睡眠の質を上げる枕の上手な選び方。後悔しない選定基準とは?

睡眠の質を上げる枕の上手な選び方。後悔しない選定基準とは?

寝具の選び方

睡眠の質を上げる枕の上手な選び方。後悔しない選定基準とは?

<監修>

中島 正裕

理学博士/株式会社ブレインスリープ取締役CFO/睡眠健康指導士上級

1983年山口県出身。2007年東京大学理学部物理学科卒業、2012年東京大学大学院理学系研究科物理学専攻修了(理学博士)。 株式会社ブレインスリープには2019年5月の設立時より取締役として参画。CFOとして財務面の統括及びパートナー企業向けの睡眠コンサルティング関連事業に加えて、睡眠偏差値として公表している睡眠関連疫学調査の結果を基にした睡眠研究や企業向け健康経営サポート業務も担当。2021年11月に睡眠健康指導士上級資格を取得。

以前は睡眠時間の長さが重視されていましたが、最近は睡眠の質への関心が高まっています。その睡眠の質に大きく関わるのが枕です。そこで、自分に合った枕を見つけるための選び方をご紹介します。

年々、多様化している枕の種類!

近年、睡眠の質への関心が高まり、様々な特徴のある枕が登場しています。入眠のしやすさはもちろん、日々の疲れを癒し、質の高い睡眠を得るために、高さや硬さだけでなく、通気性の良さや枕表面の温度まで考えられた商品が多数。人それぞれ、体型や筋肉量などが違うので、自分に合った枕を探してみましょう。

合わない枕を選ぶとどうなる?

まず始めに、自分の体に合わない枕を使い続けた場合、どのような不調が起きるのかをご紹介します。

1:無理な姿勢で眠ると、首を痛める

無理な姿勢や首の動かし方をすると、首や頸椎、背骨など体の広範囲に負担がかかります。特に、熟睡している時は筋肉がゆるんでいることもあり、無理な姿勢で固定されることで筋肉や腱が伸びたままになり、血行不良や神経を傷めて炎症が起きることも。寝違えないためにも、高さや硬さ、寝心地の合った枕を選ぶことが大切です。

2:寝つきが悪くなり、眠りが浅くなる

枕が合わないと、寝つきが悪く、夜の時間が苦痛になってしまうことがあります。また眠りが浅いと、長時間眠っても疲れが取れず寝不足の状態に。不眠症は睡眠障害の1つとされ、睡眠専門医に相談される方も多くいるほどです。常習的な寝不足は、体だけでなく、心への負担になることもあるので、気をつけましょう。

3:突然訪れる、日中の眠気

日中の眠気の原因として最初に考えられるのは、単純に睡眠時間が不足しているケースです。一般的に6〜8時間程度が最適な睡眠時間とされていますが、人それぞれ最適な睡眠時間が違うので、自分に合った睡眠時間を確保することが大切です。 また、睡眠時間と同じくらい大切なのが、睡眠の質です。睡眠の質が悪いと十分な睡眠時間を確保していたとしても疲れが取れず、日中眠くなる原因に。自然な寝姿勢でないと、呼吸が浅くなったり、スムーズな寝返りが打てずに何度も目が覚めてしまい、睡眠の質が低くなるので気をつけましょう。適切な睡眠時間の確保と、睡眠の質を向上させることで、慢性的な眠気のほとんどを改善することができます。

自分に合う枕の定義を見つける!

自分に合う枕を使用することが、睡眠の質を高め、体にも心にも大切だということをお伝えしましたが、実際にどんな枕が自分に合うのか……。枕を購入する時に大切なポイントや、体型・お悩みに合わせた選び方をご紹介します。

枕を選ぶポイント

枕を選ぶ時には、枕の高さや、素材、形、機能性だけでなく、価格や耐久性、メンテナンスのしやすさなど、様々なポイントをチェックしましょう。ここでは、枕を選ぶ時に意識してほしい9つの項目をご紹介します。

1:首や肩に負担のかからない高さ

高すぎる枕で眠ってしまうと、首を痛めたり、呼吸がしにくくなったりするケースがあり、低すぎる枕では、寝違えや肩こりの原因になることも。体格によって快適な高さが変わるため、一概におすすめすることができないので、実際に横になってフィット感を試すことが大切です。

