枕が合わないことで首が痛くなる原因
真っ直ぐに立った姿勢(正常立位姿勢)のとき、首の骨は通常、背骨から頭を真っ直ぐ支えるために緩やかなS字を描くようにカーブしています。睡眠時にも、その背骨のカーブを自然な状態に保つことで、体の圧力が均等に分散され、血液が循環しやすくなります。 そこで重要なのが枕です。
枕には、睡眠中の頭や首を支えて首のカーブをサポートしたり、睡眠中の姿勢を整える役割があります。ですが高さや硬さの合わない枕を使用すると、頭や首をうまく支えることができず、無理な姿勢を長時間続けることになるので、睡眠中に首や肩周りの筋肉に大きな負担がかかり、こりや痛みが起こります。 また、横幅が小さすぎる枕は、寝返りを打ったときに枕から頭が落ちやすいため、肩こりや寝違えにつながる可能性があります。
枕が合わないと出る症状
合わない枕を使用することで起こる症状の代表は以下の4つです。- 肩・首・腰・頭の痛み
- いびき
- ストレートネック
- 睡眠の質低下
肩・首・腰・頭の痛み
高さや硬さの合わない枕で眠ると睡眠中の姿勢が不自然になり、頭から首、肩周りにかけての筋肉に負担がかかってしまうため、肩・首・腰・頭の痛みやこり、寝違えの原因となります。 例えば、高すぎる枕を使うと頭が持ち上がるため、首や肩に負担がかかり、使い続けることで頭痛や首こり、肩こりなどの原因になります。
反対に、低すぎる枕では首とマットレスの間に隙間ができ、首だけで頭を支えている状態になるため、肩こりや首の痛み、呼吸のしづらさなどの原因になります。 また、首と腰にかけて背骨で繋がっているため、首に負担がかかることで腰にも影響が及ぶ可能性があります。特に体を支える筋肉が少ない方は、枕が合わないことで腰痛が起きやすいと言われています。
いびき
高すぎる枕で眠ると、気道が圧迫されるので、いびきをかきやすくなります。 首の自然なカーブをつくれる枕の高さは人によって異なりますが、華奢な方であれば5cm程度、体格が標準の方は6cm程度、体格のよい方は8cm程度の高さを目安に調整しましょう。ストレートネック
ストレートネックとは、スマートフォンの使用やデスクワークなど、生活習慣のなかで前傾姿勢が長時間続くことで、首のカーブが伸び、ストレートになった状態のことです。 人は睡眠中、ストレートネックでダメージを受けた首の修復をはかろうとしていますが、高さや硬さが合わない枕を使用していると、ダメージや疲労を回復するどころか、悪化させてしまう可能性があります。 下記記事では、ストレートネックの症状や簡単な診断方法、症状緩和に有効なストレッチなどをまとめています。気になる方はぜひあわせてご覧ください。
>>ストレートネック(スマホ首)の見分け方を紹介! 症状や対策枕の選び方も解説
睡眠の質の低下
自分の体に合っていない枕は、寝返りがしにくかったり、寝心地が悪くて逆に寝返りをし過ぎてしまうので、睡眠の質が低下します。「十分な時間寝たのに翌朝疲労感がある」「夜中に目が覚めてしまう」という方は、枕を見直してみましょう。枕で首が痛くなるのを解決する方法
自分に合わない枕を使用し続けている間は、首や肩の痛みやこりが解消されない可能性が高いと言われていいます。枕による悩みを解決するには、「自分に合った枕」を「正しく使用する」ことが大切です。 この章では、枕が自分に合っているかチェックする方法と、枕の正しい使用方法の2点を解説します。枕が自分に合っているかチェック
まずは、使っている枕が自分の体に合っているかを確認しましょう。自分に合っていない枕を使っている場合は、下記のような状態が多く見られます。- 朝、目が覚めた時に枕がズレている(首から離れている、後頭部しか乗っていない)
- うつ伏せの姿勢で目が覚める
- 枕や頭の下に手を入れて寝ている
- 腕を上げて寝ている
- 翌朝、手や腕にしびれがある
- 翌朝、首や肩がこっている、または痛い
- 熟睡感がない
- 寝返りを打つと目が覚める
正しく枕を使用する
正しく枕を使用するための手順は以下の通りです。- 枕に頭から首までを乗せる
- 枕の両端を両手でつかみ、枕と肩が触れる位置まで枕を引き下げる
- 枕に「頭と首」が乗っているか
- 枕と肩が触れているか
- 肩が枕に乗っていないか
