【電気通信大学と共同研究】 新しいコンセプトの睡眠ステージ推定のアルゴリズムを構築

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株式会社ブレインスリープ(本社:東京都千代田区、代表取締役:廣田 敦、以下「ブレインスリープ」) は、電気通信大学(以下「電通大」)髙玉 圭樹 名誉教授(現 東京大学 情報基盤センター 学際情報科学研究部門 教授)と共同で昨年度、睡眠計測ツール「ブレインスリープ コイン」の睡眠ステージ推定精度向上を目的に研究を行い、「睡眠リズム」の把握が可能な全く新しいコンセプトの睡眠ステージ推定アルゴリズムを新たに構築いたしました。ブレインスリープは本アルゴリズムを搭載した睡眠計測ツール「ブレインスリープ コイン」を 2024 年 9 月 25 日(水)アップデートリリースいたします。


背景

睡眠は、健康と幸福に重要な生理現象の 1 つです。睡眠に対する悩みや熟睡感などは主観による評価に留まることが多く、客観的な睡眠データと乖離していることもあるため、本来であれば主訴と客観的な睡眠データ両面から睡眠の質を把握することが重要となります。
従来の睡眠の質を測定する方法は、専門家が手動で評価するポリソムノグラフィー(PSG)検査と呼ばれる方法でしたが、この方法は多くの電極を頭や顔に装着するため、身体的・精神的に大きな負担がかかります。
最近では、AI や IT 技術の進展により、日常生活で負担なく使用できるセンサを用いた睡眠測定方法が注目され、その中でも、加速度計を用いた方法は、特別な環境を必要としないため、多くの研究で使用されています。しかし、加速度計を用いた従来の方法では、睡眠の質を正確に測定する方法は確立されておらず、精度も不明瞭です。特に、加速度計を用いた多くの睡眠ステージ推定アルゴリズムは、心拍データを用いないため、REM 睡眠や深い睡眠の判定が困難です。
ブレインスリープでは、2022 年 10 月自宅で簡易的に睡眠を計測できるツールとして、睡眠計測アプリケーション「ブレインスリープ コイン(アプリ)」および睡眠計測デバイス「ブレインスリープ コイン(デバイス)」を開発・販売してきました。このたび、「ブレインスリープ コイン」の睡眠ステージ推定の更なる精度向上を目的に電通大と共同研究を行いました。これにより腰に装着した加速度センサを使い、身体の動きと人の睡眠中の生体リズムに基づいて睡眠の質を測定する新しい方法を確立しました。これは、精度のみに着目した従来の睡眠ステージ推定の方法とは一線を画す、全く異なる新しいコンセプトに基づく方法です。

研究概要と成果

●加速度センサで取得される身体の動き(体動)パターンと睡眠段階(覚醒、REM 睡眠、Non-REM 睡眠ステージ 1-2、(以下「NREM12」)Non-REM 睡眠ステージ 3(以下「NREM3」))との関連性の発見とそれに基づく睡眠ステージ推定アルゴリズムを構築し、その有効性を検証しました。
●具体的には、20〜50 代の 35 名の被験者に対して,ブレインスリープコイン(デバイス)を装着した状態で PSG検査を実施しデータを収集して分析をしました。腰に装着したブレインスリープ コイン(デバイス)から取得できる「体動の発生頻度」と「人の睡眠中の生体リズムの 1 つであるウルトラディアンリズム」に相関があることに着目し、身体の動きからウルトラディアンリズムを推定することに成功しました。そして、推定したリズムに基づいて、体動だけでは推定が難しい、REM 睡眠やNREM3 も推定可能なアルゴリズムを開発しました。
●NREM3 の推定精度に着目すると、従来の機械学習モデルよりも高い精度で推定できることが実験で確認されました。具体的には、適合率(NREM3 と推定した箇所が正しい割合)が 27%改善し、再現率(NREM3 である箇所を推定できた割合)が 24%改善しました。これにより、従来のブレインスリープ コインの睡眠ステージ判定アルゴリズムと比較して、全体の一致率が 26%改善しました。
●図は PSG 検査による睡眠ステージと新アルゴリズムによる睡眠ステージ推定結果の比較図となります。縦軸は睡眠ステージを表し、横軸は時間を表します。また、青色の線は PSG 検査より得られた正解の睡眠ステージ、橙色の線はアルゴリズムが推定した睡眠ステージを表します。丸印は NREM3 の箇所を正しく推定できている箇所を表し、バツ印は誤推定した箇所を表すものです。新アルゴリズムでは誤推定が大幅に軽減し、かつ睡眠リズムを捉えることに成功しております。

●本共同研究により、より簡便で正確な睡眠モニタリングが可能になりました。これにより、多くの人が自分の睡眠状態を把握し、より良い睡眠を得るための一助となることが期待されます。なお、本研究内容については以下の通り発表しています。
・NREM3 睡眠:
NREM3 Sleep Stage Estimation Based on Accelerometer by Body Movement Count and Biological Rhythms, AAAI 2024 Spring Symposium Series
・REM 睡眠:
REM Estimation Based on Accelerometer by Excluding Other Stages and Two-Scale Smoothing, IEEE EMBC 2024

共同研究者(国立大学法人電気通信大学 髙玉名誉教授)コメント

精度を謳っている製品が多く見られますが、健康の観点では深い睡眠と浅い睡眠が交互に表れる睡眠リズムを把握できる方が大事です。このようなリズムのノイズを多く含む加速度センサのみからより正確に推定することはチャレンジングな課題ですが、REM 睡眠と NREM3 の推定向上により、全体的な精度だけでなく、睡眠のリズムを把握しやすくなりました。

睡眠計測ツール「ブレインスリープ コイン」とは

睡眠研究により蓄積されたデータを元に開発した独自の計測アルゴリズムを搭載した、睡眠を価値にする睡眠計測ツール。人の動きに合わせたよりパーソナルな分析が可能。睡眠習慣の改善から、眠りのスコアがコインに変わる好循環サイクルを提案することで睡眠の質向上をサポートします。
また、今回のアップデートでは、睡眠ステージ判定の推定向上に加え、毎日の睡眠データをサマライズし、週間・月間・年間の睡眠データをレーダーチャートで可視化する機能も追加されました。コンディションがよいと回答した日と睡眠データを掛け合わせた分析を行い、ユーザーに最適な睡眠時間/行動を提案する機能も追加されています。
商品詳細ページ:https://brain-sleep.com/collections/sleep-tech-app/products/coin





大学名:国立大学法人電気通信大学
所在地:〒182-8585 東京都調布市調布ケ丘一丁目 5 番地 1
学長:田野俊一
大学 HP:https://www.uec.ac.jp/
大学概要:無線通信技術者の養成を目的として 1918 年に創設された社団法人電信協会無線電信講習所を起源とし、1949 年「電気通信大学」の名で開学しました。学部を持つ国立大学の中で唯一、大学名に地名を含んでいませんが、これは、日本全国に開かれた大学を創ろうという精神に基づいたものです。現在では、情報・電気・通信のみならず、物理工学、材料科学、生命科学、光科学、エレクトロニクス、ロボティクス、機械工学、メディアなど、理工学の基礎から応用まで、広範な分野での教育と研究を行っている理工系国立大学です。

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