2:使い心地が良く、手入れしやすい素材

枕の素材は、ポリエチレンやウレタン、フェザー、ビーズ、そば殻など種類が豊富です。素材を選ぶ基準となるのは、寝心地の良さや反発の有無、硬さ、手入れのしやすさなど。それぞれの特徴を知り、自分に合った素材を見つけてください。

『ポリエチレン』

通気性がよく、頭の深部の温度を下げてくれるので、入眠しやすく、快適に眠ることが可能。水洗いができるので衛生的なのも嬉しいポイントです。

『高反発ウレタン』

やや硬めで首や頭にフィットしやすいのが特徴。『低反発ウレタン』は、沈み込みやすいので柔らかく包まれているような感覚を体験できます。ウレタン素材の枕は、通気性が低く、洗えないことが多いので、衛生面が気になることも。

『フェザー』

羽根と綿毛(ダウン)の比率でふわふわ感が変わるので、理想の柔らかを実現することが可能。ですが水洗い不可の製品が多く、手入れが大変という面もあります。

『マイクロビーズ』

細かいビーズが頭を包み込んでくれるので、フィット感が抜群。ただし、一定の深さから硬くなるため寝返りがしにくいと感じる人もいます。

『そば殻』

熱を逃がすのに優れているので、快適な睡眠を味わえますが、頭にフィットしにくかったり、寝返りした時の音が大きいのが難点です。

『ひのき』

独特の香りとひんやり感でリラックス効果を期待できますが、フィット感が得にくく、好みが分かれます。また、ヒノキやスギの花粉症の人は使用できません。

『高反発ファイバー』

硬めで通気性が抜群、水洗いも可能。『スマッシュフォーム』は、ふかふか柔らかくフィットしやすいが、耐久性に欠ける。『ラテックス』は、柔らかいが反発力もある。など、使い心地やお手入れ方法が異なるので、自分に合った素材を探してみてください。 実際に試してみるのが一番なので、一度、たくさんの種類の枕を取り扱っている店舗に行ってみるといいかもしれません。

3:フィットする形やサイズ

人それぞれ、頭の形や重さ、体格が違うので、自分にフィットする枕の形やサイズを見つけることが大切です。 最も標準的な形は『長方形』ですが、他にも様々な形の枕があります。

『ハート形』

ハートを逆さにしたような形で、首に負担がかかりにくく、肩こりなどの解消に役立つことも。

『波(ウェーブ)型』

上下で高低差がある形で、背骨のS字カーブにフィットすることを重視しています。

『頸椎支持・横向き対応型』

中身の素材を変えることで形を自由に調整できるのが特徴。

『縦長型(抱き枕)』

抱きながら眠ることができ、安心感を得たい人や、妊婦さんの腰痛対策に人気です。 枕のサイズは、自分の体格やベッドのサイズに合わせて選ぶのが基本。一般的に、『Mサイズ』は約43×63cm、『Lサイズ』は約50×70cm、『セミロングサイズ』は約43×90cm、『ロングサイズ』は約43×120cmです。

4:通気性、弾力性、抗菌、防臭などの機能性

最近は機能性豊かな枕がたくさん登場しています。快適な睡眠をサポートし、衛生面でも安心できる枕を選びましょう。 『通気性』に優れた枕は、汗をかきやすい人や、頭の熱によって寝苦しいと感じる人におすすめです。同時に『気化冷却』機能のついている枕は、表面温度の上昇をおさえてくれるので、体温の高い人や、冷房機器を使用したくない人に最適。高反発や低反発と言われる『弾力性』については使用感で選びましょう。好みによって分かれるので、実際に横になって試してください。 『抗菌』や『防臭』機能がついている枕は、枕のお手入れを怠ってしまいがちな人や、枕の臭いが気になる人におすすめ。また、枕本体の洗濯の可否や、耐久性の優劣もチェックしましょう。

5:買い替え頻度を踏まえた適正価格

値段で枕の良し悪しが決まるわけではありませんが、一般的に、素材によって値段が変動し、オーダーメイドの枕は高価格になる傾向があります。安価なものから高価なものまでありますが、4つの価格帯に分けて、どのような人におすすめかをご紹介します。

