原因は様々ですが、その代表的なものとしては以下の10個が挙げられます。
- 過覚醒
- ストレスや自律神経の乱れ
- 女性ホルモンの乱れ
- 生活リズムや体内時計の乱れ
- カフェインの取りすぎ
- 就寝前のスマートフォンやパソコンの使用
- 運動不足
- 就寝前の飲酒
- 就寝前の喫煙
- 薬の副作用
過覚醒
仕事やプライベートが忙しく、長期間にわたって眠らない状態が続くと、体が過覚醒モードになり、睡眠モードになりにくくなってしまいます。また、夜遅い時間にスポーツをしたり、重度のストレスを感じながら一日を過ごしたときなども、脳のスイッチがオンになっているため、なかなかオフできず、寝付きが悪くなります。
ストレスや自律神経の乱れ
不安や緊張による強いストレスによって自律神経が乱れると、寝付きが悪くなります。
もし、ベッドに入ってから眠りにつくまでに30分以上かかる状態が常習化している場合は、“入眠障害”の可能性もあります。過剰な仕事量に追われていないか、きちんと休息がとれているか、長期間解決できずに悩んでいることがないかなどを振り返ってみましょう。心だけでなく、体も緊張状態となっているかもしれません。
女性ホルモンの乱れ
女性の場合、月経周期における女性ホルモンの変動も睡眠不足の原因になりえます。
人は、就寝時に深部体温という身体の内部の温度を低下させることで眠る準備をします。眠くなっているときに手足が温かくなるのもこのためで、身体の熱を外に放つことで深部体温を下げているのです。
しかし、月経中は女性ホルモンの一つであるプロゲステロンの分泌が増加することで、普段より体温が上昇。いつもより眠りにくい状態となります。
その一方で、もう一つの女性ホルモンであるエストロゲンは、月経中に減少します。エストロゲンにはストレスから身を守る役割があるため、人によってはストレスから眠れなくなってしまう場合もあります。
生活リズムや体内時計の乱れ
平日と休日で起きる時間が違ったり、夜更かしする日が多かったり、朝食を抜くなどの習慣は、体内時計が正しく働かず、眠れない原因になります。体内時計がリセットされてから14~16時間ほどで、睡眠を促すホルモンである“メラトニン”が分泌されて休息状態になるといわれていますので、生活リズムや体内時計を整えることで、スムーズな入眠を促すことができます。
カフェインの取りすぎ
これはご存知の方も多いかもしれませんが、就寝前のカフェインを多く含む飲み物は交感神経を刺激するため、入眠しにくくなります。夕食後に、エナジードリンクや栄養ドリンク、コーヒー、紅茶、緑茶、ウーロン茶、ほうじ茶などを飲む習慣のある方は注意しましょう。
就寝前のスマートフォンやパソコンの使用
スマートフォンやパソコンの画面から発生するブルーライトは、睡眠を促すメラトニンの生成を抑制する働きもあり、眠りの妨げになります。覚醒作用があるだけでなく、ベッド内で強い光を浴びると体内時計が狂ってしまい、寝付きの悪さにつながります。また、ブルーライトを発生する光源を長時間見ることは目への負担にも。入眠の1〜2時間前からは、デジタルデトックスするように心がけましょう。
運動不足
仕事で頭が疲れていても、体が疲れていないと眠れない場合があります。特にデスクワーク中心の職業の方や、車移動などで体を動かしていない方は、意識的に体を動かすようにしましょう。
就寝前の飲酒
「お酒を飲んだ方がよく眠れる」と感じた経験のある人もいるかと思いますが、よくある誤解のひとつです。アルコールには、脳の中枢神経を抑制する作用があるため、一時的に眠くなりますが、アルコールが分解される際に発生するアセトアルデヒドには覚醒作用があるので、眠りを浅くし、夜中に目が覚める原因となります。
就寝前の喫煙
煙草に含まれるニコチンには覚醒効果があります。そのため、寝付きが悪くなったり、睡眠が浅くなる傾向があるので、注意が必要です。
薬の副作用
