寝不足の日が続くと、何だか体重も増えるような……という疑問を感じている方に、この記事では、睡眠時間とダイエットに関係性はあるのか?睡眠で痩せることはできるのか?など、睡眠とダイエットについて解説しています。
睡眠とダイエットは関係しているの?
ダイエットをしようと思った時に思い浮かぶのは「食事制限」や「運動」ですが、実は「睡眠」もダイエットと深い関係があります。
良質な睡眠をとることで、食欲を抑えるホルモンや、脂肪を分解する働きや筋肉を発達させる働きのあるホルモンが多く分泌されるため、ダイエットを成功させるためには良質な睡眠が必要不可欠です。
睡眠とダイエットに関係するホルモン
睡眠中には、美容や健康だけでなく、ダイエットに関係のある様々なホルモンも分泌されます。
1:グロースホルモン
脂肪を分解する働きや、筋肉を発達させる働きのある「グロースホルモン」の分泌が最も盛んになるのは、眠りはじめの90分と言われています。そのため、眠りはじめの90分の質が悪いと、グロースホルモンの分泌が低下して太りやすくなります。
2:コルチゾール
ストレスホルモンとも呼ばれている「コルチゾール」が増えると、基礎代謝が低下すると言われているため、ダイエットの効率が悪くなります。コルチゾールは、睡眠時には分泌が抑制されると言われているので、毎日しっかりと質の高い睡眠時間を確保して、太りにくい体質に近づきましょう。
3:レプチン
食事をすると、脂肪細胞から分泌される「レプチン」が、脳の満腹中枢を刺激して食欲を抑えるため、満腹感を得られます。つまり、レプチンが増えれば食欲が抑えられ、痩せやすいということ。
しっかり眠った日と寝不足の日を比較すると、4時間睡眠を2日間続けただけで、レプチンの分泌が減少することがわかっています。
4:グレリン
体内のエネルギーが不足すると、「グレリン」というホルモンが胃から分泌され、脳の視床下部にある食欲中枢を刺激することで食欲が出ます。また、グレリンが増えると、必要以上に食欲を増加させるだけでなく、こってりしたラーメンやケーキなど、高脂肪食や高カロリー食を好むようになると言われています。
しっかり眠った日と寝不足の日を比較すると、4時間睡眠を2日間続けただけで、グレリンの分泌が増えることがわかっています。
5:セロトニンとメラトニン
人の体には、昼は活動的に、夜は休息状態に切り替わる体内時計が備わっています。その体内時計は、明るい光を浴びると分泌されて脳を覚醒させる「セロトニン」と、夜になると持続的に分泌されて眠くなる「メラトニン」が深く関係しています。
朝に強い光を浴びることでセロトニンが分泌され、約14~16時間後にメラトニンが分泌されるので、朝寝坊して光を浴びるのが遅くなったり、遮光カーテンを閉め切った部屋で過ごすなどして、2つのリズムが乱れてしまうと、寝付けない、または起きられないなどの睡眠トラブルが起きます。
朝に体内時計をリセットしておくことで、夜になると自然と眠くなり、規則正しい睡眠リズムを身に付けることができます。
睡眠時間が短く寝不足だと太る理由

厚生労働省が示す「睡眠と生活習慣病との深い関係| e-ヘルスネット(厚生労働省)」によると、「健康な人でも一日10時間たっぷりと眠った日に比較して、寝不足(4時間睡眠)をたった二日間続けただけで食欲を抑えるホルモンであるレプチン分泌は減少し、逆に食欲を高めるホルモンであるグレリン分泌が亢進するため、食欲が増大することが分かっています。ごくわずかの寝不足によって私たちの食行動までも影響を受けるのです」と記載されています。
別の研究では、睡眠時間が5時間の人は8時間の人に比べて、レプチンが16%少なく、グレリンが15%も増えることがわかっています。さらに、約2万人の日本人男性で平均睡眠時間と肥満のなりやすさを分析したところ、睡眠時間が5時間以上の人に比べて、5時間未満の人は肥満になりやすいことがわかっています。
米コロンビア大学の研究チームが、2005年に32~59歳の男女8000人を対象に調べたところ、平均7~9時間の睡眠時間の人に比べて4時間以下の睡眠の人の肥満率は73%も上昇することがわかりました。
このように、様々な研究により、寝不足の状態では太りやすいことがわかっています。
寝て痩せる睡眠ダイエット法

睡眠によって効率よく痩せる方法をご紹介します。
7~8時間の睡眠
日本肥満症予防協会の示す「睡眠時間と肥満はどう関連するか?」によると、「米国立保健統計センター(NCHS)のデータで睡眠時間別の肥満者の割合をみてみると、睡眠時間が6時間未満の人で33.3%、6時間~ 7時間未満で28.4%、7~8時間で22%、9時間以上 で26.3%となっています」と記載されています。
肥満度は7~8時間眠る人が最も低く、睡眠時間が短くなるほど、また長くなるほど多くなるというU 字型の関連がみられることがわかります。
睡眠時間を確保するために、起きる時間から逆算して寝る時間を決めましょう。
自分に合った寝具を使う
枕は頭ではなく首を支えるものを、マットレスは背中ではなく腰を支えるものを選びましょう。特に、仰向けで寝た時に立った状態と同じ首のS字カーブを維持できる高さの枕でないと、首や肩に負担がかかり、良質な睡眠を得ることができません。
質の悪い睡眠では、肥満のリスクだけでなく、精神的にも仕事のパフォーマンスにも影響が出るので、自分に合った枕を使うことが大切です。
眠りはじめの90分を深く眠る
先ほどもお伝えした通り、脂肪を分解する働きや、筋肉を発達させる働きのある「グロースホルモン」の分泌が最も盛んになるのは、眠りはじめの90分と言われています。眠りはじめの90分の質は、その後の睡眠の質にも影響し、食欲抑制機能をもつレプチンにも関係してくるため、いかに眠りはじめの90分を深く眠ることができるかがポイントです。
睡眠とダイエットは関係している
睡眠とダイエットに関係するホルモンには深い関わりがあるため、睡眠時間や質によって太ることもあれば、痩せることもあります。ダイエットを意識している方は、食事制限や運動だけではなく、睡眠の質にもこだわってみてはいかがでしょうか。
【参考】 厚生労働省:「睡眠と生活習慣病との深い関係| e-ヘルスネット(厚生労働省)」 日本肥満症予防協会:「睡眠時間と肥満はどう関連するか?」