枕は布団と同じように睡眠の質を左右する重要な寝具です。「眠りが浅い」「起きたときに肩が凝る」など不具合を感じている方は、枕が合っていないのかもしれません。
枕は身長や体格はもちろんのこと、性別や年齢でも選び方が異なります。夫婦や家族でおそろいの枕を買う方も多いですが、もしかしたら誰かが合わない枕を使うことになるかもしれません。
この記事では、性別や年齢によって枕の選び方が異なる理由と、実際の選び方を解説します。枕が合わないかもと悩んでいる方は、この記事を参考に枕を選んでみましょう!
枕の選び方が性別や年齢によって変わる理由

まず男女では、体格はもちろんのこと、骨格も微妙に異なります。具体的には、頸椎弧(首のカーブ)に違いがあるため、枕の選び方も異なるのです。
体格のよい方は、比較的高めの枕が適している傾向にあります。一方で、痩せ型の方やストレートネック(首のカーブが少ない)の方は、低めの枕が快適に感じることが多いです。
首のカーブは平均1.5cmから5cmと幅が広く、個人差があることがわかります。そこで自分に合った枕の高さを見つけるためには、簡単なセルフチェックをおこなうことがおすすめです。
- 壁に向かって立ちます。
- リラックスした状態であごを引き、頭と背中を壁につけます。
- 自然な姿勢で顔が約15度下を向くのが理想的な状態です。
性別や年齢に合った枕を使わないと起こりやすい主な症状
では、性別や年齢に合った枕を使わないと、どんな症状が起こるのでしょうか。
男性:いびき・睡眠時無呼吸症候群
男性は女性に比べて頸椎弧が深い傾向にあります。特に体格がしっかりしている方や、運動量の多い方により多く見られます。
頸椎弧の深い方が仰向けになった際、首と布団のあいだに大きな隙間が生じ、その結果、気管が狭くなってしまいます。これが男性に多い、いびきの主な原因となります。
いびきは周囲に迷惑がかかるだけではなく、睡眠時無呼吸症候群につながる可能性があります。
この問題への対策として、適切な高さの枕を使用するのが効果的です。正しい高さの枕を選ぶことで、首と布団の隙間を埋められ、いびきの軽減が期待できます。
また、朝の首の痛みや肩こりに悩んでいる方は、使っている枕が身体に合っていない可能性があります。
朝起きた際に頭が枕から離れている場合は、枕の高さだけでなく、サイズ自体が合っていないのかもしれません。思い当たる方は、枕の見直しを検討する必要があるでしょう。
女性:肩こり・首こり
女性の場合は、男性に比べると頸椎弧が浅く、仰向けになっても頭と寝具のあいだの隙間が小さいことがほとんどです。
このような方が高すぎる枕を使うと、かえって頸椎に負担がかかり、肩こりや首こりにつながります。
また、女性は肩幅も狭いため、あまり広すぎる枕を使うと身体に合わないこともあるでしょう。特に、小柄な方や細身の方は男性と同じ枕を使うと眠りの質が低下しがちです。
子ども:寝返りの打ちづらさ
枕の使用目的は子どもの成長段階によって変化します。例えば、生後0〜1歳では、頭の形を整えることや吐き戻しの防止、向き癖の予防が主な目的となります。
1〜5歳になると、活動による汗の吸収や湿気の放出が枕の役割です。そして10歳以降は、汗や湿気への対応に加えて、成長に合わせた高さの調整や、正しい寝姿勢の維持とサポートが必要になってきます。
このように、年齢に応じて枕に求められる機能は段階的に変化していくのです。
ただし、子どもの成長には個人差があるため、体格や寝相に合わない枕を使うと、寝返りがしづらくなり、結果として睡眠の質が低下してしまいます。
「大は小を兼ねる」といいますが、枕に限っては大きすぎても小さすぎてもよくありません。自分の肩幅や頭の大きさにあった枕を使うことが重要です。子どもの場合は子ども用の枕を使うことが最も適しています。
枕の選び方は性別によってどう変わる?

