不眠の症状がつらく、睡眠薬を処方され使用している方もいらっしゃると思います。
その睡眠薬、きちんと服用していますか?例えば、「睡眠薬を使用しているけどどうも効き目がない」という方の原因が、薬ではなく服用方法にあったということもあります。
睡眠薬は服用方法によっては、期待された効果を発揮しないばかりか、副作用が出て思わぬトラブルの原因となってしまうこともあります。
今回の記事では、きちんと効果を発揮させるため、副作用を避けるために、どのような点に注意すると良いかご紹介します。
就寝の直前に飲む

睡眠薬の多くは、服用後30分から1時間程度で成分の血中濃度が最も高まります。
そのタイミングを逃してしまうと、結局寝つきが悪く、睡眠薬の効果を得られなくなってしまう可能性があります。
また、血中濃度の高まりは個人差があるため、より早いタイミングで血中濃度が上がってしまうこともあります。服用後にも活動をしていると、筋弛緩や軽い意識障害などの効果が現れ、転倒などのリスクが高まります。
また、睡眠薬には記憶障害が副作用として出るものもあり、服用後の活動の記憶がなくなってしまうなどの問題も出かねません。そのため、効果を得るためにも、またトラブルを避けるためにも、就寝の直前に服用し、すぐに横になるようにしましょう。
仮眠で服用するのはNG?
また、「就寝」というのがポイントで、仮眠の前や日常生活での就寝時間と異なるタイミングでの服用も望ましくありません。
仮眠の前に飲んだ場合には、薬にもよりますが、目覚めた後にも眠気が残ることもあり非常に危険です。
また、通常23時に就寝される方が20時に薬を飲んだとしても、本来の身体のリズムと異なるタイミングで無理やり入眠させることになり、「眠気は感じるものの寝付けない」、「睡眠途中に目が覚めて悶々とした状況が続く」、といった状況にもなりかねません。
用法・用量を守る

「よく眠りたい」、「睡眠薬が効かない」といった理由で、用量を増やしたり追加で飲んだりしてはいけません。
血中濃度の急激な高まりは、薬によっては呼吸抑制を引き起こし死亡にいたることもありますし、そうではなくても記憶障害や意識障害が強く出てしまい危険です。
また、追加で飲むことにより血中濃度が高いまま維持されてしまい、翌朝に睡眠薬の影響が残ってしまう可能性があります。
さらに、睡眠薬の一部には精神依存性と身体依存性があるものがあり、一度量を増やすと減薬が難しいものも存在するため、注意が必要です。
お酒と一緒に飲むことは避ける
飲酒による酩酊状態と、ベンゾジアゼピン系や非ベンゾジアゼピン系などの鎮静型睡眠薬の神経系への作用の仕組みは似ています。そのため、両者が組み合わさると、結果として睡眠薬の神経への作用が強まり、副作用が現れる可能性が高まります。
急にやめない

先述した通り、睡眠薬には依存性があります。急に服用をやめてしまうと、かえって強い不眠症状が出たり、不安が強まったりしてしまう「反跳性不眠」が起こることがあります。
「反跳性不眠」は特に、長短時間・短時間型作用薬に特徴的なので、これらに属する薬を使用している方は注意が必要です。
薬を減らしたい場合や心配事がある場合には、ご自身で判断するのではなく、遠慮なく医師に相談するようにしましょう。
他の薬との併用

ベンゾジアゼピン系の睡眠薬はもともと抗不安薬として開発されたもので、この薬を処方されている方には、睡眠薬に加えて他の精神薬を処方されている方もいます。
薬の併用は副作用の出現リスクを高めることもあるため、睡眠薬を処方してもらう際には、医師・薬剤師に対して、現在服用中の薬をしっかり共有するようにしてください。