こんにちは。開発担当の町田です。
これまでブレインスリープでは、パーフェクト ウォーム、パーフェクト ウォーム EX、そしてパーフェクト ウォーム デュアルと、掛け布団のラインナップを進化させてきました。そして今回、私たちが長年追い求めてきた「究極の掛け布団」とも言える最新モデルが誕生しました。
今回は「ブレインスリープ コンフォーター パーフェクト ウォーム EX(2025年最新モデル)」についてお話させてください。
羽毛布団の限界を超える掛け布団への挑戦
パーフェクト ウォーム シリーズの構想は、実は私の前職時代から始まっていました。前職の寝具メーカーで商品開発に従事していた頃、羽毛ではない合成繊維の掛け布団の開発に携わっていました。
当時の市場は羽毛布団が圧倒的なシェアを占めており、合成繊維の掛け布団のマーケットはとても小さく、単価も安く、どんなにこだわった商品を出してもなかなか活躍の場がありませんでした。
そこでブレインスリープの扉を叩いたのです。
もともと20年以上前から羽毛原料が取れなくなってきており、それに伴って羽毛の価格も高騰していました。供給が少なくなって価格が上がる一方の羽毛布団は、近い将来、合成繊維の機能掛け布団に切り替わるだろうと予測していたのです。
『羽毛を超える掛け布団を作りたい。』
そんな想いが、パーフェクト ウォーム開発の原点でした。
魔法瓶構造から粒綿へ -長期間に渡る素材探求
初代のパーフェクト ウォームは「魔法瓶構造」を採用しました。それぞれの機能を持つシート状の綿を積層し、外側の生地でサンドイッチする構造で、熱をコントロールして魔法瓶のように暖かい空気を溜め込むというコンセプトでした。このアイデアは前職時代からおぼろげながら抱いていたもので、とても暖かく、良い商品でした。
続くパーフェクトウォームEX(旧版)ではそれらのシートの繊維や配合を変えることで各層の機能をアップデートし、より暖かく清潔で快適な掛け布団を実現しました。

一方で、開発者として常により良い商品を追求していく中で、さらなる快適性の向上を目指していました。特に、体へのフィット感や掛け心地について、羽毛布団を超えることができないかと考えていました。フィット感は暖かさを保持する重要な機能でもあり、掛け心地の良さにも総合的に影響するため、ここをさらに改善したいと思ったのです。
そこで考えたのが、合成繊維でできた粒状の綿だったのです。羽毛でいうマザーグースのような、大きくて空気を多く含む形状を合成繊維で実現できれば、これまで以上のフィット感と暖かさを両立できるはずです。
2年半の試行錯誤 -ひらめきが生んだブレイクスルー
そこで粒状の綿の開発に本格的に取り組み始めました。しかし、これが想像以上に困難でした。
羽毛の品質では、ダウンが大きいほど空気を多く含んで暖かくなります。マザーグースダウンのような大きな形状を合成繊維で再現しようと、大きな粒状の綿を作ってみたのですが、繊維がどんどん太くなり、風合いが硬く、重くなってしまいます。そして、最悪なことに、一つ一つが独立してボソボソし、絡み合わないため暖かくならず、掛け心地も悪いという結果になってしまいました。
この壁に2年近くぶつかり続けました。何回も何回も工場やOEM先と相談し、試作を重ねては「これじゃダメだよね」と振り出しに戻る日々。正直、心が折れそうになったこともありました。
そんな時、ふと前職時代の記憶がよみがえりました。前職の寝具メーカーで粒綿の開発をしていた際、数種類の大きさの粒綿をブレンドしたことがあり、それがよく絡み合っていたことを思い出したのです。
『そうだ!大きさの違う粒を絡み合わせればいいんだ!』
このひらめきが、開発の転機となりました。
特許テクノロジー「カーボナノダウン」誕生 -量子レベルの技術革新

