こんにちは。開発担当です。 現状、ブレインスリープには、1年中快適に使用できる薄い掛け布団「ブレインスリープ コンフォーター オールシーズンズ」がありますが、ここ近年、猛暑が続いていることや電気代が高騰していることなどから、気温の上昇や節電意識などの社会現象に対応し、夏の夜を快適にする「究極の冷感を体感できる掛け布団」を作りたいと思いました。 今回は、そんな想いから生まれた「ブレインスリープ コンフォーター パーフェクト クール」についてお話させてください。
「掛け布団をかけたら暑い」という、当たり前の考えから、逆転の発想へ
「ブレインスリープ コンフォーター パーフェクト クール」の構想は、2022年の春から始まりました。企画開発が始まった頃はまだ暑くありませんでしたが、前年の夏を思い浮かべると、やはり暑さによる寝苦しさが一番、睡眠の質を悪くしてしまうと思ったのです。 また、東日本大震災の影響で全国的に節電が必要になった際には、接触冷感の寝具が品切れ状態になりましたが、今年は電気代の高騰により、その時に近い状況になると予測されるので、接触冷感の寝具の必要性を改めて感じました。 一般的な接触冷感の寝具は敷きパッドがメインです。その理由のひとつに「掛け布団をかけたら暑い」という当たり前の発想から、タオルケットを活用したり、何も掛けないで眠る方が多いことがあります。ですが、ブレインスリープでは、あえて掛け布団をメインに、マットレスシーツと枕カバーをサブアイテムとして開発しました。 掛け布団を冷たくすることで、エアコンの冷気から体を守りつつ、かけないよりもかけた方が涼しい掛け布団を作りたかったのです。
ポイントは「究極に冷たいこと」と「冷たさが朝まで続くこと」
接触冷感の寝具は、体と生地が触れることで、人の体の熱を生地が吸収して冷たさを感じるというメカニズムです。ですが生地が吸熱できる量には限界があります。飽和状態になった生地はぬるくなり、ムレが発生してしまうため「ブレインスリープ コンフォーター パーフェクト クール」は「究極に冷たいこと」と「冷たさが朝まで続くこと」に重点を置いて開発を始めました。
1:「究極に冷たいこと」
接触冷感の指標に「q-max(最大熱吸収速度W/㎠)」という指標があり、q-max値が大きいほど、体に接触した時に冷たく感じます。 この値が0.2以上のものが一般的に「冷感寝具」と言われています。0.3はまぁまぁ冷たく、0.4は明確な冷たさ、0.5になると驚くほどの冷たさを感じると言われています。 コンクリートが0.6程度と言われているので、寝具の接触冷感で0.5という数値は限界レベルです。「究極に冷たい」というからには0.5を超えることを目標としました。 また、一般的な接触冷感の寝具には、生地を編んでから薬剤で冷却機能を加えるタイプと、生地に天然鉱石成分を練り込んで冷感素材にするタイプがあります。ですが、どちらも洗濯回数や使用年数によって冷却感が失われてしまうという課題があります。 私が作りたかったのは、繊維本来の冷感性をフル活用して、冷感を維持できる素材です。 そこで、冷感性の高いポリエチレンを芯として、その周りを冷感ナイロンでカバーするという特殊な方法で1本の糸を作ることはできないか?と、工場や仕入先のみなさまと相談しながら何度も改良を重ねました。 改良の末、ようやくたどり着いたのが、1本の糸の中に約100本の繊維を編み込んだ、極細のマイクロファイバー糸。
繊維自体の冷たさを利用して冷感生地を作ることができたので、洗濯を繰り返しても、繊維の冷感性が失われることはありません。そのため、素材自体が劣化しない限り、長い間、冷感を維持することができます。 これによりq-max値0.524という数値を出すことができました。
究極の冷感は絶対に妥協できない点だったので、実際に、昨年の夏には30種類ほどの試作品を自宅で試しました。工場のみなさまも、本当によく付き合ってくれたと思います。ありがとうございました。
2:「冷たさが朝まで続くこと」