『5,000円以下』

頻繁に枕を買い換えたい人、自分に合った枕を見つけるために様々な枕を試したい人におすすめ。

『5,000~10,000円』

機能性を備えた枕を探している人に。販売されている種類が多く、自分に合った枕を探しやすいでしょう。

『10,000~20,000円』

機能性にこだわった枕が多く、自分にとって快適な枕の特徴が分かっている人におすすめ。長く使用するためにも、実際に横になって試してから購入しましょう。

『20,000円以上』

一般的に高価な枕と言えます。こだわりの詰まった商品や、自分に合った素材や高さを調整した、オーダーメイドの枕を探すこともできるでしょう。 睡眠時間は「人生の1/3を占める」と言われているので、睡眠の質にこだわりたい人や、睡眠環境に満足していない人は、一度検討してみるといいかもしれません。

6:耐久性に差がある

耐久性は、枕によって大きな差があります。同じ枕を長期間使用すると、枕本体がへたって、フィット感が損なわれたり、ダニやカビが発生したり、臭いが気になったり……。安価な枕を頻繁に買い換えたいのか、高価な枕を長く使いたいのか、自分の好みや生活スタイルに合わせて選びましょう。

7:眠る時の姿勢の癖に合わせる

人それぞれ、頭の形や重さ、首の長さや太さ、肩幅や筋肉のつき方が違うのはもちろん、寝姿勢の癖も異なります。一般的に、仰向けで眠る人は頸椎が緩やかなS字を描くような高さが、横向きで眠る人は頸椎が真っ直ぐになる高さが理想と言われています。

8:メンテナンスのしやすさ

季節に関係なく、毎日、長時間使用する枕は、汗や皮脂、ヨダレなどで汚れやすいもの。お手入れを怠ると、ダニやカビが繁殖し、衛生的に良くありません。また、メンテナンスせずに使用し続けると、頭の重さで中心部がヘコんだり、全体がへたってしまうことも。素材によって水洗いの可否が異なるので、購入時には必ず確認しましょう。こまめに洗ったり、干したりすることで、いつまでも快適に使用することができます。

9:店頭でフィッティングする時に確認すること

枕の選び方のポイントをおさえたら、実際に横になってみて、枕の高さやフィット感を確認するのがおすすめです。ちょうどいい高さかどうかを判断する基準は、仰向けになった時に目線が真上から5〜10度下がっているかどうか、横から見て首筋にすき間がなく、首をしっかりホールドしているかどうかです。 また、横向きになった時に、肩に重みがかかっていないかも大切なチェックポイント。さらに、うつ伏せの姿勢で両手を枕の下に入れ、頭や首に負荷がかからないかも確認しましょう。普段からうつ伏せでスマートフォンを操作することが多い人は、実際に操作してみるのもおすすめです。 様々な枕を試してみてもフィットする枕が見つからない場合は、今まで使用していた枕とは全く違うタイプを試してみましょう。素材や形を変えることで、自分に合った枕を見つけることができるかもしれません。睡眠の質を左右する重要な寝具なので、何度もお店へ足を運び、じっくり検討してください。また、店頭にあるマットレスと自宅で使用しているマットレスや布団の硬さが大きく異なる場合は、販売員に伝えて、枕選びを相談しましょう。

体型によって選び方の基本が変わる

さまざまなメーカーから、素晴らしい枕が発売されていますが、自分の体型に合っていなければ意味がありません。そこで、体型別に基準となる選び方をご紹介します。

やせ型の人は、低めの枕

女性や体格の細い人、子供には、約3〜4cmの低めの枕がおすすめ。また、横向きで眠ることが多い場合、小さく丸まって眠る人や、なで肩の人も低めの枕を選びましょう。

ふくよかな人は、高さ調整が必要

ふくよかな人は、後頭部からマットレスまでの距離が遠くなることが多いため、高い枕を選ぶ傾向がありますが、睡眠時に気管支が塞がれやすいので注意が必要です。睡眠時無呼吸症候群やいびきが気になる場合は、高さを調整したほうがいいか、お医者さんや寝具売り場のスタッフに相談してみてください。

