大人になると、ついつい夜更かししてしまう機会が増えていきます。しかし、時間に制限の無い生活をしていると、少しずつ生活リズムが崩れる原因に。それが概日リズム睡眠障害(以降リズム障害とする)です。
特に、夜寝る時間が後ろにずれて、夜更かし朝寝坊になる場合は、睡眠相後退症候群と言われます。
昼夜逆転は、夜間に寝ることが出来ず、昼間に寝るように完全に夜と昼の行動が逆になった睡眠障害で本来は稀なケース。ただ、今回は分かりやすいように昼夜逆転という言葉も使わせて頂きます。
「昼夜逆転を治したい」そう思っても、なかなかすぐにはできませんよね。
そこで、今回は昼夜逆転の治し方やメリットとデメリットについて解説していきます。この記事を読めば、昼夜逆転になっているあなたも上手く治すことができますよ!
1.昼夜逆転は本当にデメリットばかりで治すべき?
日本には、夜勤や時差の影響で夜間に働き、昼夜逆転の生活をしている方が沢山います。
そんな方の中には、「このまま昼夜逆転生活を続けていても大丈夫なのか?」と不安を感じている方もいるかもしれません。
その昼夜逆転生活が与える影響にはどのようなものがあるのでしょうか?
まずは昼夜逆転生活のデメリットとメリットを見比べて、昼夜逆転の影響を知っていきましょう。
1-1.昼夜逆転生活のデメリット
夜に仕事などの活動をすることで、生体リズムが乱れ、健康への影響があることが知られています。まさしくリズム障害というわけです。
主な健康影響として、以下が挙げられます。
- 睡眠障害
- 胃腸障害
- 高血圧、高脂血症などの生活習慣病
- 心筋梗塞・脳卒中のリスク
- 一部の癌(乳がん、前立腺がん)の発症リスク
油断をすると誰しも夜更かしをして、夜遅くに寝て、朝は起きづらく遅くまで寝ているという生活をしてしまいがちです。また、仕事で夜に働き、朝仕事を終えてから、昼間に睡眠をとるという人もいます。
しかし、朝方に明るくなってから寝ると、深部体温やホルモンの分泌は、昼間に活動するための準備を始めますので、しっかり睡眠時間をとっても深い睡眠は取れません。ひどい場合は、睡眠障害や胃腸障害、慢性的な頭痛や肩こりなどに悩まされ続けることも。
人間は、夜間にホルモンが活性化して、細胞の修復を行う性質があります。その夜間に起きていると、細胞の修復が十分に行われません。そのため、肌や髪など細胞が修復されず、ダメージがどんどん蓄積していきます。
その結果、老化が進み、見た目も印象が悪くなっていくのがデメリットです。
他にもデメリットはあり、ある意味一番のデメリットとなるのが、家族や友人と予定が合わなくなること。世の中の大半の人は、昼間活動して夜間に眠るサイクルで生活しています。
昼夜逆転してしまうことで、連絡できる時間帯や遊びに行く時間帯がズレて、周囲から孤立しやすくなります。
デメリットは挙げればキリがありませんが、昼夜逆転生活にメリットはあるのでしょうか。
1-2.昼夜逆転生活のメリット

夜、睡眠をとらずに活動するメリットとは何でしょうか?
工場などでは、24時間連続操業といって、休むことなく生産を続けることで、生産量を増やすことが出来ます。
また、病院などの医療や電力の保全監視業務、ホテルなどの宿泊業では、夜間も必然的に働く必要が出てきます。24時間営業のコンビニエンスストアなどもそうですね。
現在では、日中の工事現場などは非常に暑い環境で、熱中症にかかるリスクも大きくなっているため、夜間の建設作業も増えてきています。
このように仕事によって、夜間活動する必要がある方がいる一方で自堕落な生活で夜更かしをして、生活リズムが乱れ、リズム障害になっている人々も多くいます。 こういった人々は、リズム障害になると涼しい夜に活動をして、この一番暑い時にクーラーの効いた部屋で寝ることが出来るのがメリットだというかもしれません。
しかし、昼間の睡眠は、深い睡眠がとれず、慢性的な睡眠障害になりかねません。自ら生体リズムを乱して、健康に悪い生活をしていることに気づく必要があります。
また、夜間はSNSなどの投稿が増えるので、ネットで交流をしたい方には夜のネット活動はメリットに感じるかもしれません。リアルタイムで会話ができるオンラインゲームなどでも、夜間に活発に行なわれているという現実があるようです。
夜間は頭が冴えているように感じて、活発に行動をする人もいますが、これはリズム障害という生体リズムがずれる病気になっている可能性があるので要注意ですね。リズム障害の場合、朝起きることが出来ず、普通の社会生活を送ることが困難になってきます。
やはり夜更かしや昼夜逆転生活のメリットはデメリットに比べると少なく、昼に活動して、夜に眠るという生活リズムを作っていくことが大切です。体にとって、デメリットの大きい、生体リズムの乱れを、多くの人は治したいと思っていますよね。どうしたら治すことができるのか見ていきましょう!
2.リズム障害の治し方5選