確かな持続冷感性を保てる素材は、宇宙服のために開発された「PCM」という素材しかありません。宇宙は温度変化が過酷なので、それに対応できるように開発された、調温テクノロジー素材です。 一般的な持続冷感の寝具は、冷感生地にPCMをプリント加工することが多いのですが、生地に凹凸ができてしまうので、肌ざわりが悪くなります。それを回避するために、裏側にプリント加工している商品もありますが、そうすると生地が硬くなってしまい、肌ざわりが良くありません。 そこで、表面の生地ではなく、中綿にPCM加工することを工場に相談しました。吸湿性のある素材「テンセル」に、マイクロカプセル化したPCMを練り込むことで、生地の風合いを邪魔することなく、持続冷感を実現することができました。 余談ですが、試作品などは全て試して、商品開発の参考にしています。私のベッドサイドには温度計と湿度計が置いてあり、室温27度の日に、開発初期の試作品(PCMわたが内蔵されていない)を試してみたところ、27度の寝室温度では快適に眠ることができましたが、やはり20〜30分ほどすると、ぬるさを感じる……。最終的に完成した「パーフェクト クール」に比べたら、冷感の持続性の弱さを実感しました(笑)。
少しでも長くお使いいただくために
究極に冷たい掛け布団と自信を持って言えるプロダクトになりましたが、できるだけ長い期間お使いいただけるよう細部にもこだわって設計しました。
夏からではなく、梅雨の時期からお使いいただけるように
一般的な接触冷感寝具は、7〜9月くらいまでの使用期間を目安としている商品が多いので、せっかく購入しても快適に使用できるのは3カ月間だけ。でも実際、お客様が悩むのは、湿気の多い5-6月の梅雨時期から、夏、天候不順のある10月の初秋まで。そのため、時期によって使い分けられるように、機能の違うリバーシブル構造にしました。 5-6月の梅雨時期や10月の初秋は吸水拡散力のある生地を使ったドライ面、7-9月頃までの暑い時期は接触冷感生地を使ったクール面、という風に使い分けることができます。
冷感生地はポリエステルやナイロンを使用することが多いのですが、それだとツルツルした肌ざわりになります。「ブレインスリープ コンフォーター パーフェクト クール」は、先ほどお伝えしたポリエチレンとナイロンの約100本の繊維で作られた糸を、さらに特殊な編み方で生地にすることで、スベスベでなめらかな肌ざわりと生地の丈夫さを実現しました。 また、ドライ面は汗を吸って拡散するのに最適な編み方を採用し、心地良いメッシュ感のある肌ざわりです。
汗をかく時期でもいつでも清潔にお使いいただけるように
一般的なポリエステル綿は吸水性がなく洗濯機内で浮いてしまうため、表面しか洗うことができず、ダニの発生リスクがあります。それを避けるために、親水性のある中わたを使用。洗濯の際に、中わたまでしっかりと洗うことができます。
寝苦しい夏の夜から、解放される究極の掛け布団
接触冷感生地、PCM加工した中わた、親水性のある中わた、吸水拡散力のある生地で、約1.5㎝の薄さで4層構造にすることで、日本の市場にある冷感寝具の中で、間違いなくナンバーワンだと思える商品「ブレインスリープ コンフォーター パーフェクト クール」を作ることができました。 寝苦しいシーズンに必要な機能は全て兼ね備わっているので、梅雨時期や夏の睡眠に悩んでいる方に、ぜひ一度試していただきたいです。
Information
ブレインスリープ コンフォーター パーフェクト クール
『ブレインスリープ コンフォーター パーフェクト クール』は、宇宙服のために開発された革新的な調温技術を採用。独自のマイクロカプセルが温度変化に応じて固体と液体に相変化し、持続冷感性を保ちます。
特徴1:冷感260%!特殊冷感ファイバーを採用し、究極の冷たさを実現 究極の冷感を求め、一から糸と生地を開発。接触冷感値0.524(q-max最大熱吸収速度W/㎠)で、究極の冷たさを実現。 ※接触冷感(q-max:W/㎠)基準0.2の約260%の冷感値
特徴2:宇宙テクノロジーPCM採用で朝まで続く冷感 掛け布団の繊維に宇宙服のために開発された革新的な冷感テクノロジーPCMをマイクロカプセル化し配合。一般的な接触冷感寝具は、吸熱した熱が飽和状態になるとその冷感性は損なわれます。 パーフェクト クールは、睡眠中の寝返りなどにより布団と体が離れることで冷感が復活し、維持します。
特徴3:湿気時期にはドライ面で快適、リバーシブル構造 汗のかきやすい梅雨時期は、リバーシブル構造のドライ面を肌に。汗を吸水拡散して、サラっと快適にコントロール。梅雨から盛夏までの寝苦しいシーズンを全て対応できます。
特徴4:布団の内部までしっかり洗浄 インサレーションは親水性のある中わたを使用。布団表面よりもその内部の方が多くのダニが潜んでいる可能性が高く、親水性の高い中わたはその内部までしっかり洗浄できます。