大小様々な大きさの粒をランダムに成形し、絡み合わせることで暖かい空気を溜め込む構造。これがカーボナノダウンの基本コンセプトです。
さらに、このカーボナノダウンには革新的な技術が込められています。量子ドット技術を用いて、ナノ以下のサイズまで細かく砕いた特殊カーボンを繊維に練り込んでいます。これは特許取得した独自技術で、簡単に真似できるものではありません。
こうして完成したカーボナノダウンは、10種類もの多機能性を実現しました。羽毛との比較は下記の通りです。

革新的なキルト構造 -羽毛布団を超える掛け心地
カーボナノダウンという理想の素材が完成したことで、従来のEXとは全く異なるキルト構造も実現できました。
従来のEXは、生地の中にシート状の綿をサンドイッチして、上からキルティングしていたため、上下貫通したキルトでした。
しかし、今回の最新版では、まず外側の生地の状態で立体的な区画を作り、一つ一つボックスを形成します。その一区画ずつにカーボナノダウンを機械で充填していきます。これは羽毛布団と同じ立体キルトの手法で、加工に非常に手間がかかりますが、上下2層のツインキルトになるので、ボリューム感があり、キルト目から熱が逃げにくい構造です。

この立体キルト構造により、従来の掛け布団では実現できなかったフィット性、柔らかさ、そして羽毛布団を超える掛け心地を実現することができました。
軽量化も実現 -多機能なのに軽い、まさに理想の掛け布団
従来のEXは、それぞれ異なる機能を持つ複数種類の綿を使用する「総合技」でした。しかしカーボナノダウンは一つの素材で多機能を実現できるため、余計な素材を使う必要がありません。
その結果、製品の重量も軽量化することができました。多機能でありながら軽い、まさに理想の掛け布団が誕生したのです。
30種類以上の試作品 -妥協なき品質への追求

開発期間中、布団の形にした試作品だけでも30種類以上作りました。配合を少し変えただけでも新たに試作品を作り、必ず自宅で実際に使用してテストしました。
我が家の一室が試作部屋と化し、年中様々な試作品が積み上げられている状態。全ての試作品は実際に使用して、洗濯してみます。一つ一つ改善点を見つけて、修正を積み重ねていきます。最終的には、外部の試験機関にてあらゆる試験を重ねて品質向上に努めています。
家族にも遠慮なく試してもらい、時には「こんなの全然ダメでしょう」と厳しい評価をもらうことも。しかし、そうした素人目線でのビシバシとした意見も、商品の品質向上に欠かせませんでした。
夏のパーフェクト クールの開発時には、試作品と競合他社の商品を並べて比較テストを行い、「競合の方が全然いい」と言われてしまい、悔しい思いをしたこともありました。しかし、そうした厳しい評価があったからこそ、本当に良い商品を作ることができたのです。
ついに完成 -私の中では完成形に近い掛け布団
カーボナノダウンの絡み具合や粒の大きさの調整に苦労し、2年半から3年という長期間を要しましたが、ついに理想的な掛け布団が完成しました。
羽毛布団のデメリットを解消し、羽毛を超える暖かさと快適性を実現。多機能でありながら軽量で、体にフィットする掛け心地。私の中では完成形に近い掛け布団だと自信を持って言えます。
掛け布団で大切なポイントは、暖かさ、蒸れにくさ、清潔さ、掛け心地、収納性など多岐にわたります。それらが総合的に優れていなければ、羽毛を超えることはできませんし、お客様の満足度も得られません。今回のカーボナノダウンを使用したパーフェクト ウォーム EXは、これらすべてのポイントを高次元で実現した商品です。
最後に -常に挑戦
動物愛護の観点やアニマルフリーな社会風潮を背景に開発を進めてきました。また羽毛布団の実際のデメリットを改善し、さらにその上をゆく次世代わた【カーボナノダウン】が生まれました。今後は、羽毛に替わる素材としてカーボナノダウンを育ててゆくこと、動物繊維に頼らずに1年を快適にお過ごし頂けるような商品開発に常に挑戦してゆきたいと考えております。
▼「ブレインスリープ コンフォーター パーフェクト ウォーム EX(2025年最新モデル)」詳細