では、枕を選ぶ際、どこに注意すればよいのでしょうか?
枕の高さ
体格の違いは、適切な寝返りを打つために必要な枕の高さに大きく影響します。 体格がよい方は肩幅が広く、仰向けから横向きになったときの頭と肩の高低差が大きくなります。そのため、スムーズな寝返りには、その高低差を補える高さの枕が必要です。
一方、痩せ型の方は肩幅が比較的狭く、寝返り時の頭と肩の高低差も小さいため、低めの枕でも問題ありません。
また、羽毛のようなやわらかすぎる素材は、一見心地よく感じられますが、頭が沈み込みすぎてしまい、適切な高さを保てないという問題があります。
このような支え方をすると、頸椎弧が「逆くの字」に曲がったり首と布団のあいだに隙間が生じたりします。その結果、気道が狭まっていびきの原因となるだけでなく、首や肩に過度な負担がかかってしまうのです。
一方で、頸椎弧が浅く体格の小さな方が、固くて高い枕を使用した場合も問題があります。首が不自然なくの字形に曲がってしまい、これも同様に首や肩に負担をかける原因です。
なお、体格は性別だけでなく年齢によっても変わってきます。年を取って太った、痩せた、筋肉がついた、落ちたで体格は変わるため、その都度枕を見直しましょう。
例えば、ダイエットで5〜10kg痩せれば体格は随分変わります。歳を取って筋肉が落ちても同様です。「いままで使っていた枕がなんだか使いにくくなった」という方は、枕が合わなくなったことが考えられます。この場合も、枕を見直しましょう。
また、寝起きで首が痛い方は下記を参考にしてください。
寝起きで首が痛いのは枕が原因?枕が合わないと出る症状や正しい選び方
枕の素材(硬さ)
枕の素材は、そば殻やパイプ、低反発ウレタンのような硬い素材から、羽毛や綿のようなやわらかい素材まで様々あります。
素材 | やわらかい | 硬い | 硬さを選べる |
---|---|---|---|
羽毛 | ◎ | ||
ポリエステルわた | ◯ | ||
ウレタンフォーム | ◯ | ||
ビーズ | ◎ | ||
そばがら | ◎ | ||
パイプ | ◎ | ||
ファイバー | ◯ | ||
ラテックス | ◯ |
人によって「硬めの枕が好き」「やわらかめの枕でないと眠れない」などあるかもしれませんが、好みの枕と身体に合う枕は違います。
前述したように、硬い枕は頭が沈み込まないというメリットはありますが、高すぎたり低すぎたりすると調節が難しいのがデメリットです。
一方、やわらかい枕は多少高さが合わなくても調整がしやすいのですが、ぴったりの高さを選んでも頭の重みで沈み込みが発生し、結果的に身体に負担がかかるというデメリットがあります。
そのため、やわらかい素材の枕を選ぶ際は、頭の沈み込みを考慮して枕を選ぶことが大切です。また、枕の下に支えを入れて硬さを調節する方法もあります。
また、素材だけでなく枕は形も重要です。スタンダードな形の枕は仰向けで寝るのには適していますが、横向きで寝ると首や肩に負担がかかることがあります。自分が横向き、仰向けのどちらで寝ることが多いのか、よく考えて選ぶことも大切です。
頭から首のラインがフィットしにくい場合は、首の部分が盛り上がった波形枕を選ぶのも一つの方法です。標準形の枕がどうしても合わないときは、変形型も視野に入れましょう。
枕の大きさ
枕の大きさは一般的に3つのサイズに分けられます。- 小さめサイズ:約50×35cm
- スタンダードサイズ:約63cm×43cm
- 大きめサイズ:約70×50cm
スタンダードサイズは、日本人の体格に合わせて作られた標準的な寸法です。この大きさは男女両方の体型に適合するよう設計されており、一般的な布団のサイズとも調和がとれています。
標準サイズであるため、デザインや素材の異なる様々なカバーを見つけられます。 最近人気を集めている快眠枕や機能性の高い枕(例えば低反発ウレタンフォームを使用したものや、高さ調整が可能なタイプ)も、ほとんどがこの63×43cmという標準的なサイズです。
しかし、肩幅の広い男性はこれでは狭いこともあるでしょう。肩幅に対し枕が小さすぎると寝返りが十分に打てません。枕が小さすぎると収まりが悪く、身体がこわばってしまいます。この場合、枕はどちらかといえば大きめがおすすめです。
なお、枕の幅を確かめる目安は、肩が枕の幅からはみ出ないかどうかです。枕を購入する際は、自分の肩幅が余裕を持って収まるかどうか、サイズを確認するようにしましょう。
子どもの枕はどう選ぶ?
子どもは大人と比較して汗の量が多く、寝ているあいだにも大量の汗をかく傾向があります。そのため、子どもの枕選びでは洗濯可能なタイプを選ぶのがおすすめです。
定期的に洗濯することで、汗や皮脂による雑菌の繁殖を防ぎ、清潔で快適な睡眠環境を維持できます。衛生面で配慮することは、子どもの健やかな睡眠のために大切な要素です。
子どもの身体は日々成長しており、体格や頸椎弧も徐々に変化します。中材(なかざい)の量を調整できる枕なら、子どもの成長に合わせて最適な高さを保てます。
必要に応じて中材を追加したり減らしたりすることで、常に子どもの体格に合った快適な寝姿勢を維持でき、健やかな成長をサポートできるでしょう。これなら頻繁に枕を買い換える必要はなく、経済的にもおすすめです。
ただし、枕の寿命は3〜5年と言われています。子どもはよく寝返りを打つので寿命が短くなる傾向にあります。成長だけでなく、枕のへたり具合でも買い換えを検討してください。
なお、子どもの成長は女子が13歳前後、男子の場合が17歳前後で一度落ち着きます。オーダーメイドの枕を作りたいという場合は、それ以後に作るようにしましょう。
枕の選び方は性別や年齢によって変えよう

枕の選び方は、性別と年齢によって大きく異なります。男性は頸椎弧が深く、女性は比較的浅い傾向にあり、子どもはさらに浅くなります。
そのため、快適な睡眠のためには、それぞれの性別・年齢・体格に合わせて、適切な高さ・素材・大きさの枕を選ぶことが重要です。
最期に今回の記事をまとめてみましょう。
- 枕は体格によって適した形が違う
- 男性と女性では適した枕の形が違う
- 男性は高めの枕、女性は低めの枕がおすすめ
- 子どもの枕は成長に合わせて買い替えよう
- 身体にぴったりと合った枕はオーダーメイドがおすすめ
性別や体格に合った枕を選ぼう!ブレインスリープの枕5選
「ブレインスリープ ピロー」は、一人ひとりの頭の大きさ・寝方に合わせてパーソナルフィットを実現しました。高さも3段階あり、自分の体格に合わせて選ぶことができます。そのほかにも、ストレートネックやいびきなどの悩みに合わせて開発された枕や子供用の枕も展開しています。ここでは、各アイテムの特徴やポイントをご紹介します。