筋肉質な人は、高めの枕

体格がしっかりしている男性、背中の筋肉が厚い人には、約5〜6cmの高めの枕がおすすめ。一般的なしっかりした体格の女性は、もう少し低くても良いかもしれません。あくまでも目安なので、自分の好みや寝心地をチェックしてください。 筋力や骨格は、年齢や生活習慣によって変化するので、理想の枕も変化します。「長年同じ枕を使っていたのに、最近は肩がこる」というような不調が現れた場合は、枕を見直すといいかもしれません。枕によっては、中身を増減させて高さを調整することや、購入時の状態が形状記憶されていて元に戻せることもあるので、確認してみましょう。

お悩みに合わせた枕の選び方

現在使っている枕のお悩みに合わせて選ぶと、自分に合った枕を見つけるヒントになります。そこで、悩んでいる人の多い、いびき、ストレートネック、頭痛、肩こりの4タイプに分けてご紹介します。

1:いびき

男性の悩みで多い、いびきは、睡眠時無呼吸症候群に繋がる可能性があります。体格や運動量によって異なりますが、男性は女性に比べて頸椎弧(けいついこ)という首のカーブが深めで、仰向けに寝ると首と布団の間に大きなすき間ができて気管が狭まりやすくなり、いびきをかく原因に。いびきに悩んでいる人は、枕の高さを見直してみましょう。

2:ストレートネック

仰向けになった時、背骨がゆるいS字を描くのが理想的です。枕の高さや硬さが合っておらず、本来の湾曲した背骨の形が歪むと、猫背や反り腰になってしまい、体に負担がかかります。

3:頭痛

枕の高さによって首の角度が変わるため、呼吸機能に影響を与えることがあります。睡眠時に適切な呼吸ができないと、睡眠の質が低くなってしまうだけでなく、酸素を十分に取り込むことができずに、頭痛の原因に繋がることも。

4:肩こり

女性の悩みで多い肩こりは、男性と比べて頸椎弧(けいついこ)という首のカーブが浅めで、仰向けに寝ると首と布団の間にすき間ができにくいため、高すぎる枕を使うと頚椎に負担がかり、肩こりや首の痛みの原因に。 睡眠の質を高めることは、人生の質や仕事の質を高めることにも繋がるので、睡眠の悩みを改善する枕を探しましょう。

枕は素材によって寿命が異なる!

自分に合った枕を見つけたら、長期間快適に使用したいものですが、枕には寿命があります。使っていくうちにへたっていき、汚れや臭いが気になり、買い替えが必要に。その寿命は素材によって異なるので、枕に使用されることの多い素材別に、買い替えの目安をご紹介します。 『ポリエチレン』は、約2〜5年が目安。硬い素材でへたりにくいため、他の素材に比べて耐久年数が長い傾向にありますが、へたりを感じるようになったら買い換えましょう。 『ウレタン』は、約6か月〜3年が目安。反発性や柔軟性が徐々に失われるので、復元性がなくなり元の形に戻らなくなったら、新しいものに。高反発の場合は反発が弱くなり、低反発の場合は枕が硬くなり、どちらも頭へのフィット感を感じにくくなります。 『フェザー』は、約1〜3年が目安。弾力性やボリューム感がなくなり、枕の高さが低く感じるように。また、羽根には骨があるため、枕の袋から突き抜けて出てきたら買い替え時です。 『マイクロビーズ』は、約1〜5年が目安。柔軟性や流動性に優れたビーズにより、内袋への負担がかかるため、ビーズ自体の寿命よりも、それを保護する内袋の寿命の方が早くきてしまうケースが多くあります。ビーズを覆っている生地が伸びて形が形成できなくなった時が買い替えの目安です。 『そば殻』は、約6か月〜1年が目安。使用するたびにそば殻が割れ、そばの粉が出てきます。そばの粉が出ると虫がつきやすくなるだけでなく、鼻炎や喘息の原因になることがあるので使用をやめましょう。 『ひのき』は、約1〜2年が目安。汗や皮脂によって劣化することで、寝心地が悪くなり、高さが低くなります。また、寿命よりも先に香りが失われてしまうことが多いので、ヒノキオイルを使ってメンテナンスするのがおすすめです。 『高反発ファイバー』は、約2〜5年が目安。密度により異なりますが、頭を置く中心部分がへたり、お椀型になっていきます。もともと硬めな寝心地のため、フィット感の変化には気づきにくいですが、硬さが気になり出したら買い換えてください。 『スマッシュフォーム』は、約1〜3年が目安。素材同士が擦れ合って劣化しやすく、弾力性が損なわれ、硬さが気になるように。頭や首へのフィット感に違和感があれば、買い替えのサインです。 『ラテックス』は、約2〜3年が目安。長年使っていると素材のボリューム感が失われて、へたりが気になるようになるので、その時に買い換えましょう。 耐用年数を過ぎた枕は、高さが合わなかったり寝心地が悪くなったりするだけでなく、ダニやカビが繁殖してしまうことがあるので、枕の状態を意識的にチェックしてください。また、ご紹介した買い替え時期はあくまでも目安なので、自分の体に合わなくなったと感じたら、その都度、最適な枕への買い替えがおすすめです。

