いろいろ考えすぎて眠れない原因を考える
寝付きが悪い、夜中に目が覚めてしまう、眠りが浅い、日中激しい眠気に襲われるなど、睡眠の悩みは様々です。ここでは、いろいろ考えすぎて眠れない原因を考えてみましょう。
精神的な要因
仕事やプライベートの悩み、やらなくてはいけないことなど、いろいろと考えすぎて脳が興奮状態のままになっていると、寝付きが悪くなってしまいます。また、ストレスや疲労によって自律神経が乱れることも不眠につながります。
悩み事や考え事によるストレス
ストレスを感じると、コルチゾールというホルモンが分泌されます。このコルチゾールは、心拍数と血圧を上昇させ、身体をストレスと戦うモードにする作用を持っています。そのため、不安や焦り、ストレスを感じていると、寝付けなくなる場合があります。
HSP
「どのようなことでも深く思考をめぐらせる」「刺激に対する反応が強く、疲れやすい」「他人との心の境界線が薄く、相手の感情の影響を受けやすい」「他の人が気付かないような音や光、匂いなど、些細な刺激にすぐ気付く」という方は、HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン/Highly Sensitive Person)かもしれません。
HSPとは、神経が細やかで感受性が強い性質を持った方のことで、全人口の15〜20%、約5人に1人いると考えられています。
HSPの方にみられる特徴としては、下記のようなポイントがあります。
- 一つひとつの物事を深く考えてしまう
- 音、光、匂い、気候の変化など、五感で感じる刺激に対して過剰に反応してしまう
- 他人に対して共感しやすく、周囲の意見に合わせることが多い
- 自己肯定感が低い
これらのことから、「HSP」の方は交感神経が優位に働き、過覚醒の状態になりやすいといわれています。しかし、「HSP」は病気ではなく生まれ持った特徴ですので、自身の特徴を把握して、自分にとって居心地のよい環境を築くことが重要です。
身体的な要因
眠れない理由には、精神面以外にも身体的な要因も考えられます。
まず、人は、加齢によって、睡眠の質が低下する傾向にあるといわれています。
また、アルコールやカフェインの摂取、喫煙などの生活習慣、不規則な生活、騒音や室温、明るさなどによる環境的な問題が原因で不眠の症状を引き起こしている可能性もあります。
例えば、スマートフォンやパソコンなどからブルーライトを浴びると、睡眠・覚醒リズムを調整する作用を持つメラトニンの分泌が低下します。それによって、体内時計に乱れが生じ、寝付きが悪くなってしまうのです。
さらに、脳や身体の内部の温度(深部体温)が高いために、寝付きが悪いという可能性もあります。
睡眠誤認
不眠を感じている方のなかには、睡眠誤認があるケースも少なくありません。睡眠誤認とは、「実は自分が思っているよりも、ずっとよく眠れている」こと。その不眠、実は気にしすぎなくていいかもしれません。
ただ、眠っている間は意識がないため、自分の睡眠状態や不眠を把握することは難しいです。気になる人は、寝付きや夜中の覚醒など、睡眠の質を計測するデバイスやアプリを使用して、分析してみましょう。
いろいろ考えすぎて眠れないときにすぐできる対処方法6つ
なかなか眠れないと、余計なことを考え、悩んでしまい、さらに眠れなくなってしまうという悪循環が起こります。そんな、いろいろ考えすぎて眠れないときに試してほしい対策を6つご紹介します。
漸進的筋弛緩法でリラックスする
漸進的筋弛緩法とは、身体の各部位の筋肉を緊張させ、ゆっくり弛緩させるリラックス方法です。手順は次の通りです。- 仰向けになります。
- 目を閉じ、深呼吸を数回します。
- 右手で握りこぶしを作り、10秒間緊張させます。
- 弛緩させて20秒間キープします。
- 他の部位も同様に、10秒間緊張させ、弛緩させて20秒間キープします。
- すべての部位が終わったら、深呼吸を数回し、目を開けます。
ヨガの呼吸法を取り入れてみる