薬を使用している場合、薬の副作用が不眠の原因となることもあります。
睡眠を妨げる薬としては、主に以下の薬剤が挙げられます。
- ステロイド薬
- 抗ヒスタミン薬
- 抗てんかん薬
- 抗がん剤
- 降圧剤
- 気管支拡張薬
- パーキンソン病治療薬
これらの処方薬には、覚醒作用または睡眠の減弱作用がある成分が含まれている場合があり、不眠や日中の眠気の原因となっている可能性があります。
眠れない夜にぐっすりと寝るための対策10個
寝付きを良くするポイントは、原因の明確化と自律神経のコントロールです。
具体的には、以下の10個の対策が挙げられます。
- ストレスの原因と発散方法を考えてみる
- 無理に寝ようとしない
- ストレッチなどの軽い運動をする
- 3時間前までに食事を済ませる
- 朝日を浴びる
- ぬるめのお風呂に入る
- 腹式呼吸で深い呼吸を整えてみる
- アロマオイルを使ってみる
- 音楽(BGM)を流す
- 眠る環境を意識する
ストレスの原因と発散方法を考えてみる
過剰なストレスは良質な睡眠の妨げとなるので、自分のストレスをコントロールすることが大切です。まずは、どのような状況下でストレスを感じやすいかの傾向を考え、こまめに発散・解消する方法を探してみてください。
非日常を味わえる旅行などの大きなことから、少し贅沢な食事をする、好きなカフェでボーッとする、映画やドラマを見て思いっきり笑ったり泣いたりするといった日常の些細なことまで、自分の感情を開放できる場を見つけるために、様々なストレス発散方法を試してみましょう。
また、ポジティブなとらえ方をする習慣づけもおすすめです。凝り固まった思考でいること自体がストレスにつながる場合もあるので、柔軟な考え方を身につけましょう。ストレスを感じるのは仕方のないことですが、その都度、自分で発散・解消することができれば、心だけでなく、体の緊張も和らぎ、寝付きが良くなります。
無理に寝ようとしない
ベッドで横になったのに、眠気を感じない、目が冴えていると感じるときは、無理に寝ようとせず、一度ベットから出てみましょう。 我慢して横になったまま過ごすと、不眠の悪化や熟睡感を感じにくくなってしまいます。
もし日中の眠気が我慢できないときや、集中力が切れてしまうときは、10~15分程度の仮眠をとると、脳の疲労が改善され、作業効率を上げることに役立つと言われています。
また、適切な睡眠時間は人によって異なるので、日中に眠気を感じないのであれば、短時間睡眠が続いていても問題ありません。
ストレッチなどの軽い運動をする
自律神経には、緊張や興奮を司る交感神経と、リラックスや睡眠を司る副交感神経があります。普段はお互いがバランスを取り合いながら働いていますが、寝る前は副交感神経が優位になるように工夫すると眠りにつきやすくなります。
ゆっくり体を伸ばす静的ストレッチは、筋肉を緩めることで副交感神経を優位にしてくれるため、睡眠前におすすめです。
静的ストレッチ①手のリラックス
こぶしを握った状態を5秒くらいキープします。
その後一気に脱力して、力が抜ける感覚を味わいましょう。
静的ストレッチ②足のリラックス
仰向けの状態で足首をぐっと身体のほうに起こし、その状態を5秒くらいキープしたあと、脱力します。足首を起こしているときは、アキレス腱が伸びているのを感じましょう。
静的ストレッチ③全身のリラックス
仰向けになって、手はこぶしを握り、つま先は天井に向いている状態にします。そのまま全身に力をいれて5秒間キープしたあと、息を吐きながら思いっきり全身の力を抜きましょう。
これらを2〜3回繰り返すことで筋肉が緩み、リラックスできます。
どれもベッド・布団の上で簡単に実践できるため、寝る前やなかなか眠れないときに試してみるとよいでしょう。
3時間前までに食事を済ませる
よい睡眠をとるには、満腹・空腹どちらの状態も避けるのが賢明です。特に寝る直前に食事をとると、血糖値の上昇によって脳が覚醒してしまいます。