枕選びに迷ってしまったら…

枕選びのポイントをたくさんご紹介しましたが、自分の好みを全て満たす枕を見つけるのは至難の業。選び方を基準に探してみても迷ってしまう場合は、自分の中での優先順位を決め、こだわるポイントを3つ程度に絞ってみましょう。睡眠に関する悩みの大きさや、優先的に改善したい悩みの種類、フィット感、希望の買い替え頻度、予算など、重要度を決めることで、より理想の枕を見つけることができます。 体は今が一番若く、枕にこだわらなくても元気かもしれませんが、これからの健康のために“自己投資”と思える枕選びをしましょう。

自分に合った枕で質の高い睡眠を目指しましょう!

自分に合った枕の重要性や、選ぶポイントをご紹介しました。たくさん眠ったのに疲れが取れないという人は、一度、枕が合っているのかを見直してみてはいかがでしょうか。
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睡眠コラム

最近は“睡眠時間”の大切さだけでなく“睡眠の質”に注目が集まっており、良質な睡眠を得るために、“理想の寝姿勢”を考える人が増えています。そこで、寝姿勢の種類やそれぞれのメリット・デメリット、理想の寝姿勢などをご紹介します。自分に合った寝姿勢や適切な寝具を選んで、快眠を目指しましょう! 寝姿勢とは? “寝姿勢”とは、寝ているときの姿勢のことで、主に、仰向け、横向き、うつ伏せなどがあります。寝姿勢が崩れている場合、肩こりや腰痛、首の痛みのほか、寝起きのだるさなど、翌日の体調に悪影響を及ぼすことも。反対に、背骨が自然な状態の寝姿勢で眠ると、効率的に疲労回復でき、背骨の歪みを整える効果が期待できます。 日中は、デスクワークの方も立ち仕事の方も、同じ姿勢を取り続けて身体に負担をかけていることが多いため、睡眠時には理想の寝姿勢で快眠を得て身体の不調を解消することが大切です。 また、睡眠には免疫力の向上や精神の安定、記憶の整理や定着などの効果もあるといわれており、快眠によって頭がクリアな状態にリセットされ、仕事や日常生活のパフォーマンス(生産性)向上が期待できます。 人生の3分の1を費やすといわれている睡眠。せっかくなら整った寝姿勢で睡眠の質を高め、効率よく疲労回復しましょう。 寝姿勢の種類とメリット&デメリット 寝姿勢は主に下記の3種類に分けられます。 仰向け寝 横向き寝 うつ伏せ寝 どの寝姿勢にもメリットとデメリットがあるため、入眠時は、ご自身が心地よく感じる寝姿勢で寝て問題ありません。 肝心なのは、熟睡している際の寝姿勢と寝返りの打ちやすさです。一般的に人は一晩で平均20~30回寝返りを打つといわれており、寝返りを打つことで体液循環や背骨の歪み調節など、身体をリセットしています。 それでは、各寝姿勢の概要とメリット・デメリットをそれぞれご説明します。 仰向けは、リラックスした状態の寝姿勢 仰向けは、日本人に多い“平たい体格の人”向き。背中全体で体重による圧力(体圧)を支えるので、身体への負担が少なく余分な力も入りません。また、手足を動かしやすく体液循環がよいことから、筋肉がこりにくいといわれており、猫背の改善や防止が期待できます。 「睡眠時に仰向け寝の時間が多いことは、寝心地の良さをあらわしている」とされているほど、最も安定・リラックスできる寝姿勢です。 ただし、尾てい骨を圧迫しやすく、反り腰の方は腰への負担が大きくなりやすいので、寝返りが打ちやすいマットレス選びが重要です。ほかにも、舌が重力で落ち込むため気道が塞がれやすく、横向き寝に比べるといびきにつながるといったリスクが挙げられます。 メリット 体液循環が良くて筋肉がこりにくい 体圧が均等に分散されて負担が少ない デメリット いびきにつながることがある 反り腰の方は腰への負担が大きくなりやすい 横向きは、いびき予防に有効な寝姿勢 横向き寝は、肥満や扁桃腺肥大等で気道が狭くなっている方向きの寝姿勢です。舌が落ち込むことによる気道の妨げが起きにくいため、“いびきをかきにくく呼吸がしやすい”特徴があります。 また、腰の角度を自由に調整できるため、腰に負担がかかりにくいです。個人差はありますが、左側を下にすると消化系の臓器などに負担がかかりにくいともいわれています。 ただし、身体とマットレスの接する面積が小さく、体圧による血流の滞りが起きやすいため、長時間横向き寝の状態が続くと筋肉のこりや冷えの原因に。特に一方向で寝続けた場合は、身体の歪みや肩・骨盤の圧迫による痛みも生じやすいため、スムーズな寝返りをサポートしてくれる寝具を選ぶ必要があります。 メリット 呼吸がしやすくいびきをかきにくい...