夜型の生活に慣れてしまうと、朝方寝て昼過ぎに起きるいわゆる「昼夜逆転」の生活になることも珍しくありません。「中高生の頃からずっと夜型で、何度治そうと思っても無理だった」と悩んでいる人もいることでしょう。特に、中高生などの若者ほどリズムがずれやすく、夜更かし、朝寝坊の生活になりやすいことが知られています。
そこで今回は、リズム障害と昼夜逆転の治し方を5つご紹介します。
2-1昼に頑張って起きていて、夜しっかり寝る
人は、深く眠ることができる時間帯がある程度決まっています。これは、深部体温が低下する夜の12時頃から朝方の5時頃までです。
昼間に眠ろうとしても、睡眠が浅くなるのは当然のこと。
また、後ほど詳しく解説しますが、人間には生活リズムを司る「体内時計」という機能が備わっています。昼間に長時間眠る生活を続けると体内時計がズレて、昼夜逆転になってしまい、夜に眠れなくなってしまうのです。
昼夜逆転の生活をしている人は、体内時計のズレにより、夜に覚醒し、昼に眠りに入るリズムに変わっているので、日中活動をしようとすると、眠気を催しやすくなっています。
しかも、昼間に眠ようとしても外部環境は光や騒音が多く、気温も高くなるため、睡眠が妨害され、深く長く寝ることができません。
この昼夜逆転のリズムを改善するためには、昼は眠くても短時間の仮眠だけにして頑張って活動し、夜にまとめて寝るように心がけましょう。そうすれば、自然と疲労もたまって夜に眠くなります。
ただし、1日だけでは効果がありません。体内時計が調整されて生活リズムが変わるまで3週間程度かかります。そのため、3週間はきつい生活が続きますが、徐々に良い生活リズムが出来てきます。どうしても眠くてたまらないという場合は、15分以内の昼寝がおすすめです。
2-2.昼間に予定を入れて積極的に活動する

これでは、運動不足になり、夜に眠気がおきにくくなります。昼間に努めて用事を入れ、外出することを心がけてください。そうすれば、身体が心地よく疲労し、夜に眠りやすくなりますよ!
用事が見つからないという場合は、30分程度のウォーキングや、室内でできる体操、筋トレなどの軽い運動もおすすめです。
2-3.朝日を浴びて体内時計を戻す
昼夜逆転の生活を送っている人は、「体内時計」がずれて、昼間に眠ることがすでに習慣となっています。
人には約24時間周期で生体のリズムを刻む「体内時計」が備わっています。体内時計は毎朝、朝日を浴びることでリセットされる仕組みがあります。
しかし、昼夜逆転の生活を送っていると「朝日を浴びてリセット」ができにくくなります。その結果、体内時計がズレていき、睡眠が深く取れるはずの夜に眠れず、目がさえやすくなるのです。
昼夜逆転の生活を治すには、体内時計を戻さなければなりません。
そのために、きつくても、まず朝日が浴びられる時刻に一度起きること、そしてカーテンを開けて朝日を浴びることを習慣づけましょう。
睡眠ホルモンと呼ばれる「メラトニン」の分泌は、光を浴びてからおおよそ14時間後に分泌が始まります。朝日を浴びれば、夜にメラトニンの分泌が最大になり、自然な眠気が訪れるでしょう。朝日を浴びることで、夜にしっかりと「メラトニン」が分泌され、良い睡眠が取れるようになるのです。
メラトニンには、生体リズムを整える役割もあり、リズム障害の患者さんの治療にも使われます。光照射やメラトニンの作用を促す内服薬を使った専門治療もありますので、昼夜逆転が直らず、生活に支障をきたしている場合は、専門医に相談してみても良いでしょう。
2-4.夜の光は少し抑えて暖かい調光で