食べ物を消化するためには2~3時間かかるため、寝る3時間前までに夕食を済ませておくとよいでしょう。
また、もしお腹が空いて眠れない場合はうどんやお茶漬け、スープなど血糖値が上がりにくいものを食べるのがおすすめです。
朝日を浴びる
起きたらまずカーテンを開け、太陽の光を15秒ほど浴びましょう。朝に強い光を浴びると体内時計がリセットされ、約14~16時間後に睡眠をつかさどるホルモンの“メラトニン”が分泌されるので、夜になると自然と眠くなるサイクルを身に付けることができます。これは、曇りや雨天の日でも効果があります。
ぬるめのお風呂に入る
眠る1~2時間程度前に、38度程度のぬるめのお湯で25~30分ほど入浴すると、副交感神経が優位になり、リラックス効果が高まります。また、入浴によって一時的に上がった体温が下がるタイミングで眠気を誘発させることができます。腹部までつかる半身浴の場合は、40度程度のお湯に30分ほど入浴すると同様の効果があります。
ただし、入眠直前に42度以上の熱いお風呂につかると、交感神経が働くので気をつけましょう。
腹式呼吸で深い呼吸を整えてみる
腹式呼吸とは、横隔膜という胸とお腹を仕切っている筋肉を使って、息を深く吸い込む呼吸法です。
深い呼吸を繰り返すことで、副交感神経を優位に働かせ、身体をリラックスさせることができます。また、呼吸を数えることに意識を向けることで、いつの間にか眠りにつけるかもしれません。
腹式呼吸の簡単な方法は以下のとおりです。
- 口から大きく息を吐く
- ゆっくり息を吐ききったら、鼻から息を吸う
- 吸うときの倍くらいの時間をかけて、また口からゆっくりと息を吐く
息を吐く時はお腹がへこむのを、そして息を吸う時はお腹が膨らむのを感じるのがポイントです。からだのなかの悪いものや、いやなこともすべて出しきるよう息を吐くことで、身体も心もリフレッシュできます。
アロマオイルを使ってみる
毎晩の入眠時にアロマオイルを焚く習慣づけもおすすめです。一般的には、リラックス効果のある、ラベンダーやカモミール、クラリセージなどがよいとされていますが、いろいろ試して、一番眠れると感じる自分に合った香りを見つけましょう。
音楽(BGM)を流す
入眠習慣に音楽を取り入れるのもよいと言われています。YouTubeや音楽系のサブスクリプションサービスで、“睡眠導入”や“眠くなる”などのワードで検索すると、たくさんのBGMが見つかります。
眠る環境を意識する
スウェットやジャージなどの部屋着を着たまま眠っているせいで、寝付きが悪くなっている可能性があります。また、“眠る前にパジャマを着る”という決まった行動をとることで、脳が眠る準備をはじめ、自然と眠くなると言われています。
パジャマを選ぶ際には、肌ざわりがよく、吸水性や速乾性が高いコットンやシルク、疲労回復してくれるリカバリーウェアがおすすめ。季節に関係なく、長袖・長ズボンを着用することで、汗を吸収、蒸発し、体温が下がることで眠気が強まります。
また、寝具にもこだわることで、より質の高い睡眠を得ることが可能。自分に合っていて、リラックスできるパジャマや寝具を選ぶようにしましょう。
眠れないときには睡眠の量ではなく質にこだわる
一般的に、睡眠時間は7時間程度は必要と言われていますが、忙しい現代人が、毎日長時間の睡眠時間を確保するのは難しいもの。そのため、最近は睡眠時間だけでなく、睡眠の質に注目が集まっています。睡眠の質が高ければ、限られた睡眠時間内で効率的に体や脳を休めることができ、翌朝、頭がクリアな状態を維持できます。集中力アップ、イライラしない安定したメンタルなど、仕事のパフォーマンスにつながる効果も期待できます。
そもそも必要な睡眠時間は、年齢や日中の活動量、体調などによって異なるため、睡眠時間にこだわらず、日中に眠くならないかどうかが重要です。睡眠の量ではなく質にこだわりましょう。
睡眠の質を上げるには?