理想の寝姿勢とは?仰向け、横向き、うつ伏せ寝のポイントを徹底解説

睡眠コラム

最近は“睡眠時間”の大切さだけでなく“睡眠の質”に注目が集まっており、良質な睡眠を得るために、“理想の寝姿勢”を考える人が増えています。そこで、寝姿勢の種類やそれぞれのメリット・デメリット、理想の寝姿勢などをご紹介します。自分に合った寝姿勢や適切な寝具を選んで、快眠を目指しましょう! 寝姿勢とは? “寝姿勢”とは、寝ているときの姿勢のことで、主に、仰向け、横向き、うつ伏せなどがあります。寝姿勢が崩れている場合、肩こりや腰痛、首の痛みのほか、寝起きのだるさなど、翌日の体調に悪影響を及ぼすことも。反対に、背骨が自然な状態の寝姿勢で眠ると、効率的に疲労回復でき、背骨の歪みを整える効果が期待できます。 日中は、デスクワークの方も立ち仕事の方も、同じ姿勢を取り続けて身体に負担をかけていることが多いため、睡眠時には理想の寝姿勢で快眠を得て身体の不調を解消することが大切です。 また、睡眠には免疫力の向上や精神の安定、記憶の整理や定着などの効果もあるといわれており、快眠によって頭がクリアな状態にリセットされ、仕事や日常生活のパフォーマンス(生産性)向上が期待できます。 人生の3分の1を費やすといわれている睡眠。せっかくなら整った寝姿勢で睡眠の質を高め、効率よく疲労回復しましょう。 寝姿勢の種類とメリット&デメリット 寝姿勢は主に下記の3種類に分けられます。 仰向け寝 横向き寝 うつ伏せ寝 どの寝姿勢にもメリットとデメリットがあるため、入眠時は、ご自身が心地よく感じる寝姿勢で寝て問題ありません。 肝心なのは、熟睡している際の寝姿勢と寝返りの打ちやすさです。一般的に人は一晩で平均20~30回寝返りを打つといわれており、寝返りを打つことで体液循環や背骨の歪み調節など、身体をリセットしています。 それでは、各寝姿勢の概要とメリット・デメリットをそれぞれご説明します。 仰向けは、リラックスした状態の寝姿勢 仰向けは、日本人に多い“平たい体格の人”向き。背中全体で体重による圧力(体圧)を支えるので、身体への負担が少なく余分な力も入りません。また、手足を動かしやすく体液循環がよいことから、筋肉がこりにくいといわれており、猫背の改善や防止が期待できます。 「睡眠時に仰向け寝の時間が多いことは、寝心地の良さをあらわしている」とされているほど、最も安定・リラックスできる寝姿勢です。 ただし、尾てい骨を圧迫しやすく、反り腰の方は腰への負担が大きくなりやすいので、寝返りが打ちやすいマットレス選びが重要です。ほかにも、舌が重力で落ち込むため気道が塞がれやすく、横向き寝に比べるといびきにつながるといったリスクが挙げられます。 メリット 体液循環が良くて筋肉がこりにくい 体圧が均等に分散されて負担が少ない デメリット いびきにつながることがある 反り腰の方は腰への負担が大きくなりやすい 横向きは、いびき予防に有効な寝姿勢 横向き寝は、肥満や扁桃腺肥大等で気道が狭くなっている方向きの寝姿勢です。舌が落ち込むことによる気道の妨げが起きにくいため、“いびきをかきにくく呼吸がしやすい”特徴があります。 また、腰の角度を自由に調整できるため、腰に負担がかかりにくいです。個人差はありますが、左側を下にすると消化系の臓器などに負担がかかりにくいともいわれています。 ただし、身体とマットレスの接する面積が小さく、体圧による血流の滞りが起きやすいため、長時間横向き寝の状態が続くと筋肉のこりや冷えの原因に。特に一方向で寝続けた場合は、身体の歪みや肩・骨盤の圧迫による痛みも生じやすいため、スムーズな寝返りをサポートしてくれる寝具を選ぶ必要があります。 メリット 呼吸がしやすくいびきをかきにくい...