ヨガでは、あえて呼吸を止める、止息(しそく)という呼吸法があります。息を止めることで、考え事から呼吸に意識を集中させ、心をコントロールできます。一般的なやり方は次の通りです。- 6秒間かけて口から息を吐き切ります。
- 2秒間かけて鼻から息を吸います。
- 4秒間息を止めます。
- 1~3を繰り返します。
呼吸に意識を集中させ、吸うよりも吐くことを意識するようにしましょう。暗い気持ちを身体の外に吐き出すようなイメージでおこなってください。
ただし、息を止める時間が長いと身体への負担が大きくなるので、まずは短い時間から始め、無理をしないようにしましょう。
快眠のツボを刺激する
人体に無数に存在するとされているツボは、東洋医学では経穴(けいけつ)と呼ばれ、五臓六腑の異常が滞るところとして、刺激すると、気と血の循環が良くなると言われています。
ツボにはそれぞれ対応した内臓や器官があり、ツボを押すことでそれに対応した身体の場所に刺激が伝わるため、快眠のツボを刺激すると、不眠の原因となっている不調が緩和されます。
一般的に、不眠に効果的だとされているツボは、労宮(ろうきゅう)と失眠(しつみん)です。 手を軽く握ったときに、人差し指と中指の先端の中間あたりの手のひらにある労宮は、やや強めに押しましょう。労宮は精神機能を司っているので、全身の緊張が緩み、ゆったりとした気分になると言われています。
足裏のかかとの中央にある失眠は、押すだけでなく、お灸や、湯たんぽなどで温めて刺激を加えるのもおすすめです。失眠は、軽度な悩みによる不眠に効果的と言われています。
不眠対策のためには、眠る30分~1時間前に、照明を暗くし、深呼吸しながらおこないましょう。息を細く長く吐きながらツボを押し、ゆっくり息を吸いながら圧迫を緩めてください。労宮と失眠、それぞれ10回程度繰り返します。
快眠するためには脳をリラックスさせる必要があるので、ツボの正確な場所にこだわりすぎず、軽く押して気持ちいい所ところを優しく刺激してください。
快眠のツボは他にもたくさんあります。興味のある方はこちらの記事もご覧ください。
一瞬で眠くなる・安眠できるツボ20選!道具不要でいますぐ熟睡するには
おでこや手のひらを冷やす
眠り始めに脳や身体の内部の温度(深部体温)を効果的に下げることで、夜中に覚醒することなく深い睡眠を得ることができます。テレビやスマートフォンなどの画面を見ると深部体温が上がるので、眠る際におでこや手の平を冷やすことを意識しましょう。
おでこを冷やすためには、やわらかい保冷剤や、凍らせたタオルを用意し、眠るときに枕の上半分に敷いてください。他にも、通気性が高く、頭の温度を下げてくれる枕を使用するのもおすすめです。
専門書や参考書など難しい内容の本を読む
難しい本を読むと、鎮静効果やリラックス効果のあるβエンドルフィンという物質が分泌され、眠気につながると言われています。
ただし、スマートフォンやタブレット端末での読書は、ブルーライトにより覚醒を促してしまうので、紙の本を活用してください。
寝る前はスマートフォンの使用を控える
スマートフォンなどから発せられるブルーライトは、交感神経を刺激して脳を覚醒させ、体内時計を乱す性質があります。そのため、睡眠の質を高めたい人は、ベッドに入る30分前以降はスマートフォンの使用を控えるとよいでしょう。
眠れないとつい時間潰しにスマートフォンを見てしまいがちですが、そういうときは代わりに目を閉じて横になりましょう。これだけで脳は休息モードになるため、眠れなくても焦らず、リラックスして過ごしてください。
それでも眠れないときに試してみたいこと5つ
ご紹介した対策を試しても眠れないときは、日々の生活や行動にも意識を向けてみましょう。
考え事をメモしてみる
具体的に何をストレスに感じているのかわからないまま、漠然とした不安感や焦燥感に押しつぶされてしまいそうな方は、気持ちを書き出して、言語化してみましょう。