仕事の成果を上げることにつながる、睡眠の質を上げるポイントを4つご紹介します。
寝付けない原因になることをしない
過度なストレスや運動不足、自律神経や体内時計の乱れは、寝付きの悪さや不眠症の原因になるので注意が必要です。また、就寝前は、カフェインの摂取や、スマートフォンやパソコンの使用、飲酒、喫煙などを控えましょう。まずは寝付けない原因を見つけることが大切です。
快眠につながる行動をする
不眠症の改善には原因に応じて適切な対処をとるのが一番です。例えば、寝付けない原因としてがストレスが考えられる場合、ストレスを感じている原因を排除する、よい発散方法を見つけるなどが効果的です。
特に思い当たる原因がない場合は、睡眠の質を高めるためにも、朝日を浴びる、ぬるめのお風呂に浸かるなど、快眠につながる生活習慣を取り入れてみましょう。また、アロマオイルを使用する、音楽を導入するなど入眠前のルーティンをつくるのもおすすめです。
上記で紹介した10個の対策のなかから、自分に合ったものを探してみてください。
また、眠気を感じないのに無理に寝ようとすると、不眠症の原因となる可能性があるので注意しましょう。一度ベッドから出て、ストレッチなどの軽い運動や深呼吸をしてみてください。
リカバリーウェアを着用する
リカバリーウェアとは、着ているだけで体の疲労回復ができる特殊なウェアのこと。おうちでのリラックスタイムや就寝時、出張や旅行の移動時間に着用する事で、筋肉の疲れやむくみ、血行促進などの改善が期待できます。
寝具にこだわる
「人生の1/3を占める」と言われている睡眠は、毎日の疲れを癒し、心も体も回復させる大切な時間だからこそ、睡眠の質を左右する寝具にもこだわりましょう。特に重要な、枕とマットレスの選び方をご紹介します。
枕は、高さと硬さがポイント
枕にとって一番大切なことは、自分の首のカーブに合った高さかどうかです。 長時間、頭を預けるため、高さが合っていない枕では、首や肩に負担がかかり、首の痛みや肩こりの原因になるので注意が必要です。また、頭を冷やすことで睡眠の質が上がるので、熱や湿気をため込まない、高い放熱量が続く枕を選んでください。
睡眠の質を高めたい方や、睡眠に関する悩みの強い方は、やや高価になりますが、自分の首のカーブや硬さの好みに合わせて作る、オーダーメイド枕もおすすめです。
マットレスは、体の沈み具合と寝返りの打ちやすさを確認
マットレスは、実際に寝てみて、硬い、やわらかい、体が楽、体が痛い、腰が突っ張る、圧迫感がある、寝やすい、などの快適さを確認することが大切です。 横になった直後だけでなく、しばらく経っても体に負担がかからないか、腰の沈み具合や体への密着感に違和感がないかなども確認しましょう。
また、寝返りの打ちやすさもポイントです。マットレスの上で寝返りを打ちながら、横向きやうつ伏せの姿勢になり、体の安定感や圧迫感を確認してください。体に合ったマットレスで眠ると、日中溜まっていた血液や老廃物が循環しやすくなり、疲労やむくみなどの軽減効果も期待できます。
枕とマットレスの相性も大切なので、どちらかを店頭で試す際には、自宅で使用している枕の高さやマットレスの硬さとの違いを踏まえたうえで購入するのがおすすめです。
睡眠の質を上げるために、枕やマットレスの選び方は以下の関連記事でもご紹介しています。あわせてご覧ください。
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眠れない夜も不安にならなくて大丈夫
眠りたいのに眠れないと、「明日も仕事があるのに……」と焦ったり、夜の静けさも相まって孤独を感じたりすることがあるでしょう。
しかし、「早く眠らなければ」と思い詰めると、緊張から交感神経が優位になり、ますます眠れなくなるという悪循環に陥ってしまいます。
「眠れるまで待ってみる」くらいの気持ちでリラックスして過ごすほか、どうしても眠れない場合は一度ベッドから出て気分転換するのもよいでしょう。
快眠につながる生活習慣は、日中に実践できるものから入眠前のルーティンまで様々です。いろいろ試してみて、ぜひ自分に合った方法を見つけてみてください。