欠伸をする女性

寝ても寝ても眠いのはなぜ?一日中眠くなってしまう原因と対策を解説

睡眠コラム

「いくら寝ても頭がスッキリしない」「日中に眠くなるので仕事に影響が出てしまう」などの症状を誰しも一度は経験したことがあるかもしれません。十分な睡眠時間をとっているにも関わらず、日中眠くなるのにはいくつかの原因があります。 この記事では寝ても寝ても眠いと感じる方のために、原因や対処方法を紹介します。病気や疾患が隠されている可能性があるので、早めに対策を取りましょう。 寝ても寝ても眠い原因とは? 寝ても寝ても眠気が取れない原因は、睡眠時間や質の低下、精神的・身体的ストレス、アルコールの影響、潜在的な疾患など様々な要因が関係していますが、大きく以下の4つに分類できます。 日常生活の問題 病気・疾患の問題 女性ホルモンによる影響 季節の変化 いくら寝ても日中に眠くなる症状は単なる睡眠不足だけでなく、うつ病や甲状腺機能低下症など、基礎疾患が隠れている可能性もあるため注意が必要です。 ここからは、それぞれの分類について詳しくご紹介していきます。 日常生活の問題による影響 睡眠不足や環境による睡眠の質の低下により、日中に強い眠気を感じることがあり、仕事や日常生活に支障をきたしてしまいます。さらに精神的・身体的ストレスによって自律神経が乱れ、睡眠障害を引き起こすこともあるかもしれません。 具体的な要因についていくつか見ていきましょう。 日常的な睡眠不足 日本人の平均睡眠時間は世界的に見ても短い水準にあり、男女ともに「6時間以上7時間未満」が最も多い傾向で約53.7%、次いで「6時間未満」が約37.9%となります。 しかし、個人差はありますが一般的に適切な睡眠時間は、成人で6〜9時間が推奨されており、睡眠不足とされる方が多くいるのが現状です。さらに睡眠不足が続くと、「睡眠負債(睡眠の借金)」と呼ばれる状態となり、目覚めが悪い、日中の眠気が強い、体調不良、イライラするなどの症状が現れます。 参考:良い目覚めは良い眠りから 知っているようで知らない 睡眠のこと - e-健康づくりネット(厚生労働省) 睡眠不足による睡眠負債が続いた場合、日中に眠くなるのが当たり前のようになることも懸念点として挙げられます。 睡眠負債はまとめて一日たっぷり眠っただけでは解消できず、長期的な取り組みが必要です。睡眠負債は心身に悪影響を及ぼすため、早期に対策を立てるようにしましょう。 睡眠の質の低下 寝室の温度や湿度、照明、生活音などが適切でないと、質のよい睡眠を取れなくなります。例えば、寝室が暑すぎたり寒すぎたりすると、睡眠リズムが作れず眠りにくくなります。また、明るい照明や外部からの騒音も、脳が刺激されて安定した睡眠を妨げる要因になるため要注意です。 さらに、寝具の状態が悪いと、体が十分に休めず朝起きても疲れが取れないため、日中に眠くなってしまう可能性があります。このように、睡眠環境は質のよい睡眠を得るために重要な要素となります。 心理的なストレス 心理的なストレスとは、生活上の出来事や環境の変化などによって引き起こされる心理的な緊張、不安、焦りなどの心の状態のことです。 心理的ストレスは自律神経系に大きな影響を及ぼし、睡眠不足の原因となることがあります。通常、夜間は副交感神経が優位になり、リラックスした状態で入眠しやすくなりますが、ストレスが続くと交感神経が優位になります。 交感神経系が優位になると、脳の疲労回復に重要なノンレム睡眠(深い眠り)の時間が減少するため、十分な休息が得られず翌日の眠気や集中力の低下につながってしまうのです。...