【寝姿勢別】首が痛くならないようにする枕の使い方
“理想の寝姿勢”とは、真っ直ぐに立った姿勢(正常立位姿勢)に近い背骨のラインを保つことなので、寝姿勢によって、最適な枕が異なります。仰向け寝:背骨がなだらかなS字状にカーブ
仰向け寝のときは、真っ直ぐに立った状態と同じように、首の骨が緩やかなS字カーブになる高さの枕がオススメです。頭だけでなく、首のカーブもしっかりと支えることのできる高さ・硬さ・サイズの枕を選びましょう。 また、仰向けの状態で頭を乗せたときに、首から頭にかけての傾斜角度が10〜15度、額より顎の先が5度程度下がっている状態が理想の寝姿勢と言われています。横向き寝:背骨と床が真っ直ぐ平行
横向き寝のときは、真っ直ぐに立った状態と同じように、頭から背中にかけての骨が真っ直ぐになる高さの枕がオススメです。頭を適切な高さで支えて背骨が真っ直ぐになることで、首や肩にかかる負担を抑えることができます。 横向き寝の姿勢では肩幅の分、頭や首がマットレスから離れるため、「仰向け寝」と「横向き寝」では最適な枕の高さが異なります。 最近は、中央部が低く、両サイドが高めになっているような立体的な枕や、枕の左右が硬くなっていて頭の沈み込みを抑えることのできる枕などがあるので、寝返りが多い方は試してみてください。うつ伏せ寝
うつ伏せ寝のときは、基本的に顔を横に向けて眠るため、枕が高いと頭に不自然な角度がついて首に負担がかかるので、低めでやわらかい素材の枕がオススメです。うつ伏せ寝用として、真ん中にくぼみがある形の枕もありますが、通常の枕を使う場合は、枕を抱えるようにして、マットレスと体の間に隙間ができないようにしましょう。 舌が落ち込むことによる気道の妨げがないため、いびきをかきにくくなるほか、肺に心臓の重みがかからない寝姿勢なので、咳が出ているときは呼吸がしやすいと言われています。
また、体の前面を下にして寝ることでお腹が温められ、リラックスしやすく、安心感を得られるという方もいます。 ですが、背骨や首がねじれるため、寝起き時の首の痛みやこり、輪郭や歯並びの歪み、顎関節症(がくかんせつしょう)のリスクが高まります。また、胸部を圧迫してリンパの流れを妨げる可能性があるため、むくみにつながることもあります。 うつ伏せ寝はデメリットが多い寝姿勢のため、入眠時などの短時間のみの場合はよいですが、長時間の寝姿勢としてはオススメできません。
正しい枕の選び方
正しい枕の役割は、頭から肩にかけての首のカーブの隙間を埋め、首を支えることです。そんな、自分に合った枕を見つけるための選び方をご紹介します。枕の高さから選ぶ
枕は高すぎても低すぎてもよくありません。後頭部が高いと首が圧迫されて、首や肩のこり、痛み、いびきの原因になることもあります。反対に低すぎる枕では頭が安定せず、首や肩に負担がかかります。 一般的に、仰向けの状態で頭を乗せたときに、首から頭にかけての傾斜角度が10~15度、額より顎の先が0~5度程度下がる状態が理想の寝姿勢とされています。
人によって体格が異なるため、枕の最適な高さも異なりますが、華奢な方であれば5cm程度、体格が標準の方は6cm程度、体格のよい方は8cm程度の高さを目安にしましょう。 また、横向きに寝返りを打ったときも理想の寝姿勢を維持するためには、中央部が低く、両サイドが高くなった、立体的な枕が理想的です。
枕の大きさから選ぶ
スムーズな寝返りを打つために、枕の幅にもこだわる必要があります。 体格によって異なるため一概にはいえませんが、一般的に、左右どちらに寝返りを打っても頭が枕から落ちないように、自分の頭3つ分の幅以上の枕を選びましょう。さらに肩口までカバーできる奥行きも必要なので、幅60cm以上、奥行き35cm以上が理想のサイズです。枕の素材から選ぶ
枕の素材によって寝心地が変わるので、お好みで選びましょう。 主な枕の素材として下記の4つを紹介します。素材 | 特徴 |
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ウレタンフォーム | クッション性が高い。 |
ポリエステル綿 | 弾力がありやわらかい。 |
パイプ素材 | 通気性や耐久性、弾力性が高い。丸ごと洗えて手入れが楽。 |
そば殻 | 適度な硬さ。吸湿性と通気性が高い。 |