昼夜逆転の生活を治したい場合は、夜は少し暗めの、暖色照明にして生活し、寝る態勢を整えることが重要になります。
心地よく良質な睡眠を取るためには、適度に空腹で体温や血圧がやや低めであることが理想的。夜間に、重い食事をしないことも大切です。
また、しっかり入浴することも効果的ですが、ベッドに入る1時間前までには済ませましょう。 コーヒー、紅茶、緑茶などは覚醒作用があるカフェインが含まれているので、朝はしっかりと覚醒するために積極的にカフェインを摂り、夕方以降は飲まないように心がけてくださいね。
お酒は眠くなると思われがちですが、睡眠を浅くする効果があるため、睡眠の質が悪くなります。生活リズムを整え、リズム障害を元に戻している間は、できるだけ飲酒しないように心がけましょう。
眠れないからといって、ベッドの中でスマホや携帯ゲーム機をいじるのはNG。スマホや携帯ゲーム機の光には朝日によく似た「ブルーライト」が多く含まれています。眠れない場合は、やや暗くした部屋で、軽いストレッチなどをベッドの上で行い、眠りを誘う静かな音楽を流すなどするのがおすすめです。
2-5.週末の寝過ぎは避ける
自由に時間が使える休日くらい、いつまでも寝ていたいものです。しかし、週末に長く寝ることは、体内時計がズレる原因になります。
平日5日かけて朝起きて夜眠る生活を続けても、週末に昼夜逆転をしてしまえば、体内時計はまた昼に眠くなるように調整されてしまうのです。これでは、いつまでたっても生活を昼型に改めることはできません。休日もできるだけ平日と同じ生活リズムを守りましょう。
どうしても朝長く寝たい場合、睡眠時間を延ばすのは1時間程度に抑えるのが良いですね。昼寝をしたい場合も、15分以内に抑えてください。
3.リズム障害や昼夜逆転の治し方を知っているだけで生活が豊かに!

昼夜逆転生活は、今は大きな問題になっていなくても、健康面や社会適応など、長期的な目線になるとデメリットが多くなってきます。
現在、夜勤をしている方も、この生体リズムの仕組みを知っていることで、得られるメリットは沢山あるでしょう。まずは、朝日を浴びて体内時計をリセットするなど、やりやすいものから始めてみてください。
人間は毎日朝日を浴びることで、体内時計をリセットして生活しています。そのため、日中に外出する予定を入れるのは、朝日を浴びて日中活動し、昼間に長く寝ないという面で効果的です。 さらに交友関係も生まれるので、良いことばかりですね。
一方の夜間ですが、こちらはいかに眠りやすい環境を作れるかがポイントです。
まずは、覚醒作用のあるアルコールやカフェインの摂取を控えて、体をリラックスモードにシフトチェンジしていきましょう。布団の中ではスマホの操作は絶対にしないようにしてくださいね。スマホのブルーライトは、目にとって強い刺激材料です。
この生活を意識することで、昼夜逆転は少しずつ解消されていきます。健康面やメンタル面、交友関係など、昼夜逆転を治すことで得られるものは多いですよ!
まとめ:リズム障害や昼夜逆転は早めに治しておこう!

昼夜逆転は、人間にとってデメリットが多い生活スタイルです。 健康的で人と楽しく生活をしていくためには、なるべく早い段階で昼夜逆転を治しておくことをおすすめします。
最後に昼夜逆転の治し方のポイントをおさらいしておきましょう。
- 昼に長く寝ないで起きているようにする(休日も)
- 昼間に予定を入れて積極的に活動する
- 朝日を浴びて体内時計を戻す
- 夜は光を抑えて過ごす
- 週末の長寝は避ける
昼夜逆転が治るのには個人差がありますが、早ければ1ヶ月程度から数ヶ月で通常のサイクルが復活するでしょう。
身体の健康や交友関係を大事に思うのなら、昼夜逆転の解消を前向きに検討してくださいね。