寝ても寝ても眠いのはなぜ?一日中眠くなってしまう原因と対策を解説

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「いくら寝ても頭がスッキリしない」「日中に眠くなるので仕事に影響が出てしまう」などの症状を誰しも一度は経験したことがあるかもしれません。十分な睡眠時間をとっているにも関わらず、日中眠くなるのにはいくつかの原因があります。 この記事では寝ても寝ても眠いと感じる方のために、原因や対処方法を紹介します。病気や疾患が隠されている可能性があるので、早めに対策を取りましょう。 寝ても寝ても眠い原因とは? 寝ても寝ても眠気が取れない原因は、睡眠時間や質の低下、精神的・身体的ストレス、アルコールの影響、潜在的な疾患など様々な要因が関係していますが、大きく以下の4つに分類できます。 日常生活の問題 病気・疾患の問題 女性ホルモンによる影響 季節の変化 いくら寝ても日中に眠くなる症状は単なる睡眠不足だけでなく、うつ病や甲状腺機能低下症など、基礎疾患が隠れている可能性もあるため注意が必要です。 ここからは、それぞれの分類について詳しくご紹介していきます。 日常生活の問題による影響 睡眠不足や環境による睡眠の質の低下により、日中に強い眠気を感じることがあり、仕事や日常生活に支障をきたしてしまいます。さらに精神的・身体的ストレスによって自律神経が乱れ、睡眠障害を引き起こすこともあるかもしれません。 具体的な要因についていくつか見ていきましょう。 日常的な睡眠不足 日本人の平均睡眠時間は世界的に見ても短い水準にあり、男女ともに「6時間以上7時間未満」が最も多い傾向で約53.7%、次いで「6時間未満」が約37.9%となります。 しかし、個人差はありますが一般的に適切な睡眠時間は、成人で6〜9時間が推奨されており、睡眠不足とされる方が多くいるのが現状です。さらに睡眠不足が続くと、「睡眠負債(睡眠の借金)」と呼ばれる状態となり、目覚めが悪い、日中の眠気が強い、体調不良、イライラするなどの症状が現れます。 参考:良い目覚めは良い眠りから 知っているようで知らない 睡眠のこと - e-健康づくりネット(厚生労働省) 睡眠不足による睡眠負債が続いた場合、日中に眠くなるのが当たり前のようになることも懸念点として挙げられます。 睡眠負債はまとめて一日たっぷり眠っただけでは解消できず、長期的な取り組みが必要です。睡眠負債は心身に悪影響を及ぼすため、早期に対策を立てるようにしましょう。 睡眠の質の低下 寝室の温度や湿度、照明、生活音などが適切でないと、質のよい睡眠を取れなくなります。例えば、寝室が暑すぎたり寒すぎたりすると、睡眠リズムが作れず眠りにくくなります。また、明るい照明や外部からの騒音も、脳が刺激されて安定した睡眠を妨げる要因になるため要注意です。 さらに、寝具の状態が悪いと、体が十分に休めず朝起きても疲れが取れないため、日中に眠くなってしまう可能性があります。このように、睡眠環境は質のよい睡眠を得るために重要な要素となります。 心理的なストレス 心理的なストレスとは、生活上の出来事や環境の変化などによって引き起こされる心理的な緊張、不安、焦りなどの心の状態のことです。 心理的ストレスは自律神経系に大きな影響を及ぼし、睡眠不足の原因となることがあります。通常、夜間は副交感神経が優位になり、リラックスした状態で入眠しやすくなりますが、ストレスが続くと交感神経が優位になります。 交感神経系が優位になると、脳の疲労回復に重要なノンレム睡眠(深い眠り)の時間が減少するため、十分な休息が得られず翌日の眠気や集中力の低下につながってしまうのです。...