何を不安に思っているのかを明らかにすることで、考えを整理でき、「以前と同じことに悩んでる」「自分はこの状況下で悩みやすい」など、傾向がわかることも。また、自身を俯瞰して見ることで、「意外とたいしたことないことを、大事に考えすぎていた」と感じる場合もあります。
考え事をベッドまで持ち込まないように、ストレスに感じたことや悩んでいることを、思いついたときにすぐスマートフォンなどにメモをして、自分の状況や感情をその都度、客観視して落ち着かせるのもおすすめです。
寝ない覚悟でとことん考える
体調や翌日の予定にもよりますが、時間が許すならば、無理に眠ろうとせず、悩んでいることをとことん考えてみるのもいいかもしれません。
悩みを抱えていること自体は自然なことです。しっかり向き合うことで、気持ちに変化が生まれるでしょう。 解決せずとも、自分の心と向き合い、現状を把握することで、前向きな気持ちになれることもあります。
無理に眠ろうとしない
眠れない夜、無理に眠ろうとして、かえって眠れなくなったことはありませんか?これは、焦りや不安が交感神経を刺激することで、心身が緊張してしまい、リラックスしにくくなるためです。
そこで、この瞬間は眠れなくても、深刻にとらえすぎず、安心して休息することが大切です。どうしても眠れなくて気分転換したいときは、一度ベッドから出て、ストレッチや瞑想などでリラックスするのもよいでしょう。
睡眠外来に行ってみる
さまざまな方法を試してみても、寝付きが悪く、睡眠への悩みが尽きないこともあるかと思います。悩みが改善されない場合や、心身の不調が出てきた場合には、睡眠外来のあるクリニックを受診してみましょう。
睡眠外来には睡眠専門医が在籍していることが多く、専門医の治療によって早めの症状改善が期待できます。また、専門家に相談することで自身の詳しい状態がわかれば、不安の解消につながり、安心できるでしょう。
睡眠環境を整える
スムーズな睡眠の導入には、自分に合った寝具を使用することが大切です。枕が合っていないと、寝付きが悪く、考えすぎてしまう原因にもなりかねません。高さや硬さの調整はもちろん、通気性がよく、頭の温度を低く保ってくれる枕を選びましょう。睡眠環境による悪循環をなくすことが、良質な睡眠には重要です。
「人生の1/3を占める」と言われている睡眠は、毎日の疲れを癒し、心も身体も回復させる大切な時間だからこそ、睡眠の質を左右する寝具にもこだわりましょう。特に重要な、枕とマットレスの選び方をご紹介します。
枕は、高さと硬さがポイント
枕にとって一番大切なことは、自分の首のカーブに合った高さかどうかです。長時間、頭を預けるため、高さが合っていない枕では、首や肩に負担がかかり、首の痛みや肩こりの原因になるので注意が必要です。
また、頭を冷やすことで睡眠の質が上がるので、熱や湿気をため込まない、高い放熱量が続く枕を選んでください。
睡眠の質を高めたい方や、睡眠に関する悩みの強い方は、やや高価になりますが、自分の首のカーブや硬さの好みに合わせて作る、オーダーメイド枕もおすすめです。
マットレスは、身体の沈み具合と寝返りの打ちやすさを確認
マットレスは、実際に寝てみて、硬い、やわらかい、身体が楽、身体が痛い、腰が突っ張る、圧迫感がある、寝やすいなどの快適さを確認することが大切です。横になった直後だけでなく、しばらく経っても身体に負担がかからないか、腰の沈み具合や身体への密着感に違和感がないかなども確認しましょう。
また、寝返りの打ちやすさもポイントです。マットレスのうえで寝返りを打ちながら、横向きやうつ伏せの姿勢になり、身体の安定感や圧迫感を確認してください。身体に合ったマットレスで眠ると、日中溜まっていた血液や老廃物が循環しやすくなり、疲労やむくみなどの軽減効果も期待できます。
枕とマットレスの相性も大切なので、どちらかを店頭で試す際には、自宅で使用している枕の高さやマットレスの硬さとの違いを踏まえたうえで購入することをおすすめします。
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