株式会社ブレインスリープ(本社:東京都千代田区、代表取締役:廣田 敦、以下「ブレインスリープ」)は株式会社フィッツコーポレーション(東京都港区、代表取締役:富樫康博)とともに、香りが睡眠に与える影響について検証(以下「本検証」)を行いました。今回の検証からは、睡眠時に香りを取り入れることで香りがない場合と比較して、寝つき・目覚めの良さ・睡眠効率といった睡眠指標が改善する傾向が確認されました。 本取組み背景 ブレインスリープは、OECD加盟国の中で睡眠時間が最も短い日本の睡眠課題を解決するために、睡眠医学に基づいたプロダクト開発、正しい睡眠情報の発信、睡眠に関する正しいエビデンスの取得支援を行っています。 嗅覚は五感の中で唯一、本能や感情さらに記憶を司る大脳辺縁系にダイレクトに働きかけるため、香りは嗅覚を通して脳に直接アプローチができます。香りは、多くの人が抱えている心と体の緊張を緩和し、睡眠改善にも繋がる可能性があると考え、その効果を可視化するために香りに30年以上向き合い、その可能性に着目してきたフィッツコーポレーションからの依頼を受けて、本検証を行うに至りました。 検証概要・結果 本検証では、香料が睡眠に与える影響の検証(寝つき・中途覚醒・目覚めの良さ・睡眠効率)を、20~60代の12名を対象に実施しました。睡眠状態の評価は、客観指標として活動量測定、主観的指標としてVAS(Visual Analogue Scale)法を用いたアンケートにより実施しました。検証に使用した香料は、別途リラックス効果が確認された3種の香料を使用しました。(検証詳細は、後述の参考資料に添付) 【検証概要】 被験者:普段の睡眠において不満を抱えている20~60代の男女12名 試験方法:クロスオーバー試験 測定項目:活動量、VAS(Visual Analogue Scale)法を用いたアンケート評価 【検証結果】 被験者12 名の全体解析の結果、3 種類の香料のうち好みの香りを就寝中に嗅ぐことにより、目覚めの良さを示す指標である離床潜時は*1、香りなしの場合の6.8±1.1 分に比べて、香りありの場合では3.4±0.4 分と有意に減少しました。また、睡眠効率*2 についても向上する傾向が確認されました。 *1 離床潜時:最終覚醒から起床までの時間。目覚めの良さの指標 *2 睡眠効率:就床時間のうち実際に眠っていた時間の割合 また、被験者12 名のうち朝の目覚めに不満を感じている被験者(9 名)*3 に絞った場合のクロス解析においては、離床潜時に加えて、寝つきの良さを示す睡眠潜時*4 や睡眠効率の睡眠指標が統計上有意なレベルで改善することが確認されました。なお、中途覚醒時間*5 については、減少傾向はあるものの、統計的な優位を示せるほどの差は見られませんでした。 *3 被験者:事前に実施したアンケートにおいて、普段の目覚めのスッキリ感を10 点満点中6 点未満と回答した者 *4 睡眠潜時:就床から入眠までに要した時間。寝つきの指標 *5 中途覚醒時間:入眠から翌朝の最後の覚醒までの時間(睡眠時間)のうち、覚醒していた時間 検証考察 全体結果では、活動量測定から好みの香りを嗅ぐことは目覚めの良さを改善する効果がある可能性が示唆されました。また、睡眠効率の改善傾向も確認されたことから、本検証で用いた香料を嗅ぐことにより睡眠の質向上に寄与する可能性も示唆されたといえます。 共同研究パートナー 企業名:株式会社フィッツコーポレーション 代表取締役:富樫 康博 所在地:〒107-0061 東京都港区北青山3-6-1 オーク表参道ビル 7・8F URL: https://www.fits-japan.com/ < Appendix>香りの選定に関する事前検証について 上述した香料が睡眠に与える影響の検証に使用する香料を選定することを目的とした事前検証を実施しました。香料の選定に際しては、客観指標として心電図測定、主観的指標としてVAS(Visual Analogue Scale)法を用いたアンケートを実施することで、香料のリラックス効果を評価しました。 具体的には、心電図の計測は、まず開眼状態・着座安静の状態で6分間、その後、試料を嗅いだ状態で6分間行いました。試料を嗅ぐ際は被験者が呼吸と共に吸入できるように、試験試料を滴下した試香紙を両手で保持させました。尚、試料の提示順序は被験者毎にランダムとしています。心電図測定後にはアンケート評価を実施しました。 【検証概要】 被験者: 20~60代の男女15名 測定項目:心電図測定、VAS(Visual Analogue Scale)法を用いたアンケート評価 【実験試料】 本事前検証では、6種類の香料(①FG、②WF、③HG、④WC、⑤WL、⑥HW)を試料として使用しました。 【検証結果】 心電図測定の結果、①FGおよび③HGの2つの香料を嗅ぐとLF/HF値*6が減少する傾向が確認されました。また、主観評価であるVAS法を用いたアンケート評価では、⑥HWがリラックス度合いに関する設問において高い点数を得る結果となりました。 *6LF/HF値:心電図測定から算出されるストレス指標。リラックス状態にあると値が小さくなり、ストレス状態にあると値が高くなる