睡眠時遊行症(夢遊病)とは?

睡眠時遊行症は、睡眠中に起き上がって座ったり、歩き回ったり、走り出したりと、ある程度複雑な行動をとり、その後再び眠りにつくもので、睡眠時随伴症(パラソムニア)の一つです。後で症状が出ている間の出来事を覚えていないのが特徴で、ノンレム睡眠の最中、およびノンレム睡眠からの覚醒時に起こるとされています。
小児期(特に男児)に多く、成長とともに無くなっていくことが多いです。また、同じノンレム睡眠関連睡眠時随伴症である、睡眠時驚愕症を合併することがあります。
睡眠時遊行症の症状

睡眠中に歩き回ったりするなどの比較的複雑な行動を行います。座ってあたりを見回したり、走り出したり、冷蔵庫のものを食べたり、窓から飛び出そうとしたり、押し入れに排尿することもあります。また、繰り返しつぶやいたり、部屋にあるものや階段で怪我をすることもあります。暴力的な行為や性的な行為に及ぶこともあります。
これらは、十分に覚醒していない状態で行われており、目を開いていたとしても自覚はしていないとされています。症状が持続するのは数分から数十分で、その後は再び眠りにつきます。朝起きた後、症状が出ていた時のことを明確に覚えていないのが特徴です。
また、症状が出ている間は、目がうつろで、他者が刺激を与えて目を覚ますことは難しく、強い刺激を与えて覚醒させると混乱したり、暴力を振るう場合もあります。そのため、無理に起こすのではなく、優しくベッドへと誘導してあげることが望ましいです。
原因、対処法・治療法

睡眠時遊行症では、成長に伴い症状が軽減されたり消失したりすることから、原因として、睡眠・覚醒に関する脳の神経系の発達や成熟が不完全であることが考えられています。また、遺伝素因があるとも言われています。その他、睡眠時遊行症を誘発する要因として、睡眠不足やカフェイン、疲労、身体的・精神的ストレス、発熱、過度の運動なども指摘されています。
対処法として、まずは予防のために上記の要因をなくすことが考えられますが、本人が怪我をするリスクを軽減することも大切です。
例えば、ベッドや布団から離れた際にアラームがなるようにして目覚めさせる、ベッドを低いものにする、床に寝るようにする、ベッドの周囲に危険なものを置かないようにする、1階で寝るようにする、などの対策が有効です。これらの対策でも不十分な場合には、薬物治療(就寝時のベンゾジアゼピン系投与)を行うこともあります。