株式会社ブレインスリープ(本社:東京都千代田区、代表取締役:廣田 敦、以下「ブレインスリープ」)は、日本人の睡眠課題解決を推進するため、今後睡眠専門医との連携を強化していきます。その第一弾として全国でも有数のSASの症例数を誇る太田総合病院記念研究所 太田睡眠科学センター(以下「太田睡眠科学センター」)とAI画像診断による睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome、以下「SAS」)※のリスク判定のアルゴリズム構築に係る共同研究を開始いたします。本共同研究を通じて、SASリスク要因として「肥満」に加えて「骨格」に焦点をあて、スマホなどで撮影した顔写真によるAI画像診断を提案することで、SASの適切な治療につながる一助になることを目指しています。SASは潜在患者数が多く健康リスクの高い障害の一方、十分に認知・治療が行われていないため、本取組を通じてSASの認知向上を図ることで、日本の睡眠課題解決につなげていきます。 ※睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に無呼吸・低呼吸を繰り返す睡眠関連呼吸障害の一つです。1時間あたりの無呼吸と低呼吸を合わせた回数である無呼吸低呼吸指数(AHI)が5以上であることが診断基準の一つとなります。 共同研究背景 2019年にはSAS患者は世界でも約9億人、治療が必要な中等症以上の患者数は約4億人いると推定されています。日本においても年々増加傾向にあり、潜在患者数は2,200万人、治療が必要な患者数は940万人と推定されています。また、弊社が毎年1万人を対象に実施している「睡眠偏差値®調査」では、SASリスクが高い人の割合は男性では24.1%(1,221人)、女性では12.3%(607人)でした。一般的に、中高年男性の罹患者が多いSASですが、高リスク女性の割合が高リスク男性の50%に近い結果でした。一方、同調査ではSAS高リスク者のうち、治療経験がある方の割合は男性では18.2%に対して、女性では6.1%に留まることがわかりました。この結果より、SASの女性における認知度が男性と比べてまだまだ低いと考えています。 SASは空気の通り道である上気道が狭くなることが原因で発症するため、そのリスク要因として最も問題視されているのは「肥満」であり、一般的には中高年の男性が罹患する疾患のイメージが強い睡眠障害です。しかし、上気道が狭くなるリスク要因としては、肥満以外に「骨格」も挙げられ、顎が小さい傾向にある日本人を含むアジア人では「骨格」が大きなリスク要因になりえます。特に、女性は男性と比べてその傾向が高く、実際に太田睡眠科学センターの臨床においても、「骨格」を要因とするSAS患者は女性に多くみられました。しかし、世界においても骨格からSASリスクを判定する仕組みはまだ構築されていません。そこでブレインスリープでは骨格によるSASリスクを明らかにするために、第一線でSAS治療を行っている太田睡眠科学センターとの共同研究を開始します。 本研究では、全国でも有数のSASの症例数を誇る太田睡眠科学センターの保有するCT画像とSAS患者の重症度をAI解析することにより、骨格からSASリスクを判定できるようになることを目指しています。 出典:Lancet Respir Med VOLUME 7, ISSUE 8, P687-698, AUGUST 01, 2019 今後の展望 本研究の結果を活用し、ブラウザやアプリ上でご自身でお手軽にSASリスクを知ることが可能となり、最適な治療や予防を受けられるようにしていきたいと考えています。 「肥満」が主なリスク要因と考えられているSASですが、本共同研究を通じて「骨格」によるリスクを示すことにより、日本特有のリスクとして顎が小さいことにより痩せ型の人でもなり得る疾患であること、ひいては誰でもなり得る病気であることの認知拡大を図ることで、日本の睡眠課題解決を目指していきたいと考えています。 ■共同研究パートナー(https://www.ota-sleep.com/) 企業名:太田総合病院記念研究所 太田睡眠科学センター 所在地:〒210-0024 神奈川県川崎市川崎